燃やせ! 轟かせ! 輝かせ! なんかこう、魂的なヤツを!


<オープニング>


「俺は……もうダメなのか……ッ!」
 白い大地に一人の男が膝を付いて肩で息をしていた。
 男の手にはちょっと変わった形状のペンが握られている。
「このままでは……このままでは……」
 悔しそうに顔を歪ませる男は、包囲されていた。
 白くてぺらぺらだったり、一面に模様が入っていてぺらぺらだったりする奴らに。
「くおおおおおオ!!」
 男の咆哮は、ただ虚しく白い世界に吸い込まれていった。

「やーあ、今日も暑いねぇ」
 夏休みの銀誓館学園。がらんとした廊下を抜けた先の、同じくがらんとした教室の中で朝日岡・悠陽(中学生運命予報士・bn0064)が皆を出迎えた。
「こういう日は一日中家でごろごろしときたいけど、そうもいかないよね」
 悠陽は時間を確認すると、説明をはじめた。
「今回は、悪夢に囚われているマンガ家? みたいな男の人を助けてあげて欲しいんだ」
 この男はあまりメジャーな人物でもなく、商業デビューも果たしていない20代半ばほどの若者らしい。
 とあるアパートに一人暮らしをしているので、この男の部屋への侵入や脱出は容易だ。
「このまま悪夢の中にいたらこの人、悪夢に負けちゃう! そうなるとナイトメアが喜ぶって考えると……ムカっとくるよね」
 そうさせないためには、能力者たちが頑張るしかないのだ。
「具体的には……まず、この人を取り囲んでいる敵を倒すのがいいかな」
 『敵』は全部で3体。
 巨大な白い紙、巨大なスクリーントーン、そして巨大なペン。
 夢の内容は、『白い紙』で構成されただだっ広い世界で、男がこれらの敵に追い詰められている……というもの。
 そして今は四方を囲まれ、絶体絶命状態。
「救出する相手はマンガ家だし、マンガみたいにカッコよく駆けつければいいんじゃない?」
 登場シーンはさておき、3体の敵をうまく蹴散らすのが最初の仕事になる。
「ぺらぺらするヤツらは自分の体を使って斬りつけてくるみたいだね。ペンはロケットみたいにどーん! と飛んでくるよ」
 とはいえ、能力者8人の敵ではないだろう。
 ぶっちゃけ、弱い。
「肝心なのはここから!」
 ずびっ! と悠陽が指を突き出す。
「ただ敵を倒しただけじゃこの人は悪夢から出られないんだよね」
 ではどうするか。それは、悪夢の原因になったモノに対する恐怖をやわらげる事で解決できる。
「んーと、この人……マンガのネタに詰まってるみたいで、ね」
 マンガが描けないとなれば、それはもはやマンガ家ではない。彼はかなり悩んでいたそうだ。
 これをどうにか打開する策を考えてあげるか、あるいはアドバイスをするか……何らかの方法で彼の悩みを解決してほしい。
「そうすれば、見事救出! ってなるワケ」
 そこまで説明すると、悠陽はとあるモノを能力者たちに差し出した。
「じゃーん! おなじみ『ティンカーベルの粉』!」
 これは悪夢を見ている人物の夢の中に入れちゃう、ファンタスティックなアイテムだ!
「夢とはいっても、本当にケガとかしちゃうから気をつけてねー!」
 悠陽は暑さも吹き飛ぶような笑顔で能力者たちを送り出した。
 まあ、暑いのは変わらないが。

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参加者
白岸・衛(白騎士・b02556)
神成・いのり(ランブルシスター・b06553)
加藤・風雅(高校生フランケンシュタインの花嫁・b11769)
小鳥遊・瑠蘭(手遅れ・b14210)
岡田・正(シロクロニクル・b16747)
拝・一途(三文刀芸・b22377)
黒耀・桧依(は自重しない・b39148)
リコリス・カラミンサ(海が抱く悲しき想い出・b41091)



<リプレイ>

●白い原稿用紙の憂鬱
 どこまでも、無限に広がる白い世界。
 遠くの山も、木も、大地も全てが白い。ただ、空にだけは色があった。
「これは……マンガ家の苦悩を表しているのでしょうか」
 空を見上げた拝・一途(三文刀芸・b22377)は、あまりの異常さに眉間にしわを寄せる。
 まるで、手元にあった絵の具を全色ブチ撒けて、ぐにゃぐにゃと混ぜたようなとても「何色」とは言えない色に染まり、そして歪んでいた。
「漫画家さんも大変ですね。この悪夢での戦いが、少しでも、何かの切っ掛けになれば良いんですけど」
 上に向けていた頭を元に戻し、白岸・衛(白騎士・b02556)が呟く。
「そうだな。我々の戦いを楽しんで頂けるよう、せいぜい暴れてやろうではないか」
 小鳥遊・瑠蘭(手遅れ・b14210)は衛の言葉に頷いた。
 そばにいた紫リボンのシャーマンズゴースト・シャドウのルルも同意しているのだろうか、真っ直ぐに瑠蘭を見つめている。
「ルル……」
 ハッとして見つめ返す瑠蘭。その頬はどこか桜色に染まっていて……。
「小鳥遊さんたちは相思相愛なのですね。あっ、これも漫画のネタになるかもしれないのです!」
 黒耀・桧依(は自重しない・b39148)は独自のフィルター越しに二人の事を見ていた。
 桧依にとっては非人間体や無機物の擬人化などお茶の子さいさい! らしい。
「そ、その路線はアブないですね。もう一度、作戦の確認をしましょう」
 慎重な、しかし熱い志が見える神成・いのり(ランブルシスター・b06553)は、仲間たちと視線を交わす。
「作戦ね。オレ達の熱い戦いを見せて……こう……何か『ぐっ!』とくるものを感じさせてやることだぜぇぇ!!」
 のっけから燃え上がる岡田・正(シロクロニクル・b16747)。まるで炎のオーラを身に纏っているかのようだ!
「ネタを思いつかせるんですよねー。魔法少女が良いと思うぞ、むしろ布教するよー」
 うっしゃーがんばるぞー、とリコリス・カラミンサ(海が抱く悲しき想い出・b41091)もやる気を見せる。
 魔法少女をプッシュするというが……どうなることやら、楽しみである。
「とまぁ、話しながら歩いてるけどなかなか見つからな……ん?」
 視界の先まで真っ白でわかりづらいが、加藤・風雅(高校生フランケンシュタインの花嫁・b11769)は少し先に不自然に動く複数の『何か』の存在に気付いた。
「……あれですね。行きましょう!」
 衛の言葉に皆が首を縦に振ると、一斉に駆け出した。

●夢の世界の主人公たち
「くっ……やめてくれ……! これ以上、俺を苦しませるなッ!」
 男は両手で頭を抱え、うずくまるように苦しんでいた。
 もう、精神力の限界か……このまま彼は、哀れにもナイトメアの餌食になってしまうのか!
「待て!」
「!?」
 突然の第三者の声に驚き、顔を上げる男。そして彼を取り囲んでいた紙やらペンも、どこが正面だかハッキリしないが声がした方を振り向いた。
「それ以上の狼藉は許さないぞ!」
 詠唱刀『姫柘榴』の切先をぴたりと紙やペンの魔物に向けているのは、一途だ。
 ドガッシャァァッ!
 動きを止めて隙を晒していた紙の魔物に、派手な効果音と共にバッサリと『白』で斬りつけ登場の正。
 不意を突かれ、べしゃっと地面に張り付く紙の魔物。
「オレ達、参上!! ……君大丈夫か!?」
「な……何者だ! オマエたちは!?」
 すっかり憔悴しきっていた男は、搾り出すように力を入れながら謎の来訪者たちに問うた。
「私達は、貴方がいずれ描くマンガの登場人物です。助けに参りました」
「……俺の……マンガ……?」
 音もなく現れたいのりの言葉に、いまいち理解が追いつかない様子の男。
「ま、要は正義の味方さ。細かい事は気にしない事だよ」
 いのりの後ろから歩いてきた風雅は、軽く笑いながら男にそう言った。
「その通り。後は私たちに任せてもらおうか」
 聖職服姿の瑠蘭が、威厳がありそうな雰囲気を漂わせながら術扇を広げた。
 そこには、でかでかと『ルル命』の文字が! 威厳、台無し!
「……。さて、僕たちが来たからには、安心して下さい」
 衛は気を取り直して、未だ動きのない魔物たちの間をすり抜けて男に肩を貸す。そして、
「貴方は、僕達が守ります」
 穏やかにそう言うと、ゆっくりと立ち上がる。
 一途が敵の動きを警戒し、何のトラブルもなく仲間たちの後方まで男を引っ張ってくる事ができた。
 改めて男がきょろきょろと周囲を見渡して、何が起こったのかを聞こうと口を開く。
「禁忌の魔女……参上!」
「なわぁ!」
 開いたと同時に、どこからともなく(主に脳内が)禁忌の魔女が馳せ参じた。びっくりして素っ頓狂な声をあげる男にずびしと指を突きつける魔女、もとい桧依。
「いいですかよろしいですかタマゴさん、いいえ未来のマイファザー!」
「キ、キミも……いつか俺が描くキャラ……だっていうのか?」
「イエスマイファザー! 私たちはあなたを助けに来た! さぁ、これより始まる戦いを焼き付けるのです……記憶でなく、あなたの魂に!!」
 魂……。男の唇が動く。魂、と。
「天とか地とか人が呼ばなくても来るのがヒーローだ魔法少女だ、そこんとこ宜しく」
 最後に姿を見せたまじかるでぶらっくなリコリス、しっかりと魔法少女をアピール。
 突如やって来た8人の『主人公』たちは、鋭い視線で魔物の群れを睨みつける。
「全ては、貴方が描く未来の為に!」
 いのりが叫ぶと、全員の回転動力炉が猛々しく咆哮する!
 一人の人間の未来を覆う闇を打ち砕く戦いが今、始まったのだ!

●勇姿
「手早く終わらせて貰おう。……消えろ」
 静かながらも力強く言い放たれた言葉。そして風雅から解き放たれた白く輝く白燐蟲が紙の魔物へと踊りかかった。
 ドギャゥッ!
 命中と同時に辺りは煙に包まれる。
「まともに当たったか。運の悪い奴め……」
 風雅は目を閉じて煙に背を向けた。が、不意に不吉な予感が頭をよぎる。
「!」
 目を開け、咄嗟に体ひとつ分サイドステップ。次の瞬間、風雅がさっきまでいた場所に紙の魔物が自分の体をまるで剣のように振り下ろしてきたではないか!
「この技を受けて立っているだと! 化け物か!?」
「あの攻撃が効かない!? ならば、これはどうです!」
 風雅に襲い掛かった紙の魔物に、いのりが意識を集中させる。
 すると、魔物の頭上に何やらよくわからないモノが突然現れ、落下激突。
「直接聞かなくても、あまりダメージが通っているようには見えませんね……」
 いのりの頬を流れた汗は顎をつたい、地面へと落ちた。
「真っ白な原稿……そんなもの! この世界には不要なのですよ!!」
 さらに桧依が紙の魔物へと術式を編み込んでつくられた炎を撃ち込む。
 爆炎はやがて魔物の全身を包み込む……が、
「そんな! まだ足りないというのですか!?」
 これだけの攻撃に耐える魔物……。その強さは彼らの想像をはるかに超越していたようだ。
 一方で『白』に闇のオーラを纏わせながらスクリーントーンの魔物と戦っていた正も、思ったように技が決まっていない様子を見せている。
「こいつら……結構手強いぞっ、皆気をつけろよ!」
「そういう時は、魔法少女の出番だよー。まじかる☆ボーム!」
 リコリス、名前が可愛いワリには悪夢を実体化した塊をポイっと魔物の群れに投げ込む。
 紙とトーンの魔物に爆ぜた悪夢が襲うが、あまり効果があったようには見えない。……紙の方はよく見ると舟を漕いでるようにも見えるけれども。
「そんな、まじかる☆ボムを喰らっても倒れないなんて……!」
「はっ、危ない!」
 渾身の一撃をミスし、呆然と立ち尽くすリコリスを咄嗟に庇う衛。なんと、後方にいたペンのペン先がまるでロケットのように飛んできたのだ!
 衛は『ガントレットL改』でペン先をうまく受け止め、お互いに大きなケガは防ぐことができた。
「攻撃は、僕が引き受けます。僕がいる以上、カラミンサさんたちを傷つけさせません」
「あ、ありがとう……」
 少しはヒーローらしくなれたかな、と軽く笑う衛に、庇われて照れたのかリコリスは小声でお礼を言った。
「よし、攻撃の手を緩めるものか! いくぞ!」
 まるで神秘を見ているかのような一途の一撃が、トーンの魔物に突き刺さる。
 しかしこれも、素人目に見ても有効打にはとても思えない攻撃にしかならなかった。
「く、ばかな……! 攻撃が効かないだと……!?」
 鈍い手ごたえに顔をしかめる一途。
「うろたえるな! 私が真髄を見せてくれる!」
 そう言って、瑠蘭が大きく両手を広げるとその背後から眩い光が発せられる。
 それは次第に十字架の形となり……さらに大きな光を放った!
「こ、この技は!」
「知っているのですか、桧依さん!」
 驚く桧依に説明を求めるいのり。
 桧依の説明によれば、この光は最大奥義にして最強の技であり、邪悪な存在は瞬く間にその存在を浄化されてしまうとかなんとか。
「要は強いってことだな!」
 正、納得の一言。
 瑠蘭が放つ光が収束し、やがて元に戻る視界。目の前には――。
「ば……バカな!?」
 凄い勢いでずり落ちる瑠蘭のメガネ。傾くルル。
 驚く先には周囲が光に包まれる前と変わらない世界。
「まったく、とんでもない奴らを相手しているもんだ」
 自嘲気味に笑う風雅。
 一行が驚き呆けている隙に、目覚めたペンの魔物が放つペン先がルルの脇をすり抜けて瑠蘭を貫いた!
 それを見たルルは、ふらふらと瑠蘭のもとへ飛び込んだ。そして、倒れゆく瑠蘭を支えようとして……耐え切れずに一緒に潰れた。
「うわ……大丈夫か、あれ」
 一瞬『素』に戻る一途たち。
「ああ、ルル……来てくれたのね……。でも私、キズモノにされちゃった……これじゃアナタの所にお嫁に行けない……」
「え、てっきり逆だと思っていたのですが……」
「瑠蘭様が旦那って感じでしたよねー」
 瑠蘭劇場をのんびり鑑賞するいのりとリコリス。
 それとは逆に焦る男。
「キミたち! こんな事を言うのもアレだが、ピンチじゃないのか!?」
 通らないダメージ、倒れぬ魔物、消耗する仲間たち……。
 傍から見れば、間違いなく彼らはピンチだった。
「ピンチ……? へっ、上等だぜ!」
 ペッ、と赤いものを吐き出す正。口端からは赤い液体が流れ落ちた。
「ふっ……強い敵か。だからこそ面白い。そうだろう、戦友」
「おうよッ!!」
 風雅の言葉に力強く応え、正は袖口で口の赤い液体を拭い去る。
 いつの間に正は傷を負っていたのか? そもそもあれはトマトジュースではないのか? といった疑問質問はヤボってもんだぜ。
「ひとりひとりの力じゃこいつらには勝てない……! みんな、力を合わせるんだ!!」
「今までの攻撃が通用しないならば、友情パワーなのです!」
 一途と桧依の提案に、一同は目だけで会話を成立させた。
 一体、彼らはどうするつもりなのか! 待て、次回!

●熱い魂を思い出せ!
「何なんだ……一体、どうしようっていうんだ!?」
 男の問いかけに誰も応えることなく、しかし彼らの目には炎が宿っていた。
「今です! 皆の力を……合わせるのです!」
 カッ!
 目を閉じ、手を組んだいのりは秘められし力を解放する。それは仲間たちを幻夢のバリアに包み込み、さらには傷を癒す――そして、互いの絆をより強固なものにすると伝えられし最終奥義。
「……穢れをこの身に宿し放つ、禁断の奥義……今、使うしかない!」
 風雅は目を見開くと、腕に力を込めた。
「合わせるぞ! 俺の穿いた孔に撃ち込め!!」
 呪いに穢れし漆黒の弾丸を魔物に向けて撃ち放つ!
 風雅の一撃を皮切りに、一斉に仲間たちの目が光った。
「まかせて! 逝っちゃえまじかる★馬♪」
 リコリスの夢の中から顕現したナイトメアが奔り、
「八〇一式乙女の魂の業火よ、我らの敵を焼き尽くせ!!」
 限界まで高められた魔力の業炎を撃ち出す桧依、
「お前ら……覚悟しろよ……!」
 忌まわしき力と呼ばれた正の呪いの魔眼を解放、
「麗しい私とルルの禁断の異種族愛を見せつけてくれようではないか!」
 瑠蘭の神々しいまでの光を放つ槍とルルの火炎のブレスが、まるで恋人同士のようにダンスしながらその愛を誇示し、そして。
「先輩、切り札を切ります……!!」
「拝君!? ……よし、タイミングを合わせますよ!」
 具現化した氷と炎。一途と衛の『姫柘榴』と『シルバーガントレット』が重なり合い、究極のコンビネーションが発現する!
「僕を防御一辺倒の人間だとは思わないで下さい!」
「うぉぉぉお! フロストファァァァアングッ!!」
 信頼と友情の織り成す赤と青の衝撃、全員が心をひとつに繰り出した最強にして最後の攻撃は、魔物をいとも容易く無へと帰していった――。

「……」
「貴方が――」
 一部始終をただ見守るしかなかった男にいのりが声をかける。
「貴方が描くマンガで、主人公は逆境に置かれて、そこで諦めますか?」
「……」
「主人公が諦めないのに、どうして貴方が諦めていられますか?」
「ッ!?」
 ハッと顔を上げる男。
「男の最高の見せ場とは、熱く激しく燃えている場面じゃない。そこに辿り着くまでの屈辱と挫折と逆境……そこから這い上がる場面だ」
 立て膝の男に目線を合わせながら真剣な眼差しで言葉を紡ぐ風雅。
「確かに、そうだ。マンガの世界ではよくある――」
「俺達の話じゃない、あなたの事さ」
 男は何も言い返せなくなり、息を呑んだ。
「オレは、キミが再び立ち上がりペンをとることを信じてる」
「早くオレ達のこと描いてくれないかって、ウズウズしてるんだぜ!」
 一途が手を差し伸べ、正は立ち上がった男の背中を軽く叩いた。
「しかし、今の俺に描けるだろうか……」
「描けない? ソレハ本人に熱さが足りないからだ、夕日に向かって吼えるのです。河原で殴り合って分かりあう熱い友情や、ピンチ→何か良く分からないパワーアップ→逆転はお約束なのです。古典的とか使い古されてる? 有効だから繰り返されるんだよっ!」
「!!」
 リコリスに一気にまくし立てられ、驚くと同時に何かに気付いた男。
「大丈夫、私達が証拠です。貴方が描く、未来の物語の登場人物なのですから!」
「そうか……そうだったな!」
 いのりに頷く男。
「この夢が覚めたら、僕達のことは忘れてしまうかもしれません」
 この戦いで何か得たものがあったら目を覚ましてからすぐにメモを、とアドバイスしながら衛は男と握手を交わした。
「男同士の熱い友情なのです! 男同士の! 例えばあんなのもよいかと!」
 と、桧依が指を差す先には、
「ルル……この魅力的な流線型……ああもう超可愛い!」
 ぎゅーっとルルを抱きしめる瑠蘭の姿が!
「おいおい。俺が将来描くキャラってのは随分個性的なヤツばかりだな!」
 しばし、男と主人公たちは楽しそうに笑いあった。

 その後、一人のマンガ家が世にも個性的な作品を世に送り出したかは……また、別の話である。


マスター:黒柴好人 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:8人
作成日:2008/07/31
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