愛しさは終えずして


<オープニング>


●愛しさは終えずして
 ある昼下がりの日。
「あはは、ペロ−、ちょっと待ってよー!」
 年の頃10際位の少女が一人、街の中を掛けていく。
 その手元には……リードが握られている。そしてそのリードの先には……可愛い一匹のトイプードルの姿。
 少女に遊んで貰って楽しいのか、その尻尾をふりふり揺らしてちょこちょこと走っている。
「ねぇ……待ってってったらー……えいっ!」
 走るトイプードルを、ジャンプで捕まえる少女。頬に泥んこがくっついても気にしない。
 対してのトイプードルは、そのジャンプをぴょんと飛び越え、一歩先へ。
「もー、早いんだからー……」
『ワンワン!!』
 舌を出してるその姿は、やはり可愛い。
「もー逃がさないんだからねー……えいっ!!」
 再び追いかけ、もう一度ジャンプ。
 ……親愛なるご主人様。僕は、今日も元気だよ……と言わんばかりに、頬を嘗める。「もう甘えっ子ね……ふふ」
 いつもの様に、少女は子犬の前に指を差し出す。
 子犬は……その指を噛んだ後、血の滲む傷跡を舐めさするのであった。
 
「よし……皆集まってくれたようやな。それじゃ説明を始めさせて貰うで?」
 神丘・崔(高校生運命予報士・bn0103)は、集まった君達を一通り眺めると、依頼の説明を始める。
「今回の依頼は、ちっと可愛そうな依頼なんやが……それでも受けてくれる皆に感謝や」
 まず一度頭を下げる崔。そして一枚の写真を差し出す。
 撮影者を見上げるようにしているのは……一匹のトイプードル。
「今回……倒してきて欲しいのは、このトイプードルや。ただのトイプードルやない。リビングデッドとなってしまったトイプードルなんや」
 そう言いながら、更に崔は説明を続ける。
「このトイプードルは、昔……女の子の目の前で車に跳ねられて死んだんや。でも、女の子が泣いて泣いて泣いて……そしたら、彼女の目の前にたっていたらいしのや」
「今はまだ被害は出ていないが、リビングデッド化した先に待っているのはもっと悲惨な出来事や。主人である少女を喰らい、その家族まで喰らうかもしれへん。現に今、飼い主にじゃれつくのを装い、指やら首やらから、ほんの少しの血を貰っている。これが成長すれば……判るな?」
 ひとたび皆を見回し、頷くのを確認して。
「だから、この子犬を倒してきて欲しいのや……解ったな?」
 そこまで言うと、崔は懐からメモを開き。
「必要な情報を先に皆に言うとく。まず捕捉する為のチャンスやが……この子犬は、少女と一緒に陽の落ちた夕方から夜の頃に、多摩川湖畔を散歩しているらしいのや。夜の湖畔は大して人もおらんから、チャンスはその時だけやろう」
「又リビングデッドとなったこの子犬の能力は、今の所は素早く逃げ回り、口から火の玉、氷の玉のようなものを吐き出す、という力が発生しとる。ただ……どうやらこのリビングデッド化した子犬は、他のリビングデッド化した犬猫を呼び出せる能力があるらしい。つまり数が多数に成る故、その辺りは作戦を考えるべきやろう」
 そこまで言うと、最後に崔はもう一度皆を真摯な瞳で眺めて。
「……何度もいうが、例え姿は子犬であったとしても、もうリビングデッド化した事には代わりはあらへん。このまま放置しておけば、いつかは主人を食いつぶすのは目に見えてるんや。だから……心を鬼にして、今回の依頼を遂行してきて欲しい。宜しく頼む……」
 頭を下げる崔。崔自身も、今回の依頼……心苦しいのだ。

マスターからのコメントを見る

参加者
白鳥・雷輝(守護剣士・b02101)
華都・巴(ブランエスクリール・b19541)
司狼・朱鷺親(峻剣・b37959)
蜘蛛井・円(死の淵の織姫・b44555)
鳴羽・遊姫(中学生雪女・b45408)
冷泉・香夜(蒼き月の神子・b47140)
涼風・ユエル(太陽と風の申し子・b47845)
神楽・九竜(中学生ゾンビハンター・b51622)
北辺・鍔女(高校生鋏角衆・b51894)
草薙・神威(高校生魔剣士・b52378)



<リプレイ>

●命の晩歌
 崔からの話を聞いて、多摩川の河川敷へと向かう11人の能力者達。
 リビングデッドとなったペットが、最愛の飼い主である主を殺そうとしている……想像したくもない、身の毛のよだつ話。
 その時が、刻一刻と迫ってきている……能力者達は、その道すがら、複雑な心境を心に抱いていた。
「……恐ろしい光景だな。子供の心を踏みにじるとは許せん」
 白鳥・雷輝(守護剣士・b02101)が唇を噛みしめながらそう告げる。
 少女はペットがリビングデッドとなった事を知らずに生きている。それはつまり……今までと同じ生活をしていると思い、そして……今も生きているという事。
 目の前から、最愛の人がいなくなったらどう思うだろう。
 例えそれが、将来の命に関わるとしても……それを知らずしていなくなるとしたら。
「犬が大好きな私にとっては……とても複雑な心境ですね。きっと……私も彼女と同じ状況だったら、泣いて泣いて……生き返って欲しいと願う事でしょう……」
 そうぽつり呟くのは、蜘蛛井・円(死の淵の織姫・b44555)。
 そしてその言葉に同調する者が、次々と口を開いていく。
「……大切な、友達だったんだよね。一杯一杯泣いて……か。また、泣かせちゃうかな……? 少しリビングデッドに、感情的になりすぎかな……?」
「そんな事……無いと、思う。けど……どちらにとっても……悲しい結末、だね……。せめて、犠牲者が、出る前に……止めるのが、僕の出来る事、だから……止めてみせる。ただ、少女が……少しでも、悲しまないようにしたいな……」
 涼風・ユエル(太陽と風の申し子・b47845)と、冷泉・香夜(蒼き月の神子・b47140)が頷く。
 ……何故、ペットはリビングデッドとなったのか。
 彼女を愛するが故ではないのだろうか。なのに、何故殺さなければならないのだろうか……。
「リビングデッドとなってしまった子犬は……ご主人が大事で、心配で蘇ったのでしょう。でも、この先に……待ち受けるのが残酷な結末なら、少しでも……大好きなご主人様の記憶のあるままに眠らせてあげたい……」
「……うん。今ならまだ、楽しい思い出の中に倒せるかもしれないもの。でも……将来になれば……」
 円の言葉に、鳴羽・遊姫(中学生雪女・b45408)が唇を噛みしめて告げる。
「例え、ずっと一緒に居させてやりたいと考えても、少女を手に掛けるような事……させたくはないからな」
「ああ……確かに悲しい話だが、敵だと分かっている奴には容赦はしねぇ。せめて飼い主を殺すなんていう悲劇が起こる前に、散って貰う」
 草薙・神威(高校生魔剣士・b52378)の言葉に強く、華都・巴(ブランエスクリール・b19541)。
「その関係……ご主人様と飼い犬との関係は、もうとうの昔に終わってしまっている……。別れが在るのは、仕方がない事だけれど……消えて無くならないモノもきっと、ある……」
 北辺・鍔女(高校生鋏角衆・b51894)が、思い出したかのようにぽつり呟く。
 例え自分達が分かちても、その絆は壊れはしない。
 輪廻転生の先に、再び二人が出会う事を祈り、今は……その間を断つ事こそが、最良の選択肢。
「女の子には悪いが、全力で退治させて貰おう。結果……憎まれる事になろうとも、ね」
「……リビングデッドと化してしまった愛犬……か。動物とはいえ、幼い少女にとっては友達以上の身近な存在かもしれないな。年端もいかない少女を悲しませるのは心苦しいが……最悪の事態に鳴る前に、リビングデッドを倒さなければ」
 雷輝の言葉に、司狼・朱鷺親(峻剣・b37959)が頷くのである。

 そして……そう話す間にも、能力者達は多摩川の河川敷……崔へ指定された場所へと辿り着く。
 夕陽も落ちて、辺りが暗闇へと包まれ始める時。
 それぞれがイグニッションを行い、いつ彼女たちが現れても良いように準備を整える。
「……ん、どうしたの?」
 そう遊姫が訪ねるのは、神楽・九竜(中学生ゾンビハンター・b51622)。
「……いや、前回と違い、今回は初めてゴーストと戦うので……上手く戦えるか不安なんですよ」
「そう……でも、大丈夫よ。きっと♪」
 にこっと微笑む遊姫に、九竜は少しどきっとしながらも。
「そう……です、ね。頑張りますよ」
 と一言……自分に気合いを入れるのであった。

●別れの時
 そして、河川敷に着いた能力者達は4つのグループに分れ、更に雷輝、巴、朱鷺親、神威の四人は、闇纏いを使いその気配を消して潜む。
 暗視鏡を使う等して、少女の来る時を……ただひたすらに待つ。
 そして……十数分が経過した頃だろうか。
 遠くの方から、震える灯の跡が見え始める。その跡は上下左右に震え……安定しない。
「……どうやら、来た……ようです、ね……。菜花センパイ……行きましょう」
「ええ、宜しく頼むわね、こうちゃん」
 香夜の言葉に菜花は頷き、その手を繋ぐ。
 まるで恋人同士のように振る舞いながら、逆の方から歩き始める二人。勿論……その途中には、隠れた仲間達の姿。
 次第にその距離が縮まり、見え始めるその姿。
 その手にはリードが握られ、そのリードの先には……子犬の姿。
『ま、待ってってよー、ペロー!』
 散歩する……というよりは、散歩させられている気がしないでもないが。
 写真に写った顔の記憶と見比べ、今回のターゲットとなる少女と理解するまで、さほどの時は必要無いだろう。
 傍から見れば子犬と少女の仲良い散歩風景である……その時間を除けば。
「よし……タイミングを合わせて、行くぞ」
 一時。香夜が通り過ぎる瞬間。
 そう雷輝が呟き、こくり、と香夜が頷く。
『……はぁ、はぁ……もーペロってばー』
 息を荒げながら、ジャンプで捕獲する少女。ペロと名付けられたトイプードルは僅かにじたばたしながら……その手の中に収まり、少女の頬を舐める。
『もー、いつもくすぐったいってばー』
 と笑いながら微笑む少女。そんな少女の横を通る二人。
「あら、可愛い子犬ね?」
 そう菜花が言うと、ちょっと驚いた風にしながら少女がえへへ……と笑う。
『うん、私の大好きな子犬なの。ペロちゃんって言うんだよ!』
 そう言いながら、トイプードルを地に戻す少女。
 ……すると、トイプードルは……二人の方を見て、尻尾を左側へと振る。
「……可愛い、ね……」
 そう言いながら、香夜が子犬の頭を撫でようとした瞬間。
『うー……』
 唸りながら、その手を後方へと交す子犬。じっと睨むその目線は……敵と成る者に対しての行為。
「あらあら、嫌われちゃったみたいね」
『うーん……いつもは誰にでも懐くのになー』
「仕方ないわ。ま、夜も夜だし、気をつけて散歩するのよ」
『はーい、お姉ちゃん達も仲良くねー』
 可愛い笑みを浮かべて、二人に手を振る少女。
 その間も……ずっとうなる子犬だが、少女がその頭を撫でると、また再び……走り始める。
「……よし、行くぞ」
 闇纏いのまま少女と子犬を繋ぐリードへと接近する雷輝。
 そして……巴の合図と共に、刀を抜いてリードを断ち切る雷輝。
 ぶちっと音を立てて切れたリード、体勢を崩す少女に向けて……即座に菜花が悪夢爆弾を放つ。
 眠りに落ちる少女。しかし……子犬はその走りをすぐ止める事は出来ず、多少の距離をつけて踵を返した。
 その動きは、子犬の物では無い。明らかに……意識を持って動いたもの。
「少女を頼む!」
 朱鷺親の言葉に頷き、香夜と菜花は少女に接近、確保を行い、その場を一端離れる。
 そしてその間に立ち塞がる能力者達。対しての子犬は……遠吠えをすると共に、その場に残る犬猫のリビングデッドを呼び寄せた。

「……こんなに沢山の犬猫が……」
 鍔女がぽつり呟く。
 目の前に居並ぶ、多くの子犬、子猫たちの姿。
 全てが仕えるべき主を失い、リビングデッドとなった者達。
「……くっ……でも、やんなくちゃ仕方がない。ごめんねっ!」
 そう叫びながら、トイプードルへ接近するユエル。
 雷輝、神威もその後に続くが……目の前に立ち塞がる、子犬子猫。
「あいにく……動物愛護の精神は持ち合わせて無いんだ。とっとと散れやぁ!」
「……鎮まりなさい……!」
 そう叫びながら巴は、暴走黒燐弾をその辺り一帯へと放つ。
 続けて朱鷺親、円の二人も暴走黒燐弾を使い、戦場となる河川敷を黒燐弾の雨に降らせる。
 対して……子犬子猫のリビングデッド達は、その爆撃の中を身軽な動きを持って交していく。
 まるで……戦闘を楽しんでいるかのような、そんな状況。
 更に耳に響くのは、痛がる動物たちの声。精神的な……辛さを引き起こそうとしているのだろうか。
「……くぅ……くそっ!」
 頭を振り、その声を振り払うかのように……詠唱銃を構える九竜。
 迷いを振り払い、全力を込めての……バレットレインを、子犬子猫の間に降らせる。
 的確に狙われたその銃弾は、数匹のリビングデッドを地に狙い落とす。
「やった……っ!」
 確かな手応えを感じる九竜。その一歩後ろで、同様に逆鱗を放つのは鋸女。
「くぅ……的が小さい。でも……!」
 きっと目を見開き、子犬子猫達へと狙いを定める。そして。
「遊姫さん、魔蝕の霧を!」
「分ったわ」
 頷き、その場に放たれる蝕む気。
 動きが鈍るその瞬間を狙い、鍔女は……炎の魔弾を叩き込む。
「火葬代わりに、燃やし尽くす……炎よ!」
 他の仲間に比べれば、たった一匹しか攻撃は出来ない。でも……的確に数を減らすこと、それを目標に。
 そして、ユエル、雷輝、神威の三人は、仲間達の支援を受けながら……更に接近。
 トイプードルまで後数匹前まで来ると共に、手前の敵を攻撃し、潜り込もうとする。
「くっ……ごめんねっ……!」
 雷輝の獣撃拳、神威のフロストファング、そして……ユエルのクレセントファング。
 三人は攻撃を繰り出しながら、一歩一歩……その間合いを詰める。
 対してのトイプードルは……一歩後方に下がると共に、その口に……何かを貯める。
「……来ますっ!」
 後方の鍔女が、その変化に気付き叫ぶ。
 その次の瞬間……放たれるは、火炎の玉。
 咄嗟に左右へと交す三人。その先に構える子犬と子猫。
「……させるかっ!」
「援護するわ、九竜君、今よっ!」
 鍔女はそう叫び、逆鱗を先に放ち、続けて九竜がバレットレインの雨を放つ。
 もう一方に対しても、朱鷺親と円の暴走黒燐弾が放たれ、爆発する。
「……小さな生き物を屠るのは、気持ちの良い物では無いが……悪いが、滅ぼさせて貰う」
 足下に居た子犬子猫が吹飛び、ユエル達が構え直す。即座にその後方から子猫が襲い掛かる。
「くっ……邪魔を、しないでっ!」
 至近距離の裏拳を放ち、薙ぎ倒すユエル。
 いかんせん子犬子猫の数が多い……全てを倒すのは、時間が掛かる。
 攻撃手一杯で、回復する事すらも出来ない。
「はぁ……これは、中々に厳しい戦いですね……」
 そう鍔女が言った瞬間。
「今、癒し……ます……」
 少女を置いた香夜が戻り、配置につく。
「もう、彼女は大丈夫なのか!?」
 巴の問いに答える香夜。
「ええ……もう、大丈夫……でも、あまり時間が掛かると……起きる、かも……」
「了解……しました……」
 静かに円が頷き……頷く鍔女。
「……トイプードルだけを狙うのよ、そうすれば……きっと!」
「そのつもりだ……行くぞ」
 神威の言葉に合わせ、再び距離を詰める三人。
 トイプードルの左右前方からの三方向からの接近に、相手の逃げる方角は……後方のみ。
 飛ぶように後方へと避けた……その瞬間に。
「……コレで……終わりにするよっ!」
 攻撃をせず、そのまま前転にて接近するユエル。
 逃げられる行動も出来ぬまま……その身体を、ユエルのクレセントファングが捉え、その身体は……天高く吹飛ぶ。
 その鳴き声と共に……トイプードルの身体が再び動き出す事はなく、地へと落ちるのであった。

●最愛の者は
「……終わった、な……」
 ふぅ、と息を吐く朱鷺親。
「終わった……ふぅ……数が多くてすばしっこいと、疲れるな」
 九竜もそう言いながら武器を下ろす。
 その目の前に残るは、多数の子犬子猫たちの亡骸。
「……これは、さすがに……このままだとまずいよね。埋葬、してあげようよ」
「そうだな……このままだと、寝覚めも悪いぜ」
 遊姫の言葉に巴が頷く。
 そして皆で急ぎ……少女が目を覚まさぬうちに、その亡骸を埋葬。
 小さく小盛にした所に簡素な社を建てて、静かに……祈る。
「せめて、土の中で安らかに……お眠りなさい」
「……ゆっくり、休んで……」
「少女を見守っていてやってくれ。安らかに……眠れ……」
 円、香夜、そして神威が次々と祈りを捧げると共に、急ぎ戦闘の痕跡を消しに掛かる。
 ……戦い終わり、数十分が経過した頃だろうか。
『う……ううん……』
 寝かせられていた少女が目をさます。
 その周囲には、能力者達の姿。
『あ、あれ……私……』
「気付いたようだな……浮かんでたから慌てて助けたんですよ?」
 息を付いた瞬間、川の畔という事を忘れて転落した九竜。
 少女の身体は濡れてないのに……咄嗟についたその嘘に、少女は……理解出来ずに頷く。
『あれ……ペロ……ペロは?』
 いつも間近にいる愛犬の不在に気がつく少女。
 どうするべきか……自分達が倒した等、言える訳もない。
「……僕は見てないかな。居なくなったの?」
『うん……さっきまで、ペロと一緒に走ってたのに……ペロ?』
「……きっと、一緒に落ちたとかじゃない? 大丈夫、きっとどこかでキミの事を待ってると思うぜ」
「え……っと……。うん、そうだよきっと。家で待っていれば、きっと帰ってくるよ。大丈夫だから、ね?」
 巴の言葉に、慌ててユエルが補足し、元気づけるようにその肩を叩く。
 ただ脱走した……という事にすれば、彼女が探し続けるのは目に見えている。
 もう時間は夜……河川敷を歩けば、本当に川に落ちるとも限らない訳で……。
「……もう帰れ。時間も時間だ……きっと、帰ってくるさ」
「……ああ。きっと帰ってくる。君がそう想ってくれるなら、きっとペロの救いになるだろう……」
 朱鷺親、そして雷輝の言葉に……力なく頷く少女。
 とぼとぼと帰路へ付く彼女の後ろ姿を見送りながら……。
「いくらなんでも、本当に言えばショックがでかすぎるだろうしな……これで、片が付くだろうか……ごめんな……」
 その後ろ姿に、謝りの言葉を掛ける雷輝。そして……円も。
「……もしも、この世に輪廻があるというのなら、この子が生まれ変わり、また少女と出会う事が出来ますように。そして……少女が、強くありますように」
 墓に向けて、そう……祈る。
 リビングデッドとなり、その生を奪われても尚、主人を愛し続けた子犬。
 悲しい先に、再び出会う事が出来るよう……そう夜空に向けて祈りながら、能力者達はその場を去っていくのであった。


マスター:幾夜緋琉 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:10人
作成日:2008/09/28
得票数:ハートフル1  せつない20 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。