逆転ハウス


<オープニング>


●都内某所
 性別と逆の格好をする事によって、新たな自分を見つけ出す施設があった。
 この施設がどのような理由で設立されたのか分からないが、難しい単語をいくつも並べて出資者を騙していたらしく、あっという間に資金提供が断たれて閉鎖してしまったようである。
 それでも利用者の中には無断で施設に侵入し、自らの欲望を満たしていたらしく、何人か逮捕者まで出ているらしい。
 そして、この場所で関係者と思しき地縛霊が確認された。

「みんな、集まったな。それじゃ、話を始めるか」
 運命予報士、 王子・団十郎(運命予報士・bn0019) 。
 今回の依頼は彼の口から語られる。

 廃墟と化した施設で、関係者と思しき地縛霊が確認された。
 既に施設の中は特殊空間と化しており、その中にいるだけで性別が逆転してしまう。
 もちろん、見た目が変化しているだけなので、何か特別な力があるというわけではないのだが、普段とのギャップで戦意を喪失してしまうかも知れない。
 この中では地縛霊の性別も逆転しており、筋骨隆々のファイターと化している。
 その上、特殊空間の中では飛躍的に能力が上昇しているらしく、軽くパンチを繰り出しただけでも壁を砕くほどらしい。
 しかも、特殊空間の中にはリビングデッドと化した美女達がウロついており、問答無用でキスを迫ってくるようだ。
 もちろん、彼女達も特殊空間の影響で女性に見えているだけだが、完璧な乙女を演じているのでまったく違和感がない。
 そのため、彼女達の美貌に心を奪われて、虜にならないように気をつけてくれ。

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参加者
湊川・京(強さを求める刃・b00785)
叉霧祇・柚羽(元気一杯天然ボケ系院長・b01716)
長瀬・悠(死装束ノ魂・b05099)
榊・悠(霞王・b05605)
天風・冬夜(黒キ剣・b11999)
神崎・浩太(退魔の術士・b16081)
君影・鈴蘭(エンジェリック・b27857)
灰嶋・柳(琥珀刀・b31589)
青園・真燐(無責任一代女・b35459)
武神・志摩(連綿たる拳と剣の伝承者・b37465)
雪村・雪花(高校生雪女・b45363)
葛限・木賊(葵碧月・b52247)
NPC:葛城・未織(高校生土蜘蛛の巫女・bn0081)




<リプレイ>

●逆転ハウス
「あー……、ま・た・男性になるのね、自分……」
 魂の抜けた表情を浮かべながら、青園・真燐(無責任一代女・b35459)が溜息を洩らす。
 以前にも美少年になるという経験をしている事もあり、その時の記憶がまざまざと蘇ってしまったようである。
「随分と変わった施設もあったものだな。まあ、気持ちは分からんでもないが……。スーツを着ると身が引き締まった気がするしな」
 廃墟と化した施設に視線を送り、湊川・京(強さを求める刃・b00785)がボソリと呟いた。
 逆転ハウスは秘密クラブのような場所になっており、会員達が自由に服を着る事が出来たらしい。
「私も、この施設に通っていればもう少し積極的に……。いえ、なんでもありませんよ、本当に」
 ハッとした表情を浮かべながら、君影・鈴蘭(エンジェリック・b27857)が言い訳をした。
 色々と思っている事はあるのだが、流石に口に出すつもりはないようである。
「誰しもが変身願望というものを持っているものですよね。僭越ながら、私も男だったらと思う事がありました。主に、夏、暑い日に……。薄着でも『恥かしくないかな?』と……」
 せっかくなので男性用の冬服を着込み、雪村・雪花(高校生雪女・b45363)が気合を入れた。
 しかし、胸の部分がぱっつんぱっつんになっているため、見た目以上に窮屈そうである。
「もし自分が男の子だったらどうなんだろうって想像した事はあるけど……、興味はあるな。葛城先輩も男の子になるんだよね? あんなに可愛くて胸大きいのに……、どうなるんだろう?」
 不思議そうに首を傾げながら、武神・志摩(連綿たる拳と剣の伝承者・b37465)が葛城・未織(高校生土蜘蛛の巫女・bn0081)の胸を睨む。
 そのため、未織は恥ずかしそうに頬を染め、『そんなにマジマジと見ないでください』と答えを返す。
「……新しい自分か。性別が変わる事によって、確かに環境は変わりそうだな、色々な意味で……。だが、育った環境が同じであれば、本質は変わらないような気もするが……。俺が異端なのか……むぅ」
 険しい表情を浮かべながら、長瀬・悠(死装束ノ魂・b05099)が腕を組む。
 しかし、この場ではハッキリとした結論が出ないため、特殊空間の中でゆっくりと考えてみる事にした。
「なんか、新種のアトラクションでぇあるだけなら、面白いんだけどぉね、逆転ハウスってぇ」
 逆転ハウスに関する資料を眺め、葛限・木賊(葵碧月・b52247)が口を開く。
 資料には逆転ハウスについて分かっている事が書かれており、表向きはリハビリ施設のような体裁を取っていたらしい。
 もちろん、これは出資者を欺くためであり、会員にも口裏合わせを強要していた程だった。
 それでも会員の一人が思わずポロッと言ってしまったため、この事実が出資者の耳にも届いてしまったようである。
「性別と逆の格好をして新たな自分を見つけ出すと言うのは一向に構わないが、出資者を騙すのは良くないな……。本当にリハビリ施設だと思い込み、莫大な金額を寄付した出資者もいたようだから、詐欺として訴えられているのも当然だろう」
 クールな表情を浮かべながら、天風・冬夜(黒キ剣・b11999)がキッパリと言い放つ。
 そして、能力者達はゴースト達の巣窟と化した廃墟の中へと足を踏み入れるのであった。

●リビングデッド
「わわっ、いきなり何が起こったんですか!?」
 信じられない様子で胸元を押さえ、未織が恥ずかしそうに顔を真っ赤にする。
 未織達は逆転ハウスに入った途端、地縛霊の作り出した特殊空間に引きずり込まれ、例えようのない違和感に襲われて性別が変わってしまっている事に気づく。
 それは未織にとって信じがいた事実であったが、胸がぺったんこになってしまっているので、ほぼ間違いないと考えていいだろう。
「えーっと……、男が女で、女が男……で、えっと……あ、あれ??? あぁ、もう! さっさと倒してこんな気持ち悪い空間から抜け出したいんだよ。未織ちゃ、落ち着いて。パニクッたままじゃ向こうの思う壺なんだよ」
 危うくパニックに陥りそうになりながら、叉霧祇・柚羽(元気一杯天然ボケ系院長・b01716)が未織の事を励ました。
 それと同時に皇・紫苑(常世乃姫・b21018) が悲鳴をあげ、顔を真っ赤にしたままヘナヘナと尻餅をつく。
 どうやら特殊空間の影響で姿が変わってしまったせいで、身につけていた下着が落ちてとんでもない事になっているようである。
「ううっ……、やっぱり私って男顔なのね…。そんな事よりも、柳さん? もっそい美人なんですが……」
 マジマジと鏡を眺めてひっそりへこみ、真燐が灰嶋・柳(琥珀刀・b31589)が汗を流す。
 特殊空間の影響で柳は見違えるほど美人になっており、あまり美しさに敗北感すら感じている。
「……と言う事は、そちらにいる眼鏡の方は真燐さんでしょうか? うっ……、本当に性別が変わってしまったのですね」
 真燐が差し出した鏡を受け取り、柳が精神的にショックを受けた。
 自分でも可愛いと思ってしまったため、修行不足であると自分自身を戒める。
「みんな、うろたえるな! 人の趣味は様々だ。このままだと唇まで奪われるぞ!」
 警告混じりに呟きながら、神崎・浩太(退魔の術士・b16081)がリビングデッドを睨む。
 リビングデッド達は特殊空間の力で美女と化しているが、実際には性転換途中のオカマなので、色々な意味で危険な雰囲気が漂っている。
「にゃー、近づくな――! 近づいたら、ぶっ飛ばす――!! 近づかなくてもぶっ飛ばす――!!」
 大粒の涙を浮かべながら、柚羽がリフレクトコアを展開した。
 だが、リビングデッド達の勢いは止まらず、口をタコのように尖らせて迫ってくる。
「しっ、下着をまだ拾ってもいないのに……。こっちに来ないでください〜」
 自分が男性化している事をスッカリ忘れ、紫苑が胸元を隠すようにして逃げていく。
 その姿を見てリビングデッド達が酷く興奮し、『まずはこの坊やからねぇん』と狙いを定めた。
「特殊空間の影響だと頭で分っていても、やはり、とても男性には見えません。いえ、元、男性だったとは……」
 のほほんとした表情を浮かべながら、雪村・雪花(高校生雪女・b45363)が自分の言った事を訂正する。
 その間に雪村・初音(高校生土蜘蛛・b32764)が未織の背後にまわり、いきなりケダモノの如く襲いかかっていった。
「前の時は中途半端だったわね。この特殊空間が消滅するまで、たっぷりと楽しみましょう。……女の身体じゃ出来ない事を沢山してあげるわ。例えば……、こことかね」
 妖艶な笑みを浮かべながら、初音が未織の身体を乱暴に触る。
 そのため、未織が必要以上に身体を強張らせ、『や、やめてください』と呟いた。
「そのくらいにしておけ。リビングデッド達だって、俺達を放っておくわけがないからな」
 黒燐奏甲を発動させながら、京が疲れた様子で溜息をつく。
 彼女も表面上はクールを装っているのだが、オカマ達に迫られているせいで、内心はかなり必死なようである。
「さぁ、逝ってらっしゃい♪」
 白燐奏甲を発動させながら、真燐がドンと前に押す。
 それと同時に柳が派手にバランスを崩し、リビングデッドと熱い口づけをかわす。
「あっ……」
 一瞬の沈黙。
 柳自身もその事実を受け入れる事が出来ず、『これは夢だ』と自分自身に言い聞かせた。
「……俺は何も見ていないぞ、何も、な。それにここで起こった出来事はすべて幻。そう思い込まされているだけだっ!」
 心の中で燃えるように熱い涙を流しながら、浩太が落ち込む柳の肩をぽふりと叩く。
 これ以上、彼の心を傷つけないためにも、多少の嘘をつく必要があった。
「そ、そうですね。キ、キスなんて破廉恥な! これは夢です、悪夢です」
 『夢なら早く覚めてほしい』と思いつつ、柳がリビングデッドに爆水掌を叩き込む。
 その一撃を喰らってリビングデッドが『あん☆』と悲鳴をあげ、能力者達をさらに不快な気持ちにさせていく。
「ゴーストなんぞに興味はない、いい加減くたばれ」
 筋肉質の胸を豪快に揺らし、浩太がパラノイアペーパーを放つ。
 妄想が具現化した漫画原稿はリビングデッドの服を切り裂き、『いやぁ〜ん』と甘ったるい悲鳴が響き渡る。
「これでも食らえ」
 リビングデッド達に狙いを定め、京が暴走黒燐弾を撃ち込んだ。
 それと同時にリビングデッド達は唇を尖らせたまま、黒燐蟲に襲われて跡形もなく食い尽くされた。
「……って、葛城さんが大ピンチ。『白馬の騎士、参上!』なんちゃって」
 すぐさまのナイトメアランページを放ち、真燐が未織の背後に立っていたリビングデッドを倒す。
 そのため、初音が驚いた様子で目を丸くさせ、一瞬『自分を狙ったのではないか』と勘違いをする。
「……あれ? ここは?」
 キョトンとした表情を浮かべながら、雪花がキョロキョロと辺りを見回した。
 どうやら特殊空間から追い出されてしまったらしく、地縛霊と戦っている仲間達の姿が見当たらない。
「やっぱりこうじゃなきゃダメなんだよ〜♪」
 満面の笑みを浮かべながら、柚羽が未織に飛びついて胸を触る。
 何とか無事に帰って来る事には成功したが、紫苑の下着は特殊空間に残ったままだった。

●地縛霊
「なんだか、いきなり胸が軽くなったような……。も、もしかして私…今殿方になっているのでしょうか。ど、どうしましょう…恥ずかしいです」
 今まで感じた事のないような感覚に襲われ、鈴蘭が内股で身体をモジモジさせる。
 あまり慣れない姿だったのでしばらく違和感を覚えていたが、いつまでも恥ずかしがっているわけにもいかなかった。
「う、うわ!? 男になってる!?」
 特殊空間の影響で短髪になっている自分に気づき、志摩が魂の抜けた表情を浮かべて肩を落とす。
 先程まで視界の片隅で眼鏡美少年が弄ばれていたようだが、まるで最初からいなかったように姿を消していた。
「そんなに驚く事はないだろ。ほら、これで楽になったぞ」
 急に胸が窮屈になってきたため、木賊がポタンを外してニコリと笑う。
 その途端に胸がポヨンと顔を出したため、女性陣が慌てた様子で駆け寄った。
「落ち着けっ! ……たくっ! 何をそんなに騒いでやがる」
 不機嫌な表情を浮かべながら、榊・悠(霞王・b05605)が仲間達を叱りつける。
 何故か悠は外見的にそれほど変化がないため、仲間達がどうして騒いでいるのか、理解する事が出来ない。
「確かに……、それほど騒ぐ事ではないな」
 納得した様子で答えを返し、冬夜が黒燐奏甲を発動させる。
 それに合わせて地縛霊が雄叫びをあげ、全身の筋肉をムキムキと隆起させた。
「えっと……、相手は筋骨隆々のファイターですけれど本当は……女性? 何だかややこしいですね」
 混乱した様子で地縛霊を見つめ、鈴蘭が黒燐奏甲を発動させる。
 次の瞬間、地縛霊が物凄いスピードで距離を縮め、軽くパンチをしただけで壁を砕く。
「想いひとつで壁をも砕く、か……。だが、こちらはそうではないようだな」
 思ったよりも体に力が入らなかったため、悠(死装束ノ魂)が黒燐奏甲を発動させる。
 その間に地縛霊が連続してパンチを繰り出し、悠(霞王)の胸を見てフンと鼻で笑う。
「ちょっと待て! いま俺の胸を見て笑っただろ。ほら、いまもっ! わ、笑うな!」
 何度も地縛霊に笑われたため、悠(霞王)が大粒の涙を浮かべてブチ切れる。
 しかし、地縛霊には攻撃がまったく当たらず、弱体化した自分に腹を立てた。
「リーチが違った感じで何か調子が狂うなぁっ!?」
 旋剣の構えで攻撃力をアップさせ、志摩が一気に間合いを詰めていく。
 それと同時に地縛霊が軽やかにステップを踏み、志摩の放った龍尾脚を寸前で避ける。
「調子に乗っているんじゃねえぞ、オイ!」
 激しい怒りに襲われながら、悠(霞王)が地縛霊に紅蓮撃を叩き込む。
 その一撃を喰らって地縛霊が膝をつき、一瞬にして全身が魔炎に包まれる。
「……見通せ、黒き瞳! 黒牙魔瞳!」
 すぐさま呪いの魔眼を放ち、冬夜が地縛霊の身体を内側から切り裂いた。
 そのため、地縛霊は特殊空間を維持する事が出来なくなり、みるみるうちに元に戻っていく。
「そこまでの美貌を持ちながら、いったい何が不満なんだ?」
 納得のいかない様子で地縛霊を見つめ、悠(死装束ノ魂)がスラッシュロンドを炸裂させる。
 だが、地縛霊は完全に力を失っているので、能力者達に傷ひとつつける事が出来なかった。
「大人しく墓に帰れっ!」
 目にも止まらぬ速さで回転しながら、木賊がローリングバッシュを放つ。
 その一撃を喰らって地縛霊が宙を舞い、特殊空間もろとも消滅した。
「来世では良い人生を送ってくださいね……」
 ゴーストと化した犠牲者達に冥福を祈り、志摩がゆっくりと両手を合わす。
 その間も悠(霞王)は隅っこに座り、何やらいじけた様子で床に『の』の字を描いていた。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:12人
作成日:2008/10/07
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冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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