見え過ぎちゃって困るの


<オープニング>


●ストリーキング
 都内某所に『キングストリート』と呼ばれる場所があった。
 本当は別の名前があるのだが、近隣の住民達が皮肉を込めて、そう呼んでいるらしい。
 この通りは以前まで小学校の通学路として利用されていたが、頻繁に露出狂が出没していたせいで犬の散歩ですら使われなくなり、大型トラックの裏道として利用されていた。
 ただし、この辺りはとても見通りが悪いので、大型トラックに轢き逃げされた露出狂もいるらしく、シュールな内容の張り紙が哀愁を誘っている。
 そして、この場所で関係者と思しき地縛霊が確認された。

「みんな、集まったな。それじゃ、話を始めるか」
 運命予報士、 王子・団十郎(運命予報士・bn0019) 。
 今回の依頼は彼の口から語られる。

 キングストリートと呼ばれる場所で、関係者と思しき地縛霊が確認された。
 この通りは露出狂が頻繁に目撃されていた場所で、多くの小学生にトラウマを植え付けて忌み嫌われているようだ。
 どうやらここは一時期、度胸試しの場所として利用されてたいたようだが、轢き逃げ事件があったせいで最近ではそう言った事もなくなっている。
 その代わり、リビングデッドと化した犠牲者達がコート一枚でウロついており、ターゲットを発見すると腐った身体を見せつけるようにしてバサッとコートを開くらしい。
 リビングデッド達の身体はほとんど腐っているため、いやらしいというよりも気持ちが悪く、間違いなくトラウマになってしまう程だ。
 既にキングストリートの一部が特殊空間と化しており、その中ではどんな格好をしていても、コート一枚の姿になってしまい、体が腐っていると錯覚してしまう。
 そのため、例え武器などを持っていたとしても、まったく見えなくなってしまうので、ダークハンドやクレセントファングなどを使って地縛霊と戦う必要がある。
 もちろん、特殊空間から脱出する事さえ出来れば元に戻るから、どんな事があっても惑わされないように気をつけてくれ。

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参加者
榊・悠(鳳火滅翔・b05605)
眞壁・留実(沈まない杯・b06345)
御子柴・蜂蜜(涙蜂・b10907)
龍臥崎・まきな(魔龍少女・b16153)
恋草・望(愛と平和・b16805)
亜麻・空(クレイジーチューナー・b17770)
朔楽・ひより(長閑日和・b20005)
シフォン・ブロウニン(うぃずマサさん・b21079)
十三夜・ひばり(純粋培養エアライダー・b27646)
ジェニファー・スウィート(全てを滅ぼす狂気の魔皇・b30598)
焔堂・空々翔(空を翔る程度の能力・b41706)
桜井・龍華(陰陽秘めし者・b42519)



<リプレイ>

●都内某所
「キングストリート……、まさに『王の道』ですね!」
 感動した様子でキングストリートを眺めながら、十三夜・ひばり(純粋培養エアライダー・b27646)が拳をギュッと握りしめる。
 キングストリートのまわりには身を隠すための茂みが多いため、露出狂にとってはまさにパラダイスと呼べる場所になっていた。
 そのため、この通りが小学生達の通学路になっていた頃は、露出狂が自らの腕(股間?)を披露する発表の場と化していたらしい。
「これは……、確かにシュールなのです……」
 『飛び出し注意!』の看板を眺めながら、龍臥崎・まきな(魔龍少女・b16153)が汗を流す。
 看板には車に轢かれる露出狂の絵が描かれており、この場所で変質者が多かった事を物語っている。
「変質者に追いかけられた事があるけど、経験上変質者ってこちらが下手に反応すれば喜ぶだけだから冷静に対応した方がいいんですよね〜。とりあえず亡くなってまで見せようとしないでほしい」
 どこか遠くを眺めながら、桜井・龍華(陰陽秘めし者・b42519)がボソリと呟いた。
 露出狂の聖地と化していた頃は、時間内でどれだけ多くの相手にトラウマを植え付ける事が出来るのか競い合っていた事もあったようだが、最近では警察の取り締まりが増えているおかげで平穏を取り戻しつつあるらしい。
「うーん、いわゆる露出狂っていうやつだねぇ……。ちょっと理解できない趣味だわー」
 必要以上に厚着をしながら、眞壁・留実(沈まない杯・b06345)が闇纏いで身を隠す。
 もちろん、そんな事をしてもリビングデッド達が現れればまったく意味はないのだが、気持ち的に嫌なので出来る事なら見たくはないようである。
「ちなみに露出狂とストトリーキングは、別物なので混同してはいけません。そもそもストリーキングとは1974年に……云々」
 『露出狂とストリーキングの違い』について予習してきた知識を延々と語り続け、朔楽・ひより(長閑日和・b20005)が現実逃避をし始めた。
 既に仲間達も別の事を考えていたり、素数を数えたりしているため、ひよりと同じような状況に陥っているようである。
「どちらにしても、まったくつまらない存在だね。己の欲望を満たす事だけ考えて相手に対する愛が無い。お互いの想いが合ってこその愛なんだからね」
 不機嫌な表情を浮かべながら、恋草・望(愛と平和・b16805)がキッパリと言い放つ。
 彼らの気持ちを理解する気もないので、可能な限り相手にはしたくないタイプである。
 次の瞬間、コート一枚の姿でリビングデッド達が現れ、能力者達の逃げ道を塞ぐようにしてまわりを囲む。
 そして、不敵な笑みを浮かべてジリジリと迫り、一斉にコートをガバッと開いて臓物を垂れ流す。
「うぅ……、最近ずっと気持ちの悪い所にしか来てない気がするぜ……」
 激しい吐き気に襲われながら、焔堂・空々翔(空を翔る程度の能力・b41706)が口元を押さえた。
 リビングデッド達の身体はコートに隠れた部分から腐っており、下水道の中にいるのではないかと錯覚するほど異様な臭いが漂っている。
「ネクロファリアじゃないオレには、ちょっとキツイっすね」
 青ざめた表情を浮かべながら、亜麻・空(クレイジーチューナー・b17770)が視線をそらす。
 リビングデッド達は臓物が腹から出ていてもまったく気にせず、逆に興奮した様子で鼻息を荒くさせている。
(「しゃべらないのです、語らないのです。これから起こる事は一時の夢。これは悪夢です……」)
 自分自身に言い聞かせるようにしながら、御子柴・蜂蜜(涙蜂・b10907)が乾いた笑いを響かせた。
 思ったよりもリビングデッド達の姿が刺激的過ぎたため、早くも家に帰りたい気持ちになっている。
「も〜、信じられないゴーストねぇ。腐った体見せ付けられても、困るだけなのに……。もー、こんなものをいつまでも見たくないから、さっさと倒しちゃいましょ。いくわよ、マサさん」
 サキュバス・ドールのマサさんに声をかけ、シフォン・ブロウニン(うぃずマサさん・b21079)がリビングデッド達に攻撃を仕掛けていく。
 それに合わせてマサさんがコスチュームプレイを行い、自らの能力を高めていくのであった。

●リビングデッド
「そ、そんな……。露出狂の敵が一杯いるって聞いたから、わざわざ一眼レフまで用意したのに! これじゃ、参考資料になりません! なんてこったい!」
 悔しそうに足踏みしながら、ひばりがリビングデッド達を睨む。
 例え一眼レフを用意したところで、ゴーストがいる場所では、マトモに機能するわけがないのだが、そんな事などすっかり忘れてしまっているため、敗北感が心の中に渦巻いている。
 だが、『参考資料など不要、妄想で補完!』という有難い言葉が脳裏に響いたため、すぐに立ち直ってリビングデッド達の身体を瞳に焼きつけた。
「……って、そんな事を言っている場合じゃありませんよ。ほ、ほら、リビングデッド達が喜んでいるじゃありませんか。そんな事をしたって逆効果ですよ!」
 ひばりにツッコミを入れながら、ひよりがギンギンパワーZを口に含む。
 この時点で挫けそうになっているため、気合を入れておかねば心がポッキリと折れてしまいそうである。
「と、ともかく、これ以上の被害を食い止めるため、全力で参ります……! 静寂と共に湧き上がれ、我が内の魔なる力!」
 色々な意味で身の危険を感じながら、まきなが魔弾の射手を発動させた。
 それに合わせてリビングデッド達が興奮した様子で鼻を鳴らし、自信に満ちた表情を浮かべてコートの中身を見せつけた。
「……キャ! もぅ、開くなら開くって言ってよッ!! ……そうだ、いい事を思いついた。お前ら、オレの原稿のネタになれ」
 何となく幼馴染風の恥じらいを見せ、空がパラノイアペーパーを放つ。
 しかし、リビングデッド達はコートを切り裂かれる事に快感を覚え、『もっと激しく』と言わんばかりに襲いかかってきた。
「ち、近寄らないで下さいっ」
 大粒の涙を浮かべながら、ひよりがスラッシュロンドを炸裂させる。
 その一撃を喰らってリビングデッドの身体が宙を舞い、辺りに勢いよく臓物をぶちまけた。
「粗末な物を見せるな。さっさと消えろ」
 すぐさまダークハンドを放ち、龍華がリビングデッドに冷たく言い放つ。
 その一言でリビングデッド達のプライドがズタボロになり、『俺達が生きていた頃は、もっと凄かったんだぞ』と反論した。
 だが、能力者達はその姿を確認する事が出来ないため、誰ひとりとしてリビングデッド達の言葉を信じていない。
「マサさん、やっちゃいなさ〜い」
 雪だるまアーマーを発動させながら、シフォンがマサさんに命令を下す。
 その命令に従ってマサさんがリビングデッドに纏わりつき、容赦なく精気を貪った。
「こ、これは凄いですっ! マサさんのおかげで大事な所がうまく隠れ、グロテスクな身体を芸術の域まで高めていますっ! そのまま動かないでくださいね。……絶対ですよ!」
 感激した様子でリビングデッド達に語りかけ、ひばりがふたりの姿を心のアルバムに刻み込む。
 しかし、リビングデッド達が邪魔をしてきたため、パラノイアペーパーを放って反撃した。
 彼女の放った妄想原稿は大事な所はうまく隠れた、秘してこそ華のチラリズム仕様!
「アタシの吹雪はそんな格好じゃ寒いわよ」
 リビングデッド達に語りかけながら、シフォンが吹雪の竜巻を炸裂させる。
 途端に氷雪に満ちた竜巻が発生し、リビングデッド達を魔氷に包む。
「汝、塵なれば塵に返るべし! つ・ら・ぬ・け――――ッ!!」
 一気に間合いを詰めながら、まきなが水刃手裏剣を炸裂させる。
 その一撃を喰らってリビングデッドがコートを脱ぎ捨て、生まれたままの姿になって肉塊と化した。
「……何だか疲れましたね、色々と……」
 魂の抜けた表情を浮かべながら、龍華がその場にペタンと倒れ込む。
 だが、あまりにもインパクトがあったため、瞳を閉じればリビングデッド達の姿が浮かぶ。
「これから冬を迎えるというのに……。何というか、アレですね……」
 生温かい視線をコートに送り、ひよりが乾いた笑いを響かせた。
 リビングデッド達がコートを羽織っていたせいで、反射的に鳥肌が立ってしまうため、このままだとトラウマになってしまいそうである。
「うっ……、想像しただけでも吐き気が……」
 青ざめた表情を浮かべながら、空が口元を押さえて視線をそらす。
 そして、能力者達は『今夜は悪夢を見そうだな』と思いつつ、特殊空間に引きずり込まれた仲間達の帰りを待つのであった。

●地縛霊
「な、なんだ、こりゃ!?」
 唖然とした表情を浮かべながら、榊・悠(鳳火滅翔・b05605)が悲鳴を上げる。
 地縛霊の作りだした特殊空間に引きずり込まれた途端、能力者達が身につけていたものが消え去り、コート一枚になってしまったので違和感を覚えているようだ。
 もちろん、これは地縛霊が見せた幻なので、能力的にはまったく変化がないのだが、それでもみんな動揺が隠せないようである。
「なんつうか、全身だるくて余り話したくねぇんだけどさ。コレだけは言わせてくれ……、サイズがでけぇ! 手が出てない所か、裾も引きずりまくりだし、オレは上様か?」
 魔弾の射手を発動させながら、空々翔が地縛霊に対して文句を言う。
 どうやら空々翔のコートが成人用だったため、ブカブカし過ぎて身動きが取れないようである。
 その言葉を聞いて地縛霊も罪悪感を覚えたのか、コートのサイズをピッタリに調節した。
「いや……、そういう問題……なのか。何か違うだろ」
 困った様子で汗を流しながら、空々翔がブツブツと説教をし始める。
 地縛霊のおかげでコートがオーダーメイドしたかのようにピッタリフィットしているのだが、素直に喜ぶ事が出来ないというのが本音であった。
「まぁ、いいんじゃないのかな? せっかく気を使ってくれたんだし……」
 祖霊降臨を発動させながら、ジェニファー・スウィート(全てを滅ぼす狂気の魔皇・b30598)がクスリと笑う。
 それに合わせて地縛霊も『HAHAHA』と笑い、辺りに何とも言えない微妙な空気が漂った。
「それよりも、なんだい!このふざけた特殊空間はっ! 露出させたいのなら、腐らせる必要までないだろ? どんだけさらけ出したいんだよ。キャストオフしたければ、一人でやってくれ」
 不機嫌な表情を浮かべながら、望が黒燐奏甲を発動させる。
 そのため、地縛霊がフンと鼻を鳴らし、勢いよくコートをバサッと開く。
 途端にポッカリと開いた腹の中から臓物が飛び出し、能力者達に襲いかかっていった。
「うわっ、気持ち悪い!」
 ハッとした表情を浮かべながら、留実が臓物めがけてダークハンドを放つ。
 しかし、臓物が次々と絡まっていくため、だんだん身動きが取れなくなっていく。
「ちょっと仲良くなれると思ったのに……」
 残念そうに溜息をつきながら、ジェニファーがリフレクトコアを展開する。
 そのたび、コートの中から臓物がチラつき、まわりにいた仲間達が複雑心境に陥った。
「何だか味方が的に見えてなりません。……が、敵は間違えないのです」
 身体が徐々に腐敗していくような感覚に襲われ、蜂蜜が地縛霊に対してナイトメアランページを放つ。
 それと同時に蜂蜜の臓物が地面に転がり落ち、一気に気分が悪くなってきた。
「いくら錯覚とは言え……、シャレにならないな、こりゃ」
 臓物がこぼれおちないように押さえつつ、悠が地縛霊に呪いの呪眼を炸裂させる。
 だが、地縛霊は恍惚とした表情を浮かべるだけで、ほとんどダメージを受けていないように見えた。
「うへぇ、気持ち悪すぎる。オレ、グロいのダメなんだよなぁ……」
 今にも泣きそうな表情を浮かべながら、空々翔が身体に絡みついた臓物を引きちぎる。
 それに合わせて地縛霊が臓物を腹に仕舞い込み、能力者達を挑発するようにしてピョンピョンと飛び跳ねた。
「……そこまで気持ち悪いかなぁ? 全然、気になんないんだけど……」
 不思議そうに首を傾げながら、ジェニファーが空々翔に答えを返す。
 彼女の場合、この手の事に対して免疫があるため、まったく気にならないようである。
「私は……、気になるかな。ちょっと目につくモノがあるから……」
 視線のやり場に困りながら、留実が地縛霊にダークハンドを放つ。
 しかし、地縛霊が妙な動きをしているため、どうしてもその部分に攻撃が命中しそうになっている。
「……もはや色々ありすぎて疲れました……」
 乾いた笑いを響かせながら、蜂蜜がガックリと肩を落とす。
 その姿を見て地縛霊がひどく興奮し、コートを開いたまま勢いよく飛びかかってきた。
「……見られたいんだろ? それなら穴が開くほど観て殺るよ!」
 地縛霊に語りかけながら、望が呪いの魔眼を炸裂させる。
 次の瞬間、地縛霊の身体が内側から裂け、歓喜の声が特殊空間内に響く。
「二度と出てくるな」
 かつてない程の気持ち悪さを感じながら、悠が吐き捨てる様にして呟いた。
 それと同時に特殊空間が崩壊を始め、能力者達が元の場所に戻ってくる。
「それにしても並のホラー映画よりも怖かったな。暫くはどんなに怖いのを見ても、驚かなくてすみそうだぜ」
 深呼吸をして新鮮な空気を吸い込み、空々翔が仲間達に対して軽く冗談を言う。
 そして、能力者達は『この道だけは二度と通るまい』と思いつつ、疲れ果てた表情を浮かべて帰路に就くのであった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
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いまいち
参加者:12人
作成日:2008/10/23
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冒険結果:成功!
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