I Love PAD娘!


<オープニング>


 時は夜、人々が就寝の準備を始めるころ。コンパ帰りの女子大生が、町外れの公園前で溜息を吐いていた。
 顔立ちは悪くないのに、どうして一歩遅れを取るのだろう? やっぱり……が小さいからか? せっかく、恥を忍んで……まで付けて行ったというのに……。
 溜息にそんな想いを込めながら、女子大生はきっと空を睨みつけた。恨みますとでも言いたげに、瞳の端にそっと涙を湛えながら……。
「……ど……」
「……?」
「ぱ……」
 そんな折、公園の方から不気味な声が響いたから、女子大生はそちらへ視線を向ける。すると、ポロシャツとジーンズを身につけた痩せ細った男が目に映った。
「ぱ……ど……」
 男はゆらりゆらりと揺れながら、女子大生の方へ近づいてくる。
 恐怖を感じた女子大生は、踵を返して一目散に逃げ出した。
「……パッドォォォ!」
 男の上げた叫び声に、ムカつく余裕もありはしない。
 何故なら男はこの世ならざるもの。鎖を引き摺る、地縛霊と呼ばれる存在なのだから。

 集った皆を出迎えた長谷川・千春(中学生運命予報士・bn0018)。彼女は最後に訪れた春宮・静音(バトルマニアガール・bn0097)を出迎えて……。
「大丈夫、きっと何とかなるよ!」
 肩に……はちょっと届きにくいので、背中を軽く叩きながらそうのたまった。
「……どういう意味?」
「じゃ、みんな集まった事だし、早速説明始めるよー」
 静音の疑問は軽くスルーして、千春は説明を開始するのだった。
 事件が起きているのは住宅街の外れにある寂れた公園。出現したのは地縛霊で、今までに被害者はいない。
「人通りは少ないんだけどね。それでも皆無じゃないから、いつ出現条件を満たした人が犠牲になるか分からない状態なの」
「その前に退治する必要がある……ってことね?」
「うん。そうなるねー」
 千春は場所をメモ書きした地図を渡しながら、説明を続けていく。
 現場は先に話したとおり、住宅街の外れにある寂れた公園。裏通りから連なる道にあり、時間帯によってはそこそこ人通りがある。
「けど、幸い出現する時間帯は人通りがほとんどないね。だから、目撃者を気にする必要は無いと思うよ」
 出現条件は、夜九時から十時の間に女性がそこの近くを通る事。さすれば、不気味な声を上げながら出現する。
「声?」
「うん。えっと……パッド、って言ってるように聞こえるかな?」
「パッド?」
「うん。その辺りは地縛霊の性質に関わってくる部分だから、これから説明するね」
 地縛霊の姿は、ポロシャツにジーンズを着た痩せ細った男。神秘的な力に優れ力強さを弱点とし、タフな体力を持つ。
「戦いになればまず、戦場全体に手を伸ばして乱舞して……えっと、その中にいる人たちの胸の辺りを確かめてくるね」
「ふーん、胸の辺り……て、ええ!?」
「威力自体は低いんだけど、かわしづらいし確実に当ててこようとしてくるから……女の子は何か対策をしたほうがいいと思うな」
 その技の真意は、パッドを装着しているかどうかを確かめるためだと想像される。何故なら、その有無によって次のように分岐するからだ。
 パッドを装着している者には、嬉しそうに喚きながら抱きついてくる。威力はそれほどでも無いが、一度に何度も命を吸われる可能性がある。
 逆に、装着していない者が近づいたなら衝撃波による洗礼が待っている。これは威力が高く吹き飛ばしの効果を持つ技だ。
「ちなみに、乱舞は最初以外にも時折使ってくるみたいだから油断しないでね」
 これで説明は終わり! と、千春はメモを閉じるのだった。

「……ねえ、長谷川先輩?」
 相手が相手だからか不機嫌な様子で顔を朱に染めている静音。しかし、疑問があるのか首をかしげて問いかけた。
「ん、何かな?」
「パッドって何?」
「……えーと」
 そういえば説明していなかった事に気付いた千春。他にも分からない人がいるかなーと教室を見回して……。
「……他に人に聞くといいんじゃないかな? それに、もしパッドが分からなくても、胸に雑誌を仕込むとかしていけば、触られずに済むと思うし」
 集まった皆に丸投げした!
 ……ともあれと、千春は一度咳払い。そして、締めくくりの言葉を紡いでいく。
「色々と嫌な相手だけど、実力はそこまででもないから、油断しなければ大丈夫だと思うよ。みんな、頑張ってね!」

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参加者
佐神・忍(定石という世界に反逆する獣・b00089)
風見・玲樹(の弱点は虫・b00256)
遠江・早来(修羅鬼・b00991)
日比野・未来(シャイニィフェニックス・b21096)
黒霧・ちはや(二次元の世界に行きたい・b30709)
ティエン・ファン(らいふいずわんだほー・b42987)
若生・めぐみ(癒し系毒舌巫女見習い・b47076)
神栖・綾(蒼穹の巫女・b47597)
カミーユ・ゴールド(藍の怪しい錬金料理人・b47641)

NPC:春宮・静音(バトルマニアガール・bn0097)




<リプレイ>

●ささやかです
 お月様が輝く藍色の空の下、星々に見守られながら歩く能力者たち。電灯に照らされた道を進み目指すのは、変質者もとい地縛霊が出現する町外れの公園である。
「ふふ、ふふふ、ふふふふ……」
 その中でも、カミーユ・ゴールド(藍の怪しい錬金料理人・b47641)は湧き上がってくる笑みを堪えられないよう。もっとも、眼が笑っていない。以前倒した敵にまな板やらな地縛霊が居たからだろうか。今回の地縛霊も、ある種同質の性質を持つ輩なのであるし。
「ぺたん娘同盟総帥として、こんな不埒な輩は残さず滅ぼしてくれますわ。ええ、それが能力者の務めですもの!」
 カミーユは、拳を天へと振り上げる。私情を挟まず? 地縛霊を倒す意志を固めているのだろう。
「貧乳は正義ですわよ!」
「わかります! 貧乳こそが全てですよね!」
 ある種の決め台詞で飾ったカミーユに、黒霧・ちはや(二次元の世界に行きたい・b30709)が同調する様子を見せている。
「それを偽るなんて勿体無いですよ! 言語道断!」
 今宵の地縛霊。パッドを装着した者に抱擁を施そうとしてくる輩。
 もっとも、ちやはの叫びは怒りの矛先が何となく別の方へ向いている気がする。例えばパッドそのものに対してとか。ともあれ、ぶつける先が地縛霊なので良いのだろう。
「女の子の胸を触るなんてサイテーだしね!」
 続いて紡がれた言葉はほぼ万人に共通する認識だろうし。
 ……そんな、ある意味で頼もしい仲間の言葉を聞きながら、神栖・綾(蒼穹の巫女・b47597)は深い深い溜息を一つ。……決して仲間たちの様子についた溜息ではない。本意は、どうしてこのような地縛霊が……という諦め混じりの疑念なのだから。
 一方、今まで仲間たちのある部分と自分のを見比べていた日比野・未来(シャイニィフェニックス・b21096)。
「……少し安心しました」
 安堵の息を吐いたのは、悩みは自分だけが抱いているのではない、という事を悟ったからだろうか。いや、何の悩みなのか、とは明記しないが。
 ……そんな、パッドに頼らず雑誌などにより胸をガードする道を選んだ乙女たち。綾を除いて余り様相が変わっていないように思えるのは言わぬが華か。
 一方、パッドを装着する道を選んだ乙女たち。彼女たちは道路を歩きながら、先の四人に負けないほどの彩を見せている。
「パッドは、その……胸に自身のない人が……少しでも大きく見せるために使うものなんですよ……」
 恥かしそうに頬を染めながら、若生・めぐみ(癒し系毒舌巫女見習い・b47076)は春宮・静音(バトルマニアガール・bn0097)に耳打ちしていた。
「知ってるわ。カミーユ先輩に教えてもらったもの」
 応える静音も頬染めながら、年齢と胸囲の差からか若干めぐみのものより大きく見せる事になっている胸(偽物)を指し示していた。
「ふっふっふっ……」
 他方、今宵最後の乙女ティエン・ファン(らいふいずわんだほー・b42987)。彼女の場合、胸の偽装といったら古来から肉まんと相場が決まっているのだと、まだ暖かさが残っている大きな肉まん二個をラップに包んだ上で胸に詰めていた。
「グラマラスな私爆誕!!」
 二人とは違い、ティエンはどことなく輝いている気がする。肉まんのサイズが功を成したのか、パッドを詰めた女性陣の中では一番大きいし。
 そのように色々な、本当に色々な華で魅せている女性陣をよそに、守護の誓いを各々立てている気がする男性三人。
 遠江・早来(修羅鬼・b00991)はティエンと同様、胸に肉まんを詰めている。とりあえず本人が自覚している通り、胸だけは女性っぽく見えるだろうか。
 隣には風見・玲樹(の弱点は虫・b00256)が大胆に胸を張って歩いている。自信満々に示されている箇所は男性としてはありえない形を成し、女性としても珍しい大きさにまで成長していた。
「ここまで目立てば、触りたくてしょうがなくなるだろうね!」
 自信満々に宣言する様子から、本人とても楽しそう。
 そんな輪から少し離れた場所で、佐神・忍(定石という世界に反逆する獣・b00089)は気を高めていた。パッドはつけず、ただ地縛霊を後ろには通さないと、守護の意識を強めるために。
 ともあれ、そんな感じで進んで行ったならば、いつのまにやら公園へと辿り着く。ならばめぐみを囮に立てて、地縛霊を呼び出そう。

●さわさわダメです
 遥かな天空から降り注ぐ月明かりと夜闇を照らす電灯。そして、暗闇を否定する光に公園が明るく輝く中、めぐみの声が響き渡る。
「変態さん、見つけましたよー」
 それは地縛霊が暗がりから現れた合図。耳に留めた仲間たちは、戦うために駆け出した。
「ぱ…………ど……ぱ……ど……」
 地縛霊の姿はポロシャツにジーンズを来た痩せ型の男。しかし、目をぎらぎらと光らせる様子はとても常人のものではない。
 故に未来は思考を開始する。地縛霊とは、強い怨念を残して亡くなった者の残留思念が形になったものであるのだから……と。
「……一体、どんな亡くなり方を……」
 ……多分、考えていても普通は答えに至らないし、わかりたくも無いような気がする。
「……深く考えても仕方ありませっ」
「パッドォォォォォォォォ!」
 故に思考を切り替えようとしたところで、地縛霊が腕を四方八方に伸ばしてくる。それ即ち、女性の胸を触るための技
 胸を雑誌でガードしている未来はある程度大丈夫なものの、やはり怖気はある。
「……乙女の胸に……気安く触るんじゃなぁいっ!」
「きゃ! ちょ、ちょっとどこをさわってるんですか!!」
 未来が叫ぶ中、綾も乱舞による洗礼を受けてしまった。そのためか、思わず胸の辺りを手で守っている。木の板でガードしているため強固な守りなのだが、それでもその行為自体が気持ち悪いのだろう。
 彼女たちを筆頭に、他の仲間たちも次々と洗礼を受けていく。
「うわっ……! 酷い、お嫁にいけない……なんてね!」
「あ、潰れちゃった……グラマラスな私、早くも終了!」
「……くすん、全然痛くない」
「きゃあっ……ちょ、ちょっとぉ……」
 もっとも、ちはやは二人同様胸を雑誌で防ぐ方向を選んだため平気な様子だし、ティエンはティエンで胸を触られた事よりも肉まんが潰れた事を悲しんでいた。
 一方、めぐみが詰めたパッドに衝撃が吸収された事に落ち込む様子を見せている横で、パッドがへこんだため擬似的に触られてしまったと感じた静音は涙目で地縛霊を睨みつけている。
 悲劇? に見舞われてしまった女性陣。
 そんあ喧騒を聞きながら、自らも洗礼を受けてしまった早来。
(「面妖……ですね。色情……狂っている訳では無い……様ですが……。何れ、せよ……破廉恥、いけない……思います」)
 彼は地縛霊の攻撃に困惑しながらも、その辺りの思考は全て脇に追いやった。そして、とりあえずセクハラ、撲滅だと手甲に紅蓮を纏わせる。
 紅蓮は躊躇い無く振り下ろされ、地縛霊の体を包み込む。そんな中、玲樹も地縛霊の下へと辿りついた。
「さあ、思う存分触るがいいわよー!」
 ほほほほ、と笑いながら胸を張って示している。今宵一番大きな形となっている胸を。
 光に照らされよく揺れている、それは女の子を護る為に施した偽装なのだが……口調がなんだか女の子っぽくなっているため、どことなく不安が残る気がする。
「女の子達」
(「の胸は」)
「僕が守るの! 変態は僕が許さないんだからねー!」
 ともあれとりあえずは真剣に、完全に近づくや否や膝を抱えて回転し、体当たりをぶちかます。直撃しなかったのは疑念が混じったからか。もっとも、大きなダメージは与えられたと思われる。地縛霊が若干姿勢を崩したのだから。
「ぱ……ど……ドォ!」
 一方、地縛霊は姿勢を正すと同時に魔なる炎を振り払う。後、忍に……パッドを装着していない者に対して、強き衝撃波を放った。
 得意な性質の力ではなく防具の加護も無いが、何とか二振りの黒白の剣を縦に受け止める事に成功。次が来たら受けきる事ができないかもと考えつつ、魔狼のオーラを身に纏った。
 後ろからは、男性陣に守られていることに安心しきっているカミーユが、真グレートモーラットのキャロちゃんを援護に向かわせながら炎を生み出す。
「貧乳の鉄槌を受けなさい!」
 貧乳と書いてせいぎと読む。そんなノリで炎を放ったなら、地縛霊は再び炎に包まれた。
 戦いは、主に炎による熱で幕を開いた。果たして、戦いはどう推移していくのだろう? とりあえず乱舞をあまり放って欲しくなのは確かだろうけど……。

 戦いは地縛霊のタフという性質通り、また抱きつきによる吸収の技により長期戦の様相を呈してきた。また、地縛霊の技は、早来以外の前衛二人は得意としない性質な上に防具による加護も無かったため、予想以上にダメージを受けてしまっている。
 けれども相手もまた消耗しているはず……そう願い、最大限の力を込めて叩き潰すしかない。たとえアビリティが無くとも……。
 光明が戦場を照らし、涼しき風が心地よく熱を冷ましてくれる。そんな中、地縛霊の手が伸び戦場を、そこに立つ能力者たちを縦横無尽に蹂躙した。
「へーん、雑誌があるから平気だってば!」
「やはり、あまり愉快ではありませんわね」
 現状、精神的には一番嫌な技。けれども、ちはやは余裕があるのか不敵に笑っている。カミーユは雑誌に守られているとは言えどやはり嫌なのか、怒りの念が強いご様子だ。
 そんな中、玲樹が豪華な大鎌に影を纏わせ横に振るう。大鎌は地縛霊に大きな傷を刻みつけ、体勢を完全に崩れさせていた。
 けれども地縛霊はめげる事は無い。跳ねるように起き上がり、近くにいた早来に抱きついた。
「ぱっどぉ……っ」
「……」
 余り愉快では無い感触に、かなりの量体力を吸われてしまった事に、口元に不快感を露にしている早来。彼は最後の力を込めて、深く深く自然の大気を身に抱く。
「来たれ、癒しの力! かの者の苦痛を取りはらわんことを!!」
 綾は早来の傷を癒すために一枚の符を作り出し、祈りを込めて差し向けた。二つの癒しの力は、早来の体力を安全域まで引き戻す。
 さなか、カバーに入った忍は地縛霊の懐へと入り込む。
「変態野郎は……とっとと消えちまぃな!」
 地面を擦るように白と黒に輝く二本の剣を振り上げて、地縛霊を切りつけた。
 直撃したらしく、大きなバツ印を刻み込まれ尻餅をつく地縛霊。
「さっきの一発が駄賃代わりだ。これで大人しくあの世に逝きな!」
 続いて忍が叩きつけた言葉は、仲間たちに倒せる好機だと告げる鐘となる。
 故に遥かな大気を纏う静音は駆けて、頭の辺りにハイキック。
 何度もパッド越しに胸を触られた恨みを込められた一撃だからか、静音の蹴りは確実にぶち当たっている。それにより生じた揺らぎを突いて、ちはやは漫画を描く補助ツールにもなりそうなカッターで切りつけた。
 小さな一撃ではあるが、当れば確かに命を削る事ができる。ティエンもまたそう願い、愛用している定規を叩きつけた。
「その空間ごと……悪しき怨念を断つ」
 未来が呟きと共に構えるのは、レンズ越し輝く金色の扇。空間を飛び越えて振るわれた一撃は、地縛霊を強く強く打ち据える。
 叩かれ斬られ打ちのめされ、既に満身創痍という状況の地縛霊。だが、同情する必要などどこにも無い。
「ぺったんこで何が悪ーい!」
 めぐみが八つ当たりっぽい叫びを上げながら箒を振るったなら、地縛霊の姿勢を再び崩す。
「塵も残さず滅ぼし尽くして差し上げますわよ!」
 言葉通り、カミーユはキャロちゃんの衝撃波に併せて杖を振るう。二つの衝撃は地縛霊の体を穿ち、今度こそ完全に細い体躯を地へと伏せさせた。
 もう二度と、地縛霊が動く事は無い。世界にとって、それは大きな喜びである。

●未来はあるのです(きっと)
 戦いの終幕は、砂を運ぶ静かな風が告げてくれていた。余り長くは続いて欲しくは無い気がする余韻が、皆の間には漂っている。
「……女性の魅力は外見だけじゃない、んだがね……ま、あの世で勉強して出直してきな」
 忍が音を立てて剣を鞘に収めていく。その音色がきっかけとなり、ゆっくりと時が動き出した。
 各々安堵の息を吐きながら、身を癒したり武装を解いたりしている様子。早々にそれらを終えた早来は、哀れにも潰れてしまった肉まんを頬張りながら考えていた。
(「相手の、秘め隠す事……暴き、優越感……浸る、目的……だった、でしょうか。しかし、それでは……あまりにも……理知的、ではない……」)
 変態に理知などあるのか否かはさておいて、早来は首を傾げている。
 隣では彼と同様肉まんをパッドとしていたティエンが、潰れてしまってなお美味しい肉まんを頬張っていた。
「結局、この人はパッドそのものが好きだったのか、パッドを入れている胸の薄い娘が好きだったのか、どっちなんだろうね?」
 疑問は風に乗って消えていく。誰も答えられないし、あるいは考えたくも無い話題ではあるからだろう。ティエン自身も、呟いたとは言えあまり気にしていないのだし。
 一方、胸元から雑誌を抜き去った未来。
「女性を胸で判断するなんて……最低ですよねっ!」
 彼女は怒りを込めて、天を貫く勢いで叫んでいる。
「そうだよ、本当に迷惑なゴーストだった! パッドなんかより本物の方が」
 同意の言を発した玲樹だったが、一欠けらの本音が混じってしまう。そのため白い目で見られてしまったが……笑って歌って誤魔化した。誤魔化せたどうかはさておいて。
 そんな仲間たちの喧騒を、若干離れた場所で見守る綾。彼女は、これで変態な地縛霊の手にかかって犠牲者が出る事などないのだからと、安堵と疲労の入り混じった溜息を吐いていた。
 綾は溜息に思考を全て乗せて消し去って、改めて女性陣の姿を眺めだす。パッドで偽るよりもありのままの、内面の姿の方が重要と考える彼女はやがて、皆さんは本当に魅力的だと微笑んだ。……もし口に出していたら、ある者の余裕だとか言われたかもしれないが、それは言わぬが華だろう。
 ともあれ、綾が楽しく見つめている喧騒は、今は別のものへと変わっていた。それは、めぐみが静音ににじり寄ろうとしている光景だ。
 事情は簡易。パッド付きの胸を、将来的には……無理かも……と寂しく見つめていためぐみが、先輩である静音に……今回の経験が堪えたのか、先ほどこそこそとパッドを外しいつものすれんだぁぼでぃに戻っていた静音に、胸を触らせて欲しいと申し出たからである。
「……」
「……え、えっと……」
「静音さん……!」
 断りきる事ができず、背丈の関係からか押し倒され、成す術無く胸を触られる形となった静音。今めぐみが得ている感触は、彼女の未来かはたまた越えていくはずの過程だろうか。
 ともあれ、そんな楽しげな喧騒の中今宵の戦いは幕を閉じる。今は、公園に平和が訪れた事を喜ぼうか。


マスター:飛翔優 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:9人
作成日:2009/03/08
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冒険結果:成功!
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