凍士


<オープニング>


●凍士
 冬山……雪の吹雪が辺りを駆け巡り、その身体を芯まで凍えさせる世界。
 その冬山の上で、一匹の馬が……眼下を見下ろしている。
「……ふふ。美しい。手の中にあるこの欠片は、正しく我の為にあるような物だ」
 馬の手元には、幾つもの光輝く欠片。
 悪夢を見た人々達が、その悪夢に打ち勝てずに落とした……悪夢の欠片である。
「美しい……大人子供色々あるが、やはり子供の悪夢の欠片の方が煌めいているな……」
 手元の玉を転がしつつも、更にもう一つの……夢の欠片が転がり落ちる。
「もう一つ……もうじき我が全てを手に入れる。そうすれば……ははは」
 高笑いするナイトメア。そして……また一筋の風。
「……そうだな。折角ここまで来たのだ。邪魔されては堪らぬからな」
 とナイトメアは告げると共に……創り出したるは、悪夢の衛兵。
 10人の……登山家とおぼしき服装に身を包んだ者達を前に。
「さぁ、倒してくるのだ。我の夢を邪魔する者をな」
 と号令を掛けるナイトメア。
 悪夢の衛兵達は、頷きながらも一斉に動き始めた。
 
「皆集まってくれたみたいやな。説明を始めさせて貰うで」
 神丘・崔(高校生運命予報士・bn0103)が、集まった君達を確認しながら依頼の説明を始める。
「皆に今回行って貰う所やが、とある街や。ここに……どうやらナイトメアが出没したらしくてな……次々と人々を悪夢の世界に落としてしまっているのや」
 そう言いながら地図を差し出す崔。
 一般的な市街地……その少し離れた郊外地と言った所だろうか。
「皆にはこの家に向かって貰い、この少年を助けて欲しい。既にこの家の人は全員眠りに落とされている……このまま進めばその被害が回りへと広がるのは間違い無いやろう」
「……そうか。ならば……少年の家に忍び込むには難しくは無いという事か?」
 東雲・聖弥(高校生魔剣士・bn0036)の言葉に頷く崔。
「そうや。時間を選べば家の外にもさほど人はおらんやろう。逆に言えば、深夜の時間しか侵入は出来へんという事なのやが……そこは皆解るよな」
 にこり笑みを浮かべつつ、崔は皆が頷いたのを確認すると、更に崔は説明を続ける。
「この少年の夢は、どうやら登山家のようでな……ナイトメアの悪夢の中は冬山となっているようや。よって舞台は冬山の中や。足場も悪く、その点は色々と注意するべきやろう」
「悪夢の衛兵は……ならば登山家と言った所か?」
「そのようやな。彼らはそれぞれ手に登山に関する物を様々に持っている。例えばピッケルやら、杭やら……そのような類や。至近距離からの接近攻撃もあり、投げつける遠距離攻撃もある事やろう。その辺りは色々と注意せな思わぬ大怪我を負いかねないやろう」
 そこまで告げると、崔は続けて悪夢の主ナイトメアについて。
「皆も知っての通り、今回の悪夢の首謀者はナイトメアや。このナイトメアを逃してしまえば間違い無く、今後とも悪夢に囚われる人々を出し続ける事になる……依頼としては悪夢から解放するとなるのやが……出来うる限り、このチャンスにナイトメアを確実に撃破して欲しい」
「……自慢げで自分の力に酔いしれるナイトメア。しかし……逃げ足が速いというのは……仕方のない奴だな……」
 ふぅ、と溜息を付く聖弥。
 しかし、それこそがナイトメアの性格。
「ともかく、臆病なナイトメアは最初は皆の前にでておらん。悪夢の衛兵達よりも皆が強いと解ると間違い無く逃げてしまうやろう。だから……その辺りは工夫して皆戦況を組み立てて欲しい」
 そして最後に。
「後、これを渡しておくな」
 崔が手渡ししたのは、ティンカーベルの不思議な粉。
「これを使えば、この子の夢の中に入り込む事が出来る。少年の近くで使ってくれ」
「もう耳にタコかもしれへんが言うておく。夢の中では、普通に考えられない事でも起きる世界や。でも、夢の中と現実には深く関連がある。夢の中での重傷は、現実の世界でも重傷となってその身に起こる。十分に気をつけて行ってきて欲しい」
 そう告げながら、崔は頭を下げた。

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参加者
元橋・小道(愚焔生ルガ故ニ我生リ全テ愛故・b01646)
クロミツ・トリイ(ブラッディーハニー・b03870)
霧崎・真司(誠なる霧の癒し手・b05971)
境・鷹男(中学生魔剣士・b06261)
雁屋・涅(灰燼の巨人・b09077)
穂村・みずる(樗の猟犬・b15649)
楢芝鳥・俊哉(新人な図書室の主・b20054)
桜井・ルカ(ブルーファング・b26721)
烏森・カケス(応急手当係・b27258)
真宮・プリケン(名目だけのクルースニク・b41092)
羽鳥・氷女(氷鳥の戦姫・b45222)

NPC:東雲・聖弥(高校生魔剣士・bn0036)




<リプレイ>

●眠り
 崔からの話を聞いた能力者12人は、深夜の刻……少年の眠る部屋を訪れていた。
 既にその住人全てが眠りへと堕とされた家は……どことなく不気味な雰囲気を持っている。
 そして……更に少年の寝顔を見ると、苦しそうな表情を浮かべている。
 時折見せる痛々しい表情が……彼を苦しめているナイトメアの存在を如実に示している。
「……本当に、ナイトメアは色々な所に出没するなぁ……しっかり倒して、被害を出さないようにしないと!」
 ぐっと拳を握り締めながら言うのは、元橋・小道(愚焔生ルガ故ニ我生リ全テ愛故・b01646)。
「……何の罪も無い人を苦しめて、自らの欲望を満たそうだなんて……赦せないから……」
 その言葉に羽鳥・氷女(氷鳥の戦姫・b45222)も頷く。
 人々を苦しめ、それを極上の喜びとするナイトメア……次から次へとその主を変えてしぶとく生き残る彼等。
 まるでトカゲの尻尾のように、次から次へと出てくる奴等は……鬱陶しい事この上ない。
「本当にナイトメアもいい加減、何とかしたいよなぁ。とは言っても、いい方法が在るわけでもなし……か」
「そうですね。本当に相変わらず面倒な相手です。余り気乗りしない作戦ですが……主に、台詞が……」
 諦め気味の口調なのは烏森・カケス(応急手当係・b27258)と、穂村・みずる(樗の猟犬・b15649)。
「本当にナイトメアはタチが悪いですね……でも、奴等を許す訳にはいきません。純粋な思いを踏みにじるとどうなるか……思い知って貰うとしましょう」
 霧崎・真司(誠なる霧の癒し手・b05971)も、唇を噛みしめつつ告げる。
 強く、その気概が勇猛な相手ならいい。相手も立ち向かってくるであろう。
 しかし……ナイトメアは臆病な者達である。逃亡する事も厭わない。
「話は聞いていたが、ナイトメア依頼は初なんやな、うち。勝手が微妙に分からんが、人の大切な夢を悪夢にするんは気に入らんわ。登山家の夢、護ったらんとな?」
 にかっと笑みを浮かべる桜井・ルカ(ブルーファング・b26721)。更に真宮・プリケン(名目だけのクルースニク・b41092)も。
「私も初めての対ナイトメア依頼なんですよね。冬山……か。寒いけれど、頑張りますよ」
「冬山か……」
 その言葉に、改めて周囲を見渡すのは境・鷹男(中学生魔剣士・b06261)と、雁屋・涅(灰燼の巨人・b09077)。
 一枚の写真……吹雪く中に登山隊の男達が肩を寄せ合いながら、旗の周りで記念撮影している写真を発見する。
「……きっとこれは、この少年の父親だろうな」
 東雲・聖弥(高校生魔剣士・bn0036)の言葉。きっと少年も……父親を夢見ている事だろう。
 つまり夢の中の世界も、きっと……。
「心頭滅却すれば半裸。雪の中だろうと、心一つあれば上着など要らぬ」
「……この雪山に、必ず平和を取り戻すぜ」
 涅と鷹男の言葉。
 更に小道が。
「今回は雪山なんだよね……夢とは言え、寒そうだから暖かくしていこう。雪崩とか……起こさないよね?」
「……さぁな、全ては夢の中だ……起こりえない事も普通に起こる世界だからな……」
 聖弥の言葉に、残念そうな表情を浮かべる小道。でも……改めて元気を取り戻すように。
「ま、皆に怪我させないように、頑張っていこう! 帰ったら、愚焔に暖めてもらおーっと☆」
 微笑む小道……対してクロミツ・トリイ(ブラッディーハニー・b03870)が。
「寒いみ空に冬山登山……堪えるでござるねぇ。どうせなら、夏山にでもしてくれりゃ良いのに……馬鹿めが! まぁ、早い所ミッションコンプリートするが好し!」
 ある意味自分勝手な事を言って居るかもしれないが……さておき。
 時刻はそろそろ0時を廻る。それぞれの準備は……整った。
「さぁ、悪夢依頼ナイトメアつき。うまくだませればいいけど……」
「そうだな。とにかく……ここに居座っているナイトメア、倒してしまおうぜ」
「ええ。やる以上は、本気で当たらせて貰います」
 楢芝鳥・俊哉(新人な図書室の主・b20054)の言葉にカケス、みずる……と頷く。
 そして……ティンカーベルの不思議な粉を捲き、夢の中へと墜ちるのである。

 ……夢の中。
 辺りは一面の雪……そして身をつんざく程の寒さ。
「……寒い。どうでも良いけど、夢の中なんだから夏の山でも良いじゃないか……」
 ぶつぶつと、先程のクロミツと同様の事を呟くカケス。
 ここは少年の夢の中……少年が夏の山を思わない限り、そうならない世界。
「……愚痴っても仕方ないだろう……あそこだ」
 聖弥はそう言いながら、更に先を指さす。
 其処には10人の登山家達の姿。
 むっくりとした服装……しかしすばしっこい動きは、この世界がナイトメアの手の中にあると言う事を示す。
「……良し、行くぞ」
 鷹男の言葉に誰しもが頷き、能力者達は衛兵達の前へと走り始めた。

●潜愛
 10体の悪夢の衛兵達。
 能力者達が対峙すると共に……突然吹きすさぶ吹雪。
 ナイトメアは、悪夢の衛兵に少しでも有利になるよう、厳しい天候へとその場を変化させる。
「くっ……これはちょっと……キツイかなぁ……」
 あえて衛兵達に聞こえるように告げる小道。ナイトメアの喜ぶ顔が見えるように……衛兵達は意気揚々と動き始める。
 それぞれがその手に持った武器を元に、12人の冒険者達へと散開していく。
 能力者達も、ライカンスロープや白燐装甲を使い、己を強化。
 更にその吹雪く中、真司が放つのは魔蝕の霧。
(「これなら、相手の攻撃を一気に軽減する事が出来る……後はやられた振りを演じれば良い」)
 その効果が効いたのか……一気に攻撃力が低下する衛兵達。
 しかしその攻撃を受けながら。
「攻撃が当たらないなんてー」
「もうダメ……相手が強すぎます……」
 俊哉や氷女が声を出しながら、少しずつ……押され気味の演技を続ける。
 衛兵達も、その状況を認識したのだろうか……攻撃の手を僅かにゆるめる。
 勿論……それを感じながらも。
「手強い……本当に勝てるのか!?」
「無理かもしれん、強すぎる!」
「作戦失敗だ! もうダメだ!」
「……ここまで強いとは予想外やったな……」
 真司、クロミツ、涅、ルカ……次々と、厳しい戦況を知らせる言葉を叫び続ける。
 ……戦闘が始まって数十分。
 確実に押され続け、じり貧の演技をし続ける能力者達。
 攻撃力は殆ど無い敵の攻撃……しかし体力が減っている事を演技する為にアビリティも適当なタイミングを見計らい使う。
「くそ……回復の残りがちょっとヤバイぜ!」
 そう言うのは、回復主体に動くカケス。
 氷女の白燐装甲や雪だるまアーマーや、カケスの赦しの舞と治療府、そして俊哉の浄化の風……。
 魔蝕の霧の効果によって攻撃力を減らされていても……それを知られてしまえばこれが演技とばれてしまうのは間違いなかった。
 だからこそあくまで回復もしっかりと行うように演じ、敵の圧倒的優位を見せつけようとしていたのだ。
「……予想以上に強いですね。皆さん、これ以上長引くと危険です、無理はしないで……」
「判ってるよ。でも、攻撃が当たらないなんてー」
 みずるの言葉に俊哉が応える。
 ……幾分数名が、その台詞が多少棒読み気味な所はあるけれど。
 どうやら……ナイトメアにとっては、その点は気付かれなかったようだ。
「……敵が多い……これ以上出てきたら……」
 そうクロミツが呟いた瞬間……。
『……ふふ、ではご期待の通りに出てやろうではないか!』
 何処からともなく響く声。そして……衛兵達の裏手へと現れる黒い馬。
「えっ……ナイトメアが出てくるなんて、聞いてないわよ!?」
「ああ、ナイトメア……どうやって勝てって言うんだよ!」
 プリケンとクロミツの言葉に、勝ち誇ったような表情を浮かべるナイトメア。
『ヒーローは後から出てくる者なのだよ……さぁ、始めようぞ。更に恐怖のどん底に堕としてやるわ!』
 いななくと共に、悪夢の衛兵達の動きが僅かに威勢の良い物になる。
 その動きに……12人の冒険者達は目線で合図をすると……一つの作戦に応じて動き始める。
「……こいつがナイトメア……ホンマに馬やねんな」
 ルカがぽつり呟く中、みずるが叫ぶ。
「此の状態は危険です! 誰かあの馬を抑えてください!」
 あくまでも表面は、衛兵達から逃げるかの如く……散り散りになってそれぞれが目的の方向へと走る。
 しかし包囲されていくと言うのも認識させないようにしなければならない。
 少しずつ展開し、完成していくその陣形に対し。
「作戦と違います、みんな! 予定通り動いてください、このままじゃ!」
 焦りながら、みずるが叫ぶ。
 衛兵達をも巻き込んだ形で、1時から12時方向までを、ナイトメアを中心にぐるりとロリ囲んだ陣形。
『ふははは……む?』
 流石にナイトメアも……全部の周囲を取り囲まれれば何事かと察することだろう。
「くそっ……ナイトメア! 首を洗ってまっていやがれ、行くぞ!」
 そう言いながらカケスが武器を構え衛兵へ攻撃……する直前に足下を滑らせて転ぶ。
『馬鹿者めが、猪突猛進は勇ましいものだが、空回りする程に滑稽な者はないわ!』
 再び笑う黒馬。包囲された事を……その行動によって問題なしと判断したようだ。
「……」
 その光景を見て、聖弥が頷きみずるに合図。
「……く、コイツは私が何とかします。皆さん、続いてください!」
 言葉に頷くと共に、一気に接近すると……至近距離から爆水掌を放つ。
 突然不意を付かれたその攻撃に、黒馬には一瞬……驚いたような表情が浮かぶ。
 しかし驚く間もなく、にやり笑みを浮かべながら……他の仲間達も一斉に悪夢の衛兵へと反撃を開始。
「今までさんざん馬鹿にしおっってたわけが! その罪、命で償って貰うぞ!」
「能力者として演技が大事なんて思いもしなかったわ……でも、もう我慢しない!」
「……容赦は致しません。倒れて下さい」
 涅、プリケン、氷女が次々と言葉を掛けながら、目の前の衛兵達を倒していく。その刻……僅か3ターン。
 流石に短すぎるターンで次々と悪夢の衛兵達が倒される状況はおかしいと感じたのか……ナイトメアは周囲を確認する。
 が、しかし……先程の通り、1時から12時方向まで、全周囲360度を12人の冒険者達によって囲まれている状況下……逃げる道は無い。
「……攻撃が届かない。そう思ったら大間違いですよ。癒し手の役目、今こそ果たす時……白燐蠱よ!」
 そう真司はいいながらミストファインダーで狙いを定め、遠距離攻撃をナイトメアに放つ。
 更に間合いを爪ながら、クロミツや聖弥、鷹男やルカらが一気に接近。
「今まで色々とやってくれたなぁ。魔眼ぶちかましたるで、覚悟しろや!」
「馬刺しにしてやるよ!」
 特にルカとクロミツの言葉が、強くナイトメアへ衝撃を喰らわせる。
 そして呪いの魔眼や、土蜘蛛の檻でナイトメアの動きを拘束すると共に、至近距離からの黒影剣やダークハンド……次々とナイトメアに向けての攻撃が放たれていく。
『くっ……だ、騙しておったのかぁ!』
「……当然。気付かなかったの? まぁ……それならそれで僕らの作戦勝ちって事だな」
 俊哉の言葉に馬は鼻息荒くする。
 勿論……芝居に気付かなかったナイトメア自身が悪いわけではない。12人の能力者達が協力してだましを掛けられた事が重要な訳で。
 ……一部棒読みな所があったとしても、全体的には……上手く演じることが出来たと言えるだろう。
「さぁ……覚悟しなさい。能力者として、少年を苦しませるナイトメアを許す訳にはいかないわ!」
「……絶対にこの場から逃しはしません……あなたを逃せば、更に多くの人達が悪夢に囚われるのですから……!」
 プリケンと氷女の言葉。
『くそう……くそぉぅ!!』
 その後悔の言葉先に立たず。
 少年を苦しめていた悪夢の元凶ナイトメアは……更なる冒険者達の一斉攻撃により、彼自身もその悪夢の中へと転落していくのであった。

●寝顔
 ……戦闘を終えた能力者達。
 目の前には、先程までの吹雪が嘘のように晴れ渡る空が広がっていた。
「これで……いつもの雪山に戻ったんだな……」
「そうですね。作戦勝ち……なんでしょうか」
 鷹男の言葉に、みずるが不安げに小首を傾げる。
 実感はない……少年の姿が見えないから。
 でも……ただ一つ言える事は、先程までの厳しい雪山とは違い、晴れ晴れとした空からは、仄かに暖かい陽気を放っているという事。
「……あ、オーロラ! オーロラが見える〜!」
 嬉しそうにはしゃぐプリケンの言葉……まるで少年が、能力者達にありがとうを言って居るような……そんな気がしないでもない。
「……それにしても、こいつ等は……何の為に悪夢の欠片などを集めていたんだろうな?」
「……さぁな。ゴーストの考えることは判らん……さてと、そろそろ出るとするか。余り長居していると……朝になってしまうからな」
 カケスの言葉に、聖弥が静かに答え、そして……夢の中から出ていく能力者達。
 既に朝陽が地平線の際に登り始め、外も僅かに明るい頃。
 夢から目覚めた能力者達が見たのは……どこか嬉しそうな表情をした少年の寝顔。
「……どうやら、悪夢は過ぎ去ったようだね。明日からは……良い夢を見られるように……おやすみなさい。夢はきっと叶いますよ」
 少年の髪を掻き上げながら、そう語りかける真司。
『う……うぅん……』
 そんな少年の寝顔に……自分の結社の仲間にいる、登山家の子供の事をだぶらせながら……彼が立派な登山家になってくれる事を改めて願う。
「……そろそろ起きそうだな……変えるぞ」
 少年が目覚めるまで、その寝顔を見ていたかった。
 しかし……それは叶わない訳で……家を後にする能力者達。
 ……その道すがら。
「……夢なぁ……」
 ぽつり呟くルカ。聖弥が首を傾げると。
「いや……な。この小はこんなちっちゃい時から自分の将来を考えてると思うと……わいもちっとは考えんとなぁと思って」
 自分の将来を考える事……それは、自分を見つめ直す事と同じかもしれない。
 能力者として……そして若者の一人として。
 いつかはこの力を失い、一般人として生活する時が来るのは間違い無い。
 その時は二年先か、三年先か……あるいは十年以上先か。
 複雑な思いを持ちながら、能力者達は帰路へとつくのであった。


マスター:幾夜緋琉 紹介ページ
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作成日:2008/12/14
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