クリスマスには薔薇の下で秘密を囁いて


       



<オープニング>


 銀誓館学園のクリスマスパーティー。
 毎年、様々な趣向を凝らすパーティーが開催され、学園はクリスマス一色に染まります。
 冬休みを目前としたクリスマスイヴの日は、様々なパーティーが開かれているようです。

 クリスマスパーティーは無礼講。
 たとえ、今まで一度も口をきいた事が無い人とでも、一緒にパーティーを楽しむ事ができます。
 クリスマスパーティーは、新しい友達を作る為のイベントなのですから。

 気に入ったクリスマスパーティーがあれば、勇気を出して参加してみましょう。
 きっと、楽しい思い出が作れますよ。

 星や月、リンゴやケーキ、銀色に輝くモール、七色に輝くグラスボールなどのオーナメントが飾り付けられたクリスマスツリーは、クリスマスの雰囲気を一層盛り上げている。
 銀誓館学園内にある庭園には、クリスマスに相手へと思いを伝える勇気を手伝いするように、花壇にはプリムラやポインセチアが植えられている。
 天井がドーム型になった温室には、色とりどりの緑で満たされ、温室の中央には色鮮やかな深紅の薔薇のアーチが作られ、アーチには小さなコメントが書かれたプレートが括り付けられてあった。

「薔薇の下での話は二人だけの秘密」

 ツリーがある広場には、テーブルが運び込まれ、白いクロスが敷かれて、クリスマスケーキが数種類乗せられている。
 たっぷりと塗られたチョコレートクリームのブッシュ・ド・ノエルに、白いチョコレートパウダーが印象的なホワイトケーキ。
 スイーツフォンデュを楽しむのはどうでしょう。
 チョコレートフォンデュやホワイトチョコレートフォンデュには、苺やブルーベリー、バナナやキウィ、パイナップルのフルーツ。
 甘い物が苦手な人用にと用意された、バウムクーヘン。トッピングとして、ブルーベリージャムやホイップが数種類。
 手軽に食べられるようにと思う人には、ビスケットやスコーン。
 スイーツよりも食欲という人の為には、サンドウィッチ。
 飲み物は、インド紅茶のダージリンやアッサム、ニルギリ。セイロン紅茶のディンブラやウバ、キャンディやヌワラエリアなど、ストレートティでもミルクティでも楽しめるような紅茶葉が用意されている。
 勿論、珈琲も。
 すっきりしたい人のためには、アイスティやスパークリングティや、フレッシュジュースなど。
 ツリーを囲むように白いベンチやテーブルがセッティングされ、後はお客様を待つのみ。
 薔薇のアーチがある温室と隣り同士で、誘いたい人が居れば気軽に声を掛けられるのではないでしょうか。
 楽しい時間をもう少し過ごしたい人には、暖かく照らすランタンを手にして、温室の周囲をまわってヤドリギのつるされた木を探してみるのも良いのではないでしょうか。
 男性には嬉しい配慮のようですから。

「温室でのガーデンパーティのようです。一緒にいかがですか?」
 武宮・紫貴(天藍・bn0065)は、甘い香りが漂ってくる入り口で立ち止まり、振り返る。
 入り口に立てかけられたイーゼルには、メニューの書かれたチョークボード。
 色々とそそられるデザートがあるらしい。
「沢山の方とお茶を楽しむのに良さそうですわね」
 海音・蓮見(運命予報士・bn0021)が口元に細い指を添えて、覗き込む。
「ボードの下方に、会場での約束事が書かれていますわね」

『飲酒喫煙、参加している方々を不快にするような行為は厳禁とのこと』

「ふむ、了解しました。おや、今日はお土産があるようですね」
 紫貴は、直ぐに使える様に並べて置かれている品を見る。

『可愛らしいランタンを手にして、クリスマスツリー巡りは如何?』

「これなら良いですわね。重くもありませんから」
「では、楽しい時を過ごしましょう」
 そう言って、紫貴と蓮見は笑みを浮かべた。

マスター:東城エリ 紹介ページ
こんにちは、東城エリです。
クリスマスは甘くて良いと思います。
そんな3度目のクリスマス。
ガーデンパーティです。
秘密を囁いたり、キスしたり、お茶を楽しんだり、色々すると良いと思います。
【1】【2】【3】の選択肢から選んで、プレイングの最初に記入して頂けると嬉しいです。

【1】お友達や恋人、一人でゆっくりお茶会参加
楽しく過ごすお茶会コースです。

【2】薔薇の下で秘密を囁く
思い切って色々告白とかしちゃうコースです。

【3】ひっそりと温室の外にあるというヤドリギ探し
男性には嬉しいコースです。勿論、男男、女女でもOK。

●お相手の居る方
お相手の居る場合には、プレイングの最初に「相手のお名前(b*****)」という形でIDをお書き添え下さい。ご指名の無い場合は個人行動として判断させていただく事になります。
結社で参加の場合は結社名も。

●蓮見、紫貴と遊んで下さる方。
プレイングの最初にNPCの名前をお書き下さい。
【蓮見と】【紫貴と】といった風に。

●あれもこれもとプレイングに書かれるより、一つに絞った方が良いと思います。

●描写人数
何人まで描写しきれるか分かりませんが、頑張ります。
白紙プレイングの場合、基本的には描写致しません。

●アイテム
「鳥籠のランタン:繊細な細工の鳥籠型のランタン。中には淡い色のキャンドルが立てられている」になります。記念に。

それでは、ご参加お待ちしています。

参加者
NPC:武宮・紫貴(天藍・bn0065)




<リプレイ>

●薫る中でのお茶会
 外は陽が陰ってくると、ライトアップされたツリーが一瞬眩しく感じる。温室のお茶会会場では、花々の馨しい香りと共にデザートの甘い香りが満たされて、聖夜という特別な日が始まった。

 夢美と凛華の姉妹だけで過ごす初めての聖夜。普段忙しい夢美にとって、存分に甘えさせてあげられる機会。凛華もその事を分かっているのだろう、自然と笑みが零れる。
「わぁ、チョコフォンデュって初めて食べたけど美味しいね♪ お姉ちゃん、今度月ノ宮でもやろうよ♪ 皆が喜ぶと思うよ」
「あれ? 凛華は食べた事ない? 確か結社でもやった事があったんだけど…あれは去年だっけ。じゃあ来年のバレンタインの日にでもパーティーしよう♪」
 一種類よりは全部の種類を少しずつと、海斗と千鶴で分担して皿に盛られたケーキ。
 食べ残しても千鶴が食べて呉れるに違いないと海斗はのんびりと食べていたが、ゼリーの乗ったケーキが気になる千鶴は目をキラリと輝かせる。
「リーダー、一寸交換しません?」
「ん? いいけど…」
「じゃぁはぃ、俺のを…」
 そう言って千鶴がフォークにケーキを乗せて、あーん♪ と。海斗は照れつつも口を開く。
「ぇへへ、美味しいですか?」
「…ん…美味しい」
 緊張しているのが凛にばれない様にと祈りながら、晴は一緒に過ごせる幸せを噛みしめている。初めてだという凛に晴は優しく教授し、その仕草に目を奪われる。
 甘いデザートを味わい、甘い気持ちが胸を満たす。
「特別な日を特別な人と過ごせて嬉しいよ」
 晴の言葉に凛は心騒めくのを感じて、周囲の恋人達に倣う様にチーズタルトを一口フォークに乗せると、晴に笑顔を向けた。
「幸せのお裾分けです。お一つどうぞ、晴さん♪」
 3年4組での最後の聖夜を一緒にと思い出作り。影斗は皆のリクエストを聞いて給仕役を済ませると、テーブルの上は甘いもので一杯になる。
 何事も控えめな影斗に落ち着いた雰囲気を持つ碧が優しく微笑む。ノエルを切り分けて、皿に乗せていく。
「貴方のお陰で皆で楽しめるのだから、感謝しないと…ね」
「ん、今日はいっぱい楽しい事話そうね♪」
「そうだね。碧と愁羅の言う通りだよ。折角の機会、楽しもう」
 マクスウェルは甘いマスクで女性を和ませる微笑を浮かべ、スパークリングティを掲げた。
「乾杯!」
 微かにグラスを交わし、時間が経つにつれて打ち解け、話も弾んでいく。
(「んー、やっぱりもっと初めの方に会っておきたかったなぁ」)
 愁羅がポツリという。何事も切欠が無いとそう上手くは行かないよね、と。今のでも十分なんだけどもっと楽しく過ごせたのかと思うと、少しだけもったいない気がしたのだ。
「…今からツリー巡りにでも、行くか?」
 過ごす時間が少しでも長ければ良いと、折角だからと影斗がランタンを手にして誘った。
 ensembleの仲間とのお茶会。テーブルの中央には由美が作ってきたプリンが並んでいる。内2個は何やら辛子が入っているらしい。
「聖夜の出会いに…」
 洵が音頭を取り、アイスティで満たしたグラスを手に乾杯する。
「乾杯!」
 グラスが微かに触れ、綺麗な音が鳴った。皆が手に取ると、残り物には福があるとばかりに枢が最後の1個にスプーンを入れた。誰がとも無く、内心ドキドキし乍らスプーンを差し入れた。
「ほむ頂こう」
「…た、食べないのは…わ、悪いから…」
「…」
 枢と戒一郎、由美と洵は美味しいプリン、柚流と雅貴は当たりの辛子入りプリン。
「大丈夫ですか?」
 洵が2人を気遣う。何げに食べたと見せかけて様子を見ていた洵だ。自分が当たったのは美味しいプリンの様だから、後で食べようと思う。
「…枢の飲みかけだけど、紅茶いる?」
 今にも死にそうな形相でのたうち回っている雅貴に枢がグラスを差しだした。戒一郎は何とも言えない、お気の毒といった表情を浮かべ見守っている。
「あはは! どんまい♪」
 由美がその様子を見て笑う。柚流はと言えば、口元を押さえつつも乙女の意地で最後まで食べきっていた。とはいえ、口直しと蜂蜜入り激甘紅茶を飲んでいる。辛い物から急激な甘い物は味覚が破壊されそうだが、辛い物よりは良いという事だろう。
「1人で過ごすより、沢山の仲間と一緒に過ごす方が楽しいよね♪」
「ああ、来年も良いクリスマスになるといいな」
 雅貴が一息ついて穏やかな表情で言った。
 フォンデュ鍋に次々と果物を潜らせるとヤマトは雛に餌をあげる様に、あーんと口を開けている焦行にその甘いデザートを食べさせる。甘い物が好きな焦行は満足そうに笑顔だ。口の周りにチョコが付かない様にはしていたが、やはり付いてしまう物。
 ヤマトはそっと顔を近づけ焦行の頬に付いたチョコを舐め取る。
「甘いですよ」
 焦行はそう言うと、ヤマトに甘いキスを贈る。離れがたい甘い甘いキス。
 女性が多めの花のある席。テーブルに並んだデザートや飲み物を味わい乍ら時間は過ぎていく。
「蓮見先輩、来年は成人式ですっけ。お着物はどのような色柄に?」
 普段着物で過ごす事の多い氷魚は、着物の柄等が気になる様。
「薔薇や藤等、紫ベースみたいです。折角だからと何点か用意しているみたいですの」
 その時にならないと分からないのは、当日は母親の着せ替え人形になる予定なのだからだろう。
「薔薇の香りが素敵デスの…」
 レディは英国でも見かける薔薇の香りにうっとりとしている。
「あら、クリームが…」
 そう言って蓮見はレディの口元に付いたクリームをナプキンで拭き取る。美味しそうに食べる姿に微笑ましく思う。
「あーあ…、いつかは俺も見守られる側になりたいものだな…」
 寂しさを込めて呟く龍麻に紫貴が微笑を浮かべると、2人はどうなのかなと悪戯っぽく問う。今の時間はお茶会が先な辺り、甘い物好きで無いと駄目な様。
「こういう一時も良いものですわ」
 瑞穂が紅茶のカップに口をつけ、今年一年の楽しい思い出を語り合う。
 ふらふらと甘い香りに釣られてやって来たのはエリカ。周りと同じ幸せ気分になりたいと即席彼氏3分限定で紫貴を指名すると、フォークの上にケーキを乗せる。
「さ、あ〜んして。…何、その迷惑そうな顔は?」
「大きくカットしすぎじゃありませんか?」
「そっちなの!?」
 ボケ突っ込みを繰り返し、彼氏彼女ごっこを終えてスイーツパーティ。
「お一つ占いでもやってみませんか」
 テーブルの上が片付いて来た頃、散人が言う。反応したのは女性陣。乙女の悩みは色々とあるのだ。
 イルミットとフェイトは煌めくツリーが見えるベンチに並んで座り、学園生活最後の聖夜を過ごす幸せを感じていた。品物は用意しては居なかったが、愛という感情を捧げようと真剣な眼差しを向ける。
「アイはキミの傍に居ると…誓わせて欲しい」
「…ずっと一緒に居たいな、アイと」
 イルミットが紡ぐのはフェイトへの愛の言葉。一番大切な人に贈るのはルビーのエンゲージリング。左薬指に填めると、泣きそうになっているフェイトに唇を重ねた。
 冬弥は菊理と共に紡いできた思い出を話す。ケーキが周囲と違うのは菊理の手作りだからだ。その味を味わった後、冬弥が少し照れくさそうに菊理を誘ったのは奥の温室だった。

●秘め事は貴方だけに
 色鮮やかに咲き誇る薔薇のアーチの下に立った恋人達は二人だけの秘密を薔薇にも降り注がせる。艶やかに見えるのは秘密を蓄えて満足しているのかも知れない。
 一つ一つ秘密が増えていく。

「色々あったけど、今後ずっと菊理と共に過ごしたいと思う。未熟な俺だけど、菊理が卒業したら結婚してほしい」
 冬弥の真剣な目とその言葉に菊理は混乱して、どう答えたらいいのか思うままに、素直な気持ちを告げた。
「あ、あの、その、ええと…はい、嬉しいですの」
 笑みを浮かべると、冬弥は用意していた指輪と取り出し、細い菊理の指に填める。そして軽く菊理を抱き寄せ、口づける。
「今度、両親に会って頂きたいですの…」
 そう言って、そっと冬弥に寄り添った。
 愉烏は友梨が自分の大切な人だと知らしめてやりたい気分だった。今日のこの日、この場所で一緒にと選んで呉れたという事は、そう言う事なのだ。
「今年も貴女と聖夜を迎えられた事を光栄に思いますよ。可能であるならばずっと貴女の傍に…」
「…何だかんだで3年連続で先輩と聖夜を過ごしましたね。先輩が望む限り側にいましょう」
 友梨は青薔薇のコサージュに手を添える。その意味に愉烏は悟ると、深く笑みを刻み、友梨に口づけた。
 澪はそわそわとしている華音亜の仕草を可愛らしいと思い乍ら、辛抱強く待つ。
「…みぃくんの事…誰よりも、あいしてる…。隠し事じゃ、ないかな…? だって、他に、ないもん」
 真摯に見上げる華音亜に澪は甘やかな笑みを浮かべた。少しの緊張も解れていく。
「…僕も…りあの事…愛してる…。何があっても…ずっと、りあの事だけ…りあだけ想ってる…。大好きだよ…」
 華音亜の唇が頬に触れ、澪もお返しと囁くと口付けた。
 一年経っても変わらぬ思い。それは好きだという事。待っていてくれたのは希望があるという事。双牙は真剣な眼差しで愛を告げた。
「俺は貴女をロキナ・ヴァルキューレを愛している。俺と一緒にいて欲しい。これからもずっと」
 一瞬の沈黙の後、ロキナは顔を真っ赤になっているのを見られない様にと双牙の胸の中へと飛び込む。
「なっ…何も言うな! 喋るな、こっち見るな、返事は…これで充分だろ…?」
 ロキナは照れ乍ら背伸びして双牙の頬に口付けた。
 聖夜は普段口にしない言葉も自然と伝える事が出来る。琢己は遥姫の耳元で囁く。
「僕はもうハルの魅力にめろめろなんです、ハル以外目に入りません。だからずっと僕の傍に居て下さいね?」
 琢己の顔が間近にある。
「えっと…ハルなんかで良かったら…っ! ていうか、ハルも琢己先輩とずっと一緒にいたいです…っ」
 いつもは自分が言っている事も逆になると照れるらしく、遥姫は目を閉じ、唇が触れるのを待った。
「ねぇ、紗綾には秘密ってある?」
「勿論あるよ」
 綺麗で居られる様に色々と乙女にはあるのだ。
「…僕に、あると思う?」
 ふわりと赤い髪を揺らして紗綾が振り返り上目遣いでケイを見上げる。
「ケイ君の秘密…なんだろ…? ね、教えて…?」
「僕の秘密? うーんそうだなぁ…まだ、内緒」
「むー、いぢわるさん!」
 拗ねる紗綾にケイはそんなに怒らないでねと額に口付ける。この感情はもう少し内緒だから、と心の中で呟いて。
 折角の聖夜に二人で過ごしているというのに、何処か上の空のフィンラルに真琴はどうしたのだろうと注意深く観察する。すると、ポケットに手を突っ込んでいる何かに気を取られている。
「ポケットがどうかしたんですか?」
 取り出して見せたのは指輪。
「俺、真琴のこと好きだ」
「じ、自分もフィンさんが好きです」
 真琴は真っ赤になっているのだろうと思い乍らフィンラルの目を見つめ返した。
 薔薇に囲まれてなお美しく見える蓮華は潤を魅了してやまない。自然とその美しさを称える言葉に蓮華は照れるが、仕草の一つ一つが愛おしい。
「僕が言える事、誓える事は唯一つだけ…。ずっと、貴女の傍に居ますよ…」
「勿論、に…ございますっ。私も、貴方様を…いえ、潤をずっとお慕い申し上げておりますわ」
 溢れそうになる涙を堪えて蓮華は微笑んだ。
 興味を惹かれて入ってきた夏夜とレイシンは、薔薇の共演に目を奪われ暫く無口になる。はっと伝えたい事を思いだした夏夜はレイシンと向かい合う。
「あ、あのね! レイちゃんに話したいことがあるの…前に一緒に出かけた時の答えなんだけど…」
「うん」
「あのね…ボクも、レイちゃんの事好き。こんなボクでよかったら、付き合ってください!」
「返事ありがとな。凄く嬉しい。俺、今本当に幸せだ」
 抱き寄せると口づけた。
 時人と茅乃の間には秘密は無いけれど、伝えたい気持ちはある。確りと手を繋いで、薔薇に囲まれた場所で話したい事は一杯あった。
「大好きだよ茅乃…これからも一緒に居ようね…?」
「大好きですよ、時人さん。今までもこれからも。茅乃はずっと、時人さんが大好きなのです」
 愛を確かめ合うと、時人は優しく茅乃を抱きしめた。幸せな思い出が一つ出来た事を喜び乍ら。
 ぼそぼそと話す真介にフェルミスは、怪訝な顔でハッキリ言えと見上げる。
「だからっ…俺はお前の事好きやって…」
 地元の方言が出てはっと、口元を手で塞ぐ。普段感情的にならない分、本当の気持ちなのだと分かる。
「俺にこんだけ恥掻かせといて、どうなんだよ?」
「…嫌な訳ではないっ! …寧ろ私も、お前の事を好いている。だからその、何だ…宜しく頼む」
 そう言うと、真介はフェルミスの手を取り手の甲に口付けた。
 確りと手を繋ぎ、お互いがどれ位好きかあげていく。去年よりも今の方が好きが一杯だと。
「好きすぎて、もうどうしようか困っちゃう位なんだよー! 絶対絶対私の方が双の事好きなの負けてないんだからねー!」
「オレだって、どうしようかわかんない位好きだからな! 好きなの負けないからな!凄く好きなんだからな!」
 ベルナデッドが言えば双も負けじと張り合う。じゃ、これは? とベルナデッドが双の頬にキスをすると途端真っ赤になった。
 紅吏は少しでも早く会える様にと外でいると、深龍の走ってくる姿にほっとした。一寸寒いと思う様になっていたから。深龍は紅吏の冷えた手を両手で包み込み暖め、こみ上げてくる愛おしさから抱きしめた。
「暫くこうさせておいて下さい。…俺も寒かったんです」
 耳元で囁かれる声に紅吏は腕の中であたふたとして、寂しかったと深龍の上着をぎゅっと握りしめた。
 熱いのは薔薇の温室でも変わらずに。手の甲にキスをし、赤くなる紅吏が愛おしくて。

●一緒に貴方と
 暖かな温室から出れば、ツリーの輝きが風景を彩る。明るい場所から少し離れると、薄暗く木々の多い周囲はさながら小さな森の様。
 この木々の何処かにヤドリギが吊されているのだ。頑張って見つけて…?

 太一狼はすっぽりと月を自分のコートで包み込む。そして木々の多い場所に立ち見上げてヤドリギを探す。木々の隙間から見えるクリスマスカラーのリボンに気づき、月を誘う。暖かな太一狼の腕の中。
「ん…なぁに?」
 甘く問う月に太一狼は愛を囁く。
「月が大切で、大好きで、愛しているから…」
 途中からは言葉にならなかったが、その思いを十分に分かっている月はそっと目を閉じた。
 2度目の聖夜を迎え、積み重ねてきた時間の重さを感じる。亜弥音はヤドリギの由来を悪戯っぽく笑い乍ら話す。運良く見つけるとランタンを地面に下ろした。
「…キスする?」
 紫郎は亜弥音の顎に手を添え優しく口づける。
「亜弥音、俺は貴方とこれからもずっと一緒にいたいと思ってる」
「…好きよ紫郎。ずっと傍にいてね。いてくれないと、すぐ駄目になっちゃうから」
 二人は寄り添い、遠くで瞬くツリーの輝きに見とれるのだった。
 ヤドリギのジンクスをどう解釈したものかとシロガネは刹那と探すが見つからない。見つけられなくても、いつでも出来るからと唇に指をあてて、とぼける刹那にもしかしてヤドリギを見つけたかったのかなと思う。それならばとシロガネは刹那の袖を引き、触れるか触れないかの軽いキスをした。
「…ヤドリギを見つけたら、こうするのが決まりだと」
「シロにはやっぱり適いません」
 照れて仕舞うのを押し込み、刹那は微笑むシロガネに適わないなと思うのだ。
「凄く…暖かい…」
 ウルフィリアが呟く。一緒に聖夜を過ごす事が出来る幸せを感じ乍ら自分の何処が良かったのだろうと疑問に思う。それでも選んでくれたそれだけで十分嬉しい出来事。今、この瞬間も…。そんなウルフィリアの不安を払拭する様に鏡は微笑する。緊張も解けて普段と変わらない様になってきた。今だ。
「ウルフィ、目を…」
「鏡…?」
 言い終わらない内に温かな唇を感じた。
 どうか…この幸せが…ずっと続きますように…と願い乍ら。
 聖夜は一日デートの葬と繭は甘やかな雰囲気でヤドリギの下に立つと、まじないを思い出し、いいですか? と微笑を浮かべて確認する。
「ずっとずっと、何時までも貴女を愛する事を誓います…愛しています、繭さん」
「私も、ずっと葬さんを愛する事を誓います! 私は、いつまでも葬さんだけのものですから…」
 そう言って目を閉じた繭に葬は顎に手を添え、少し爪先立ちで口付けた。今日何回目のキスだろうね? と笑い合って。でも、今のはいつもより長かったですと恥ずかしげに繭が言うと、ばれましたかと葬が悪戯っぽく笑った。
 ゆらゆらと揺れるランタンの灯。聖夜はコノハの誕生日でもある、やみぴにとって大切な日。
「えと、そういえば、コノハってケーキはホワイトとチョコ、どっちが好きかな…?」
「んとね…どっちかっていうとホワイト、かな?」
 コノハの好きなもので満たして祝ってあげたい。
「二人っきりで祝いだから、ネ…いつもより、沢山沢山、話とかしよう♪」
「うんっ、そうだね。いっぱい話そう♪」
 一緒に過ごせる幸せを感じて、コノハは見つけたよ、と指さしたのだった。
 初めて過ごす聖夜。好きな人過ごせる時間を嬉しく思い乍ら、来年も再来年も一緒に過ごせたらと祈る。華鈴はヤドリギを見つけると、ランタンを地面に置いて、ジョーズを手招きする。
「…一寸しゃがんでくれる?」
 背伸びしても難しい身長差。ん? と素直にジョーズがしゃがむと、頬にチュッとキス。嬉しさに思わず抱きしめ、耳元で囁く。ふわりと掛かる息。
「これからもずっと一緒にいような」
 照れて互いの額をこつんとあてる。
「…メリークリスマス」
「そうそう…クリスマスのプレゼントは後で俺の部屋でな」
 夜は長いんだから、身も心も温かな聖夜を過ごそうとジョーズは華鈴の手を取った。
 メファシエルの頭が凛の肩にあたる。身体を寄せているからだ。ふわりと長い髪が流れる。繋いだ手は凛のポケットに一緒に入っている。さざめく森の中を歩く内誘われる様にヤドリギを見つけると、見つめ合い自然とメファシエルが目を閉じた。ずっと一緒に居たいと思う、大切な人からのキス。ふっと離れたのを感じてメファシエルがおねだりする。
「もう一回して?」
「もう一回って…一回したし、十分だろ」
 見れば照れて顔が赤くなっている凛に、じゃあ続きは二人きりでねと唇に指をあてた。
 沙環は繋いでいた灯里の手を引きふわりと抱き寄せた。灯里はその行動に吃驚したが、驚きは2度やって来て。沙環は灯里の額にキスをした。
「灯里、大好きよ。メリークリスマス」
 沙環の笑顔が眩しくて、キスが照れくさくて、嬉しくて灯里はぎゅっと抱き返す。間近で交差する視線。
「沙環ちゃん、メリークリスマス」
 今は2人だけの世界の中。聖夜を祝い、素敵な日を過ごせる事に感謝するのだった。
 ヤドリギを見つけると、鏡華のマフラーを一緒に巻いた涼介は温かな飲み物をカップに注ぐ。ランタンが2人の前に置かれ、二人きりだけの世界の様な錯覚に陥る。
「…はい、涼介さんあーんです」
 鏡華が一口サイズのサンドイッチを手にして真っ赤になっている。
「あーん」
 涼介も照れつつ口を開く。スコーンを美味しそうに食べる鏡華の頬にクリームが付いている。どうしようと一瞬思案するが、涼介はぺろっと舐め取ると、その場所にキスをした。可愛い鏡華とずっと一緒に居られる様にと祈りながら。
 汐音はイセスのマフラーを巻いては居たが、それでもイセスの方へ寄り添う。その距離にイセスは自分の顔が赤くなるのが分かった。大切な思い出を話乍ら、目的の物を見つけると持参した贈り物を交換する。そして今までの距離を一気に縮める様に汐音の身体を抱き寄せ、口付けた。驚きで口をぱくぱくとさせていたが、イセスの言葉に真っ赤になる自分を感じた。
「―大好きだよ、汐音さん」
 このままだと皿に甘い言葉が溢れてくるに違いないと汐音はイセスの口を塞ぎに掛かった。
 人の姿が少ない方が2人で居られると輝流が零を連れ出したのはヤドリギ探し。探す事よりも2人で過ごす時間の方が重要だったが、運良く見つけると、今日は特別な日だから許してくれと抱きしめる。
「零…」
 揺れるランタンに驚き何か言おうとするが、輝流の言葉に沈黙する。
「…俺は、お前の側に居るから、ずっと。だからお前も居てくれるか?」
 その言葉に今日は特別だからなと、内心呟く。
「…側に居る。絶対に」
 それ以上は此処じゃない所で、と魅惑的な微妙を浮かべ輝流の唇から離した。
 ヤドリギの下で2人だけのお茶会をしつつ、ツヅラが由来を説明すると、その話に力付けられる様に大地は指輪をポケットから取り出し、ツヅラの左薬指に填める。
 フォーマルな服装も相まって、凛々しく見える大地に思わず涙ぐみそうになるのを堪えながら気持ちを伝える。
「ここまで一緒に居てくれたお前の愛情は疑うべくもない。けれど、永遠と言う言葉に縋り付いてしまう私を許してくれ。…キスしても、いいだろうか?」
「ずっと一緒にいてくれ…」
 大地はツヅラの肩を抱き寄せ、キスをした。
 ヤドリギを探す内に冷えた重の手を握り暖める。そして手を繋ぎ、龍之介は出会った頃の重の様子を思い出す。
 おまじないに頼らなくても大丈夫だとは分かっていても、少しでも長く一緒に居たいと思う気持ちが溢れてくる。重はヤドリギを見つけると、龍之介に精一杯のおねだり。
「キス…してください」
「先に言われてしまったな」
 龍之介は微苦笑を浮かべると重を抱き寄せ、いつまでも一緒に居られる様にと祈りを込めキスをした。
 見つけてから教えてやると言われ、頑張って探し始めた蒼に遼が笑う。繋いだ手の温かさと遼のさり気ない配慮に思わず頬が緩む。そうする内に見つけたヤドリギに蒼がはしゃぐ。遼はそんな蒼の手を引き、木の下に立ち謂われを話す。その内容に頬を赤くする蒼に遼は微笑んで。
「俺は幸せ者だな。一番大事な人がすぐ手の届く所にあるんだから」
「私だって幸せ者ですよ。大好きな人が、ずっと隣に居るんですから」
 そう言って蒼は遼との距離を縮めた。
 女の子には大事な事なの、と美琴に連れられてやって来た瓜は、自分がヤドリギの言い伝えを知らないと思っている様子に、見つけたその時まで黙っていようと内心にやりと笑う。知っているといった時の驚く顔と、もう一つあった。美琴が勢いに任せて見つけたヤドリギは少し低い所にあり、それを手に取るとぽすっと美琴の頭に乗せる。
「え…?」
 そしてキス。
「言い伝え通りなら、これでいいのだろう?」
「…愛してる…!」
 瓜は泣きそうな美琴へ再びキスをする。今度は優しいキスを。
 宝探しをする感覚で楽しむ小織を嬉しそうに見ていた良は、ヤドリギを見つけてほんとはね、とネタばらしをする。照れる小織が可愛くてさらりとした髪を撫でた。
「この木がくれた貴重な機会。ありがたく利用しちゃおうか」
 良が小織を抱きしめ、駄目…? と覗き込む。その仕草に小織は頬を染めて、小さく呟き頷くのを見て、口付ける。そして、小織は愛情を言葉にして唇に乗せた。
「…すき、です」
 紀乃はアリスとゆっくりと過ごそうとサンドイッチと飲み物、ランタンを手にして一緒に過ごす時間を嬉しく思う。誕生日に貰った首輪に触れて、目的の場所を見つけるとその下でお茶会開始。
「お嫁さんだからいいですよね?」
「お嫁さんですか? …ふむ」
 おねだり成功したのかなと紀乃はキスをしようとするが、感じたのはパンの感触。サンドイッチだ。純真なアリスは中々手強い様。紀乃は苦笑すると、アリスの頬に付いた卵を溜め取った。
 久しぶりのデートで仕草がぎこちなかったが、手を繋いで温かさを感じると、雰囲気も甘くなる。言葉少なに木々の中を歩く。何時までも手を繋いでいたいと思う気持ち。ヤドリギの下に立つと、椿は斑鳩を見つめ唇を重ねた。
「…来年も、またこうして会えるか?」
 直ぐに応える事が出来ない斑鳩は強く抱き返し、強引に唇を奪う。それが斑鳩が出来る精一杯の答えだった。
 蜜琉はランタンを手に良将と腕を組んで、途中ヤドリギの話をして、笑い合う。ちらちらと揺れるリボンに気づいた蜜琉はするりと良将の腕を抜けて、軽やかに駆けていく。追いかけっこ開始? と思って追いかけると、ランタンを地面に置いて笑顔の蜜琉が立っている。見上げれば上にはヤドリギが掛かっていた。
 甘い蜜琉のおねだりにくらくらとなり乍ら良将はキスをした。
「(俺以外とはヤドリギの下なんか行かねェでな?)」
 と小さく囁いて。

 聖夜に開催されたパーティは今宵まで。新たな愛おしい記憶を時折思い出せば、綻ぶ笑顔。
 そんな楽しいクリスマスが来年迎えられる様に祈って。
 メリークリスマス!


マスター:東城エリ 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:94人
作成日:2008/12/24
得票数:ハートフル7  ロマンティック30 
冒険結果:成功!
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