妖刀『地獄巡り』


<オープニング>


●都内某所
 持ち主を次々と絶望のどん底に突き落としていったと言われた刀があった。
 この刀はつい最近まで骨董品屋の店先に飾られており、先代の遺言で非売品になっていたのだが、何者かによって骨董品屋の主が殺害され、刀も奪われてしまったようである。
 それからというもの、この辺りで人斬り事件が起こっており、沢山の負傷者が出て病院送りになっていた。

「みんな、集まったな。それじゃ、話を始めるか」
 運命予報士、 王子・団十郎(運命予報士・bn0019) 。
 今回の依頼は彼の口から語られる。

 妖刀『地獄巡り』に魅入られた漢が、より強い相手を求めて、夜な夜な辻斬りを続けている。
 この漢は自らを『サムライ』と名乗っており、ふぬけた連中を粛清している正義のヒーローだと、自分の事を思い込んでいるらしい。
 そのため、例え説得したとしても、決して話を聞く事はなく、自分に仇なす悪の組織の手先だと勝手に解釈されてしまうから、くれぐれも気をつけてくれ。
 彼自身は正義のために多くの人々を裁いているつもりだが、単なる人斬りである事は間違いないから容赦する必要はないだろう。
 また、彼のまわりには同志と呼ばれる一般人がウロついており、みんな刃物を持っているから油断が出来ない。
 彼らは妖刀の力に魅入られているため、サムライの持つ刀を破壊するか、刀から離れた場所まで引きつけておけば元に戻す事が出来るだろう。
 その間にサムライを戦闘不能にする事さえ出来れば、妖刀を『破壊する』事が出来る。
 ただし、妖刀と使い手は一心同体の存在だから、例え手から離れている場合でも『破壊』する事は出来ないようだ。
 その代わり、妖刀に魅入られている一般人は『魔法的な力で守護される』ため、戦闘不能になるまでダメージを受ける事はない。
 サムライと一緒に行動している一般人も、戦闘終了後には気絶してしまい、目を覚ました時には、その間の記憶を失っている。
 それとは異なり使い手本人は、自分がやった事を覚えており、世界結界の効果によって出会った能力者や、不思議な現象についての記憶だけ曖昧になっているようだ。

マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
 今回の依頼には選択肢があります。
 どちらか選んで参加してください。

・一般人の足止めをする
 彼らは無差別に選ばれているので、共通点などはありません。

・サムライを退治する(田子作)
 サムライを戦闘不能にすれば、メガリスゴーストを『破壊する』事が可能です。
 ただし、彼は自分自身を正義のヒーローであると思い込んでいるため、田子作がちょっかいを出した場合は、問答無用でしばきたおしてしまうでしょう。

参加者
月守・千歳(剣の舞巫女・b03239)
梶原・玲紋(アトミックブレイン・b03595)
羽咲・昴琉(昏き地獄の処刑人・b14529)
シルヴィア・ブルームフィールド(蒼い瞳のサムライガール・b17723)
エルヴァ・シルフィル(茶道好きな魔剣士・b19067)
当麻・彼方(高校生黒燐蟲使い・b19938)
白雪・勇姫(赤にして紅翼・b31194)
土岐・達也(黎紅ノ魔翼・b33568)
御堂・燐(自由気ままな符術士・b34201)
ドルミエンテ・ダルターニ(夢見族の暗霧・b49489)
文月・風華(暁天の巫女・b50869)
壱柳・言翅(陰陽別たれざる太極・b56440)
NPC:鬼頭・田吾作(高校生ファイアフォックス・bn0034)




<リプレイ>

●真夜中の路地裏
「……いわくつきの妖刀か」
 険しい表情を浮かべながら、羽咲・昴琉(昏き地獄の処刑人・b14529)が辻斬り事件の起こった現場にむかう。
 辻斬り事件の起こった現場は異様な雰囲気に包まれており、壁には『通り魔、注意!』と書かれた張り紙が貼られている。
「メガリスゴーストか。……元はと言えば、俺達が撒いた種だな」
 少し寂しそうな表情を浮かべ、エルヴァ・シルフィル(茶道好きな魔剣士・b19067)が複雑な心境に陥った。
 その横では鬼頭・田吾作(高校生ファイアフォックス・bn0034)が納得のいかない表情を浮かべ、エルヴァに首根っこを掴まれている。
「人の心を掌握し、使役するメガリスゴースト。魅入られてしまった方々を救えるように、全力をもって当たりましょう。幸い僕には傷つけずに相手を止める力があります。ここは僕が踏ん張らねば!」
 自分に言い聞かせるようにしながら、ドルミエンテ・ダルターニ(夢見族の暗霧・b49489)がサムライを探す。
 しかし、サムライの姿は見当たらず、どこからか血の臭いだけが漂っていた。
「それにしても『地獄巡り』とは凄い名前ですね。どうしてこんな名前なんでしょうか?」
 不思議そうに首を傾げながら、土岐・達也(黎紅ノ魔翼・b33568)が専門書をペラペラとめくる。
 妖刀『地獄巡り』の刃は鋸状になっており、痛みを長引かせる構造になっているらしい。
 そのため、死に至るまで悶え苦しむため、いつの頃からかこう呼ばれるようになったようである。
「……メガリスゴースト絡みとは言え、一般人に手を出すのは、やっぱりこう……、ちょっと戸惑っちゃうわよね」
 妖刀に操られた一般人の事を考えながら、当麻・彼方(高校生黒燐蟲使い・b19938)がボソリと呟いた。
 彼らは完全に我を失っており、自分の意志とは関係なく、人々を襲っているようである。
「あっちが正義の味方で、こっちが悪の組織ッすか……」
 田子作に対して生暖かい視線を送り、白雪・勇姫(赤にして紅翼・b31194)が溜息を洩らす。
 その視線に気づいた田子作が顔を真っ赤にして怒り、『オレはまだ何もしていねぇ!』と反論をする。
「どういう基準で何が腑抜けとか考えてるのかよくわからねぇけど、迷惑な現代のサムライもいたもんだ。とっととおとなしくなってもらわねーとな……」
 呆れた様子で頭を抱え、梶原・玲紋(アトミックブレイン・b03595)が口を開く。
 サムライは自分より強い相手を求めて彷徨っていたが、勝負を挑む相手の大半が腑抜た連中だったようである。
「正義のヒーローと名乗っていますが、やっている事は極悪人ですね。手加減なんか出来ませんからね。周りの人共々、目を覚まさせてあげましょう」
 仲間達に声をかけながら、文月・風華(暁天の巫女・b50869)が気合を入れた。
 メガリスゴーストに操られたサムライは自分が神に選ばれた存在であると思い込んでおり、何をやっても許されるものだと勘違いしていたらしい。
 しかも、メガリスゴーストに操られている男性は、自分の考えとは異なる相手を悪であると決めつけ、次々と排除していったようである。
「辻斬りを働いておいて腑抜た連中を粛清している正義の味方気取りでゴザルか。挙句、SAMURAIを名乗るとは、おこがましい上に言語道断にゴザル」
 不機嫌な表情を浮かべながら、シルヴィア・ブルームフィールド(蒼い瞳のサムライガール・b17723)が拳を震わせた。
 彼女からしてみればサムライを名乗っている男を許す事が出来ないため、考えているだけでも沸々と怒りが込み上げてくる。
「そーいや、シルヴィさんってサムライに憧れて日本に来たんだっけ」
 納得した様子でシルヴィアを眺め、月守・千歳(剣の舞巫女・b03239)が汗を流す。
 次の瞬間、メガリスゴーストに操られた一般人がユラユラと現れ、不気味な笑みを浮かべて刃物をギュッと握りしめる。
「……んーん、こいつ……正義、違う。正義の味方は……うん、拳で戦う。……刀は邪道。ましてや、一般人を戦闘員みたく……つれているから……、こいつ……正義違う!」
 一般人をジロリと睨みつけながら、壱柳・言翅(陰陽別たれざる太極・b56440)がキッパリと言い放つ。
 それに合わせて一般人が刃物をキラリと輝かせ、ジリジリと間合いを詰めていく。
「ある意味、武術を使う人との戦い……。気合を入れて全力で行かせてもらいます!」
 すぐさまイグニッションをしながら、御堂・燐(自由気ままな符術士・b34201)が一般人達と対峙する。
 そして、能力者達はメガリスゴーストに操られた一般人を元に戻すため、ゆっくりと得物を握りしめた。

●一般人
「……思ったより多いな」
 警戒した様子で辺りを見回しながら、玲紋が一般人達に対して視線を送る。
 一般人達はメガリスゴーストの力によって操られており、唸り声をあげて襲いかかってきた。
「しかも、闇纏いは無意味か」
 険しいい表情を浮かべながら、昴琉が一般人の振り下ろした刃物を避けていく。
 メガリスゴーストに操られた一般人達に闇纏いは無意味らしく、まったく姿を隠す事が出来なかった。
「王者の風も……、効きません」
 悲しげな表情を浮かべながら、風華が黒燐奏甲を発動させる。
 それに合わせて昴琉が旋剣の構えを発動させ、メガリスゴーストによって操られた一般人達のまわりを囲む。
「皆さんがメガリスゴーストを倒すまで持たせてみせる!」
 自分自身に気合を入れながら、ドルミエンテが魔蝕の霧を発動させる。
 そのため、一般人達の体が霧に包まれ、超常的な力を消し去った。
「壱柳呪術奥義ッ! 八卦迷宮陣ッ!」
 少しずつ間合いを取りながら、言翅が八卦迷宮陣を発動させる。
 それと同時に周囲の気が激しく乱れ、移動を妨げる見えない迷宮が完成した。
「……悪く思わないでくださいね。これも、あなた達のためなんですから……」
 一般人達に語りかけながら、達也が黒燐奏甲を発動させる。
 だが、一般人達はまったく納得しておらず、激しく唸り声を響かせた。
「やはり、分かってくれないか」
 残念そうに溜息をつきながら、昴琉が一般人に黒影剣を放つ。
 その一撃を食らって一般人が吹っ飛び、ブロック塀にめり込んだ。
 しかし、一般人達はメガリスゴーストの力で守られているため、どんなにダメージを食らっても死ぬ事はない。
「しばらく、おとなしくしてください!」
 再び一般人達が刃物を振り上げて襲いかかってきたため、風華が覚悟を決めて龍撃砲を撃ち込んだ。
 それでも、一般人達はふらりと立ち上がり、能力者達に対して攻撃を仕掛けていく。
「……仕方がありませんね。しばらく眠っていてもらいましょうか」
 一般人達を引きつけながら、ドルミエンテが悪夢爆弾を撃ち込んだ。
 次の瞬間、悪夢を実体化した暗黒の塊が弾け飛び、一般人達を深い眠りの世界へと誘っていく。
「痛かったらごめんな!」
 一気に間合いを詰めながら、玲紋が暴走黒燐弾を撃ち込んだ。
 そのため、一般人達が黒燐蟲に襲われ、次々とその場に倒れていく。
「……終わった……」
 辺りの様子を確認してから、言翅が疲れた様子で溜息を洩らす。
 一般人達は未だに操られているようだが、戦闘不能状態になっているため、これ以上何もする事が出来ない。
「……早くここから離れましょう」
 仲間達に声をかけながら、達也が眠りについた一般人を背負う。
 そして、能力者達はメガリスゴーストの呪縛から逃れるため、その場から離れていくのであった。

●サムライ
「……なるほど、隙がない。サムライとはよく言ったものだな」
 ただならぬ殺気を感じ取り、エルヴァが黒燐奏甲を発動させる。
 メガリスゴーストによって操られた一般人は厳しい表情を浮かべたまま、能力者達に対して刃物のように鋭い視線を放っていた。
「何がサムライだっ! そんなモン、オレが本気を出せば一発だぜ!」
 自信に満ちた表情を浮かべながら、田子作が啖呵を切ってサムライに斬りかかる。
 それと同時にサムライが素早く妖刀を振り下ろし、一瞬にして田子作を血祭りにあげた。
「……って、もう重傷になっているッすか、この先輩は!? さすが重傷三冠王ッす」
 黒燐奏甲を発動させながら、勇姫が唖然とした表情を浮かべる。
 だが、田子作はプルプルと右手を伸ばし、『乳を揉ませてくれたら、生き返るかも知れない』と言ったので迷う事なくトドメをさした。
「まったく…一般人を斬って正義の味方とかないわよ。まっ、鬼頭が斬られたのは、仕方のない事だけど……。とにかく鬼頭くんのよく分からない犠牲は無駄にはしないわ!」
 斬馬刀を構えて一気に踏み込み、彼方がサムライに攻撃を仕掛けていく。
 しかし、サムライはこちらの動きを読み取り、次々と攻撃を妖刀で受け止めていく。
「刀に魅入られてSAMURAIを騙るような輩に後れを取るような事があっては末代までの恥。その様な輩は拙者の刀で成敗してくれるでゴザル。拙者はシルヴィア・ブルームフィールド。そこな辻斬り覚悟致すでゴザルッ!!」
 自ら名乗りを上げながら、シルヴィアが旋剣の構えを発動させる。
 それに合わせてサムライが妖刀をギュッと握りしめ、『……面白い。ならば、どちらが本物のサムライなのか、決めようじゃないか』と言い放つ。
「……行くよっ!! これ以上、悪事を働かせたりはしないからねっ!」
 旋剣の構えを発動させながら、千歳が一気に間合いを詰めていく。
 だが、サムライは一瞬の隙を見せる事なく、千歳の振り下ろした大太刀を弾いた。
「とっとと、くたばれ!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、燐がサムライに呪殺符を投げつける。
 その一撃を食らってサムライが悲鳴をあげ、『……飛び道具とは卑怯な』と愚痴をこぼす。
「罪のない人々を切り捨てていた輩が、いまさら何を……。その上、刀に魅入られるような輩が、正義の味方でSAMURAIを名乗るなど笑止千万! その性根、叩き直してくれるでゴザル」
 サムライを叱りつけながら、シルヴィアが黒影剣を叩き込む。
 一撃、一撃、怒りと必殺の気合を籠めて……。
 その勢いに圧倒され、サムライがグッと唇を噛み締める。
「ほらほら! あなたの敵は一人じゃないのよ! そう簡単にサムライ無双なんてさせないわ!」
 サムライの死角に回り込みながら、彼方が黒影剣を炸裂させた。
 そのたび、サムライが悔しそうな表情を浮かべ、妖刀を握りしめて歯軋りをする。
「燃え尽きる程にヒィィィィトォォォォ! 灼熱疾走(バーニングオーバードライブ)!」
 少しずつ間合いを詰めながら、勇姫がフェニックスブロウを叩き込む。
 その一撃を食らってサムライが血反吐を吐き、両目をパチクリとさせてガックリと膝をつく。
「こいつで決めるよっ!! いっけぇぇぇぇぇぇっ!!」
 サムライの懐に潜り込み、千歳が紅蓮撃を炸裂させた。
 次の瞬間、サムライの体が魔炎に包まれ、辺りに凄まじい悲鳴が響き渡る。
「……元をたどれば一般人か。メガリスゴーストとは厄介な代物だな」
 気絶したサムライに視線を送り、エルヴァが深い溜息を洩らす。
 持ち主の手から離れても妖刀は怪しげな光を放っており、まるで能力者達を誘っているようである。
「片付いたでゴザルな。早速、妖刀を破壊致すでゴザル」
 サムライが戦闘不能である事を確認し、シルヴィアが妖刀を木っ端微塵に破壊した。
 それと同時に妖刀の輝きが失われ、辺りに漂っていた異様な気配も消えていく。
「気合の入り方が違うのか、何時も以上に疲れました。これからも、もっと進歩しないと駄目ですね」
 しみじみとした表情を浮かべながら、燐が疲れた様子で肩を落とす。
 そして、能力者達は田子作の存在をすっかり忘れ、サムライを連れて帰路に就くのであった。


マスター:ゆうきつかさ 紹介ページ
この作品に投票する(ログインが必要です)
楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:12人
作成日:2009/01/12
得票数:楽しい10  笑える1 
冒険結果:成功!
重傷者:鬼頭・田吾作(高校生ファイアフォックス・bn0034)(NPC) 
死亡者:なし
   あなたが購入した「2、3、4人ピンナップ」あるいは「2、3、4バトルピンナップ」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 マスターより許可を得たピンナップ作品は、このページのトップに展示されます。
   シナリオの参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。