サバイバルが怖い


<オープニング>


「電波も来てないし、マジありえないんだけどー!」
 ここは、どこかの海に浮かぶ小さな島。
 その波打ち際で、きらびやかなデコレーションを施した携帯を手に、頻りに騒いで居る少女が一人。
 茶髪にピアス、メイクは勿論、ネイルアートで指先までしっかりお洒落が行き届いている。
 しかし顔自体はまだあどけなく、背格好や制服姿からも中高生である事が伺える。
「マジでここどこよ! 遭難とかありえないし!」
 周囲に頼るべき人間は居らず、外界との連絡手段もなければ、ファーストフードやコンビニももちろん無い。
 偶然船や飛行機が通りかかるのを待つにしても、いつになるか解らないその時までどうやってこの島で生き延びるのか?
 何不自由なく大量消費社会を生きてきた少女にとって、それは容易な事ではない。
「誰かー! 助けてー!」
 水平線の彼方へ向け、少女はそう叫ぶばかり。

「自分達が凄く恵まれた環境で暮らしてるって事、ついつい忘れちゃうわよね」
 柳瀬・莉緒(中学生運命予報士・bn0025)はしみじみ言ってから、早速依頼の説明を始める。
「シノブさんって中学生の女の子が、来訪者ナイトメアの作り出した悪夢に囚われて苦しんでいるわ。彼女の精神が参ってしまう前に、助けてあげて欲しいのよ」
 シノブは無人島に一人漂着し、途方に暮れている。一刻も早い救助が必要だろう。

「無人島にたどり着いたら彼女と力を合わせて、雨風を凌げる場所を見つけたり、食料の確保等、島での生存方法を確立して頂戴」
 絶海の孤島でも、生き延びることは可能なのだと教えてあげる事が重要だ。
「ただし、悪夢の衛兵達が何かにつけて妨害しようとしてくる筈だから、シノブさんをしっかり守ってあげてね」
 例えば猛獣であったり、近隣の島からやってきた部族だったり、見た目のバリエーションは豊かだが中身は一緒だ。
 悪夢の衛兵ははっきり言ってザコだが、一般人のシノブにとっては十分危険な敵だ。

「あなた達が見事なサバイバル術を披露し、衛兵達を撃退しても、シノブさんが悪夢から出られる訳じゃないわ。肝心なのは、彼女自身が生き延びる知恵と力と勇気を身に付ける事なの」
 便利で何不自由無い生活とは正反対の、過酷な環境で生き抜く事。
 能力者達と共に過ごす中で、そう言った強さを彼女に伝授する事が出来れば、二度と同じ夢に囚われる心配はない。

「不思議な粉を渡しておくわね。……それと、夢の中では普通には考えられない事も平気で起こるわ。ただし、夢の中で深い傷を負ったり命を落としてしまった場合、現実でもそうなる事だけは忘れないで」
 莉緒はそう言って小さな袋を手渡すと、能力者達を送り出すのだった。
「気をつけていってらっしゃいっ!」

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参加者
八岐・龍顕(神主見習い・b03257)
真田・幸奈(お茶目な言霊使い・b20804)
朝日奈・護(絶壁の小虎・b24524)
ミハイル・ソールツェフ(翡翠眼のミカエル・b39280)
夜咫・晶(獅子の瞳を映す銀鏡・b53016)
岸田・務(少女が見た流星・b55564)
萱森・各務(遊鬼士・b56350)
天風・唯鶴(唯狼・b64220)
鳥越・九(鳥二走リテ戌ボシタル・b68569)




<リプレイ>


「こんな事ならあの映画見ておけば良かった……タイトルなんだっけ……って携帯繋がらないから調べられないし!」
 砂浜でシノブは騒いで居た。
 人生最大のピンチに直面し、すっかり錯乱状態だ。
「よお、君も遭難者か?」
「え?」
 振り向けば、八岐・龍顕(神主見習い・b03257)を初めとする9人の姿。
「お互い難儀なことだな。こんな場所だ。人数は多い方が良い。君も一緒に行動しないか?」
「良かったー! 独りぼっちかと思ったし!」
 能力者達の姿を見て、安堵した様子のシノブ。
 すっと鳥越・九(鳥二走リテ戌ボシタル・b68569)が歩み寄る。
「初めまして、鳥越・九と申します。こんな髪と目をしてますが、一応日本人です。私達も船舶事故に巻き込まれ、流されてきてしまいました」
 皆も次々に名前を名乗る。
「アタシはシノブ。ねぇ、それよりどうやって帰る? 迎えに来て貰わなきゃ!」
「まずは落ち着く事だ。俺たちは全員遭難者なのだから」
「ええ、救助がくるまでなんとか生き残るしかないですね」
 冷静に現状を告げる天風・唯鶴(唯狼・b64220)と萱森・各務(遊鬼士・b56350)。
「救助っていつ来るの?」
「さぁな。数日後かも知れないし、数週間かかるかも」
 シノブの問い掛けに、空を見上げつつ答える岸田・務(少女が見た流星・b55564)。
 時間は夕刻にさしかかろうという所、やがて暗くなりそうだ。
「えーっ?! 有り得ない! そんなにこんな所で過ごせるわけないじゃん!」
「でもシノブせんぱい、自分達でやらないと誰もやってくれないですよ」
「そりゃ、そうだけど」
「僕も頑張るから、一緒に頑張りましょう。シノブせんぱい、ファイトです!」
 明らかに年下に見えるミハイル・ソールツェフ(翡翠眼のミカエル・b39280)にそう励まされては、シノブも駄々をこねられない。
「……で、どうすればいいの? 食べ物とかどうするのさ、まさかヘビとかトカゲを食べるんじゃないよね? そんなのアタシ絶対無理だかんね!」
 渋々ではあるが、サバイバル生活の第一歩を踏み出す気にはなったようだ。


 幸い雨露を防げそうな洞窟を発見した(と言うより、龍顕らの巧妙な誘導によってシノブに発見させた)一行は、食べ物を調達する班と、洞窟の環境を整え火を確保する班に分れた。
「キャンプファイヤーでもするの?」
「いや……何をするにも、火はほしいだろ? 夜、気温が冷え込んでも暖をとれるし、危険な獣を寄せ付けないし、料理だってできるからな」
「へぇ〜。って、デルタくんは怖がったりしないの?」
 朝日奈・護(絶壁の小虎・b24524)が流木を組むのを手伝うシノブ。
「この子は、大丈夫、ですよ。慣れてます、から」
 真ケルベロスベビーのデルタを撫でつつ、疑問に答える夜咫・晶(獅子の瞳を映す銀鏡・b53016)。
 彼女らは洞窟内の石や木切れなど、邪魔になる物を外へ運び出している。
「で、真中のところにはよく乾いて細かくて燃えやすいものを盛り上げるのな」
「燃えやすいもの……ティッシュくらいならあるけど」
「マッチがあるから、いいか、そっとだぞ」
「任しといて……あれ、しけってない?」
 護からマッチを受け取ったシノブだが、上手く擦る事が出来ず、マッチの頭の部分がボキボキ折れてゆく。
「おいおい、ちょっと貸してみろ。こうだ」
「え? こう? あ、点いた!」
 お手本を見せられ、ようやく自力でマッチを擦ることが出来たシノブだが、相当数のマッチを消耗してしまった。
「でも大丈夫ですの。こうやって、竹筒の中に火種を入れておきますの。そうすれば、次からはそんなに苦労しなくても大丈夫ですの」
「へー、凄い!」
 真田・幸奈(お茶目な言霊使い・b20804)は、忍びに伝わる伝統的方法で種火を確保。
 サバイバル術とは詰まるところ、先人達の知恵の集大成なのだ。

 程なくして、食料調達に出た面々も洞窟へ戻ってきた。日暮れが迫っていた為、余り遠くまでは探せなかった。
 収穫は野草や木の実など。
「えっ……これが夕飯? しかも全員分?」
「いや、帰り道でコレも捕まえておいた。動物性たんぱく質も必要だと思ってな」
「ひゃあっ!?」
 明らかに不満げなシノブの目の前に、トカゲを差し出す務。
「海水は加熱してからなら安全に飲めるんだ。器を持ってきたから、これを焚き火に当てて熱してから冷まして飲もう」
「こんなちょっとずつじゃ、いつになるか解らないじゃん」
 唯鶴は汲んできた海水を蒸留し、飲み水を確保するやり方をレクチャー。
 シノブは一応説明を聞いているが、疲れや空腹などもあって何かと不満が絶えない様子。
「明日になれば、水のある所も見つかるかも知れませんの。手ぬぐいを使って濾せば、少しは綺麗になりますの」
「もう寝る。これは悪い夢なんだきっと……寝て起きたらきっと家のベッドにいるんだ」
 幸奈の授けた貴重な知識も、シノブの耳には余り心地よく響かなかった様子。ふて腐れて横になるが――。
「シノブせんぱい、まだ寝ちゃダメですよ」
「ええ、交代で見張りをしなくては」
 そんなシノブを起こし、笑顔で告げるミハイルと各務。
「あーもう……サイアク!!」
 その後、くじ引きで見張りの順番を決めた一行だが、シノブは見事最初の見張りチームに当選した。

「火は消さないで下さいね。誰かが煙を見つけてくれるかもしれませんし」
「大丈夫。これが消えたらライオンとか虎に食べられちゃうかも知れないしね」
 洞窟の入り口付近で火を囲み、見張りにつくのは晶、シノブ、ミハイル、幸奈の4人。
「……ねぇ皆、アタシ達って本当に帰れると思う?」
 シノブも落ち着いたようだが、逆に少し弱気にもなっている様子。そんな問いを投げかける。
「大丈夫ですよ。頼りになる仲間達も居ますし」
「その通りですの。この島で生きていれば、いつか必ず帰れますの!」
「そう、なのかなぁ」
 口々に励ます3人だったが、先の見えない島での生活に、不安は尽きない。
 ともあれ、一行は島での1日目を終えたのだった。


「ねぇ、こんな感じでどう?」
「……あぁ、悪くないな」
 唯鶴はシノブから手渡されたかごをチェックし、満足げに頷く。
 あれから数日が経ち、シノブは唯鶴に伝授された植物の利用法の幾つかを身に付けていた。
「帰ったら文化祭とかに出品出来るねコレ」
 ふふっと笑うシノブだが、直後に少し表情が曇る。
「大自然の中で過ごさねばならぬ気持ちは分かる。サバイバルも慣れれば結構楽しいものだぞ」
 心中を察して、そんな言葉を掛ける唯鶴。
「……うん、皆とこういう生活するのは結構楽しいよ。出来なかったことも一杯出来る様になったし。でも……いつ帰れるのかって考えるとね」
「シノブが1人でもこの島で暮らせる様になれば、帰れるさ」
「え? 意味わかんないし」
「さぁ、戻るとしよう。素材もこれだけあれば十分だろう」
 彼らは生木で作った槍や、先ほどのかご、その他使えそうな木材を携えて洞窟へと引き返す。

「このっ! ……あぁ、また逃げられた……ねぇもう疲れたんだけどー」
「こんな未開の島ではいつ身動きがとれなくなるか分からん。万が一俺たちが皆動けなくなったら、その時はお前が頼りなのだからな」
「……解ったよ、やれば良いんでしょ」
 この日シノブは、洞窟からほど近い場所に流れる小川で、龍顕から魚の捕り方を教わっていた。
 教わると言っても、龍顕は監督しているだけと言った状態。シノブは文句を言いながらも、自作の木の槍で水中を泳ぐ魚を突く。
「あっ、あー惜しい! 今ちょっと掠ったよ」
「今日の夕飯がどうなるか、お前次第だからな。頼むぞ」
 手先は器用なシノブだが、運動神経は余り良く無い様子。その後も悪戦苦闘したが、結局この日は魚を捕ることは出来なかった。

 更に数日が経過し、その日の夜はシノブ達が獲った大量の魚で普段より豪華なディナーを取る事になった。
「そうそう、何重にもくるんで、絶対中身が出ないようにしておいて」
「こんな感じ?」
「で、焚火のそばに穴を掘るのな」
 護は大きな葉っぱを台にして、その上に魚や木の実を盛り合わせて包み込んで見せる。
 皆も見よう見まねで、同じような包みを作る。
「そこにこれを埋めたら、しばらくはこのまんま。掘り出すと、ほかほか、味もしみてる蒸し料理になってるってわけ」
「なんか、この島に来てから食事って言うと食材をそのまま食べてるばっかだったから『料理』って久しぶりだね」
「トカゲの丸焼きや――」「ヘビの塩ゆでのことですか?」
「う、うん。最初は絶対食べられる気しなかったもん」
 務と九のツッコミに、苦笑混じりに応えるシノブ。それらの「食料」も、今では食べられる様になったのだから、随分な進歩だ。
 そんな雑談に花を咲かせていると、やがて魚も蒸し上がる。
 能力者達の指導の下、シノブは着々とサバイバル術を習得しつつあった。


「へー、じゃあいっちゃんは小さい頃からこう言うアウトドア体験してたんだ」
「……はい、それなりに」
「皆凄いよね、アタシとそんなに年も違わないのにさ」
「そう言うシノブ様も、最初から比べればかなり成長されたかと」
 島に来て何度目かの夜。
 この時間帯は九、各務、務とシノブの4人が見張り番についていた。
「ねぇ、各務さんは恋人とか居るの?」
「ごほっ……いえ、今は修行中の身ですし」
「そうなんだ、大変だね。私なんか――」
「しっ!」
 他愛もない雑談に興じていた彼女たちだったが、務が険しい表情で会話を中断させる。
 ――がさがさっ。
 見れば、正面の木々が不自然に揺れている。
「ぐるおおぉぉぉ!」
 咆吼と共に姿を現したのは巨大な熊。
 ジリジリと4人へ近づいてくる。
「く、熊!?」
「下がれ、皆に報せるんだ」
「あ、う、うん!」
 務は火のついた棒を手に熊を威嚇しつつ、シノブを洞窟の中へ向かわせる。
「……今なら大丈夫そうですね」
 シノブが洞窟内に向かったのを確認すると、九は棒の代わりに得物のレオナルドを構え、熊の間合いへと飛び込む。
 これに合わせ、各務も呪詛の言葉を紡き、務は卓袱台を構える。
 シノブが見ていないならば、能力を使うのに遠慮は要らない。
 3人の攻撃が一斉に熊(に扮している悪夢の衛兵)を襲い、瞬時に打ち倒した。
「皆大丈夫か、熊はどこだ?」
「あぁ……追い払えたみたいだ」
 間もなく、洞窟の中から槍や棒を手にした仲間達が出てくるが、熊の姿は既に無い。
「……まさかあんなのが居たなんて……思ったほど火も怖がってなかったし、やばいね」
 怯えた様子で槍を握りしめるシノブ。
 さすがに巨大な獣を目の当たりにして、かなりの恐怖を覚えた様子。
「なに、あっちだって俺たちの事は怖いんだ。もし来ても、戦って追い払えばいいさ」
 励ますように言葉を掛ける護。
 その後も数回に渡って肉食獣は姿を現わしたが、所詮中身は衛兵。
 シノブに違和感を感じさせない為の工夫は必要だったが、能力者達の機転により、切り抜けることが出来た。


 晴天に恵まれたある日。
「ここで皆と会ったんだよね。私1人だったら絶対数日で死んでたなー」
「それは皆同じですよ。今だって、皆で力を合わせて生き延びてるじゃないですか」
 浜辺を歩きながら、そんな遣り取りを交わすシノブとミハイル。
 2人とも教えられた知識を吸収し、共に大きく成長していた。
「そうかなー。まだまだ皆と比べたら役立たずだよ」
「小さなことでも、自分が、出来ることをすれば、良いと、思います。どんな大きな目標も、積み重ねれば、必ず、叶います」
「……いつかは皆で、日本へ帰れるよね」
 少し謙遜気味に言うシノブへ、しっかりと告げる晶。デルタも2人の間をぴったりと付き従って歩いている。
「でも、飛行機も船も全然通らないよねー」
「……何か来ました」
 晶が指さす先、確かに数隻の船がこちらへ向かってくるのが見える。
「船だよ! おーい! おーい!!」
「ちょっと待って下さいですの。救助隊にしては少し変ですの」
 飛び跳ねて叫ぶシノブを制し、幸奈は目を凝らす。
 次第に近づいてくる船の上には、上半身裸で奇妙なペイントを施し、槍や弓などの武器を備えた男達の姿。
「もしかしたら、幸奈達を食べようとしてる人喰い族の方達かも知れませんの」
「えっ!?」
 ――ヒュン!
 言っている間にも矢が放たれ、数本が波打ち際に落ちる。
 更には数人がナイフを口に咥えて海中へ飛び込み、見る見るうちに接近してくる。
「く、来るよ!?」
「慌ててはいけませんの。必殺、子守歌の術ですのよ!」
 幸奈の歌声が海に向けて響き、数人の原住民らが眠りに落ちる。
「皆さんに、報せて、下さい」
 晶は破魔矢を木製の弓にカムフラージュし、引き絞りつつ告げる。
「わ、解った! 行こう幸奈ちゃん」
「はいですの!」
 この場を一先ず晶とデルタに任せ、2人は洞窟へと急ぐ。
 ――ヒュッ!
 晶の放った破魔矢は、舵を取っていた男を射落とす。
「「ウオーッ!!」」
 しかし、雲霞の如く押し寄せる原住民らも負けじと投げ槍や矢を浴びせてくる。
 葉剣を振るってそれらを打ち落とす晶。デルタも男達の足に噛みつき、引っ掻きながら彼女を守る。
「大丈夫か? 待たせたな」
 ものの数分もしないうち、白光を纏った黒闇蒼煌を手に唯鶴が駆けつける。
「悪夢のことはいくつか報告も聞いていますが、ここまで手間のかかったものは、なかなか無いのではないかと」
 九も短棍で投げ槍を弾き、そのままインパクトをたたき込む。
 何かと大変だったこの悪夢も、大詰めの部分。
「残念だったな、悪夢ももう終わりだ」
 龍顕の瞳に禍々しい魔力が宿り、迫り来る男を見据える。
「援護します」
「よーっし、てめぇらかかってこい!」
 各務が呪詛を唱えて援護するのに合わせ、敵中へ躍り込む護。
 ――ダンッ!!
 砂浜に振動が走り、数人の敵が崩れ落ちる。
「ミハイル」
「はい、これ以上好きにはさせないよ」
 務と連携を取りつつ、残党を挟撃するミハイル。
 大剣【Prominence】が空を裂き、最後の衛兵をも斬り倒した。


「這々の体で逃げていったよ。もう来ることはないだろ」
「そっか」
 衛兵達を殲滅し、洞窟へ戻った一同。シノブを安心させる様に龍顕が告げる。
「最初はなんでこんな所にって思ったけど……皆と一緒に過ごしてるうちに、アタシ達の島みたいに思えてくるから不思議だよね」
 幸奈と共に洞窟で待機していたシノブだが、怯えて隠れていたわけではない。
 怪我人が出た場合に備えて薬草等の用意をしていたし、いざと言う時には武器を取って戦う覚悟もあった。
 すっかり逞しくなったシノブは、もう二度と同じ悪夢に囚われる事は無いだろう。
 そして同時に、10人がこの島に留まる理由も無くなった。

 かくして、力を合わせ幾多の困難を乗り越えた10人は現実への帰還を果たす。
 ナイトメアの思惑は、彼らの生き延びようとする意志によって破られたのである。


マスター:小茄 紹介ページ
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楽しい 笑える 泣ける カッコいい 怖すぎ
知的 ハートフル ロマンティック せつない えっち
いまいち
参加者:9人
作成日:2009/12/28
得票数:楽しい1  知的2  ハートフル13 
冒険結果:成功!
重傷者:なし
死亡者:なし
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