ミント・ハーブラ & サイファー・ガラント

●『繋がる思い』

「クリスマスに予定はありますか?」
 サイファーの問いかけに、ミントは瞬く。
「……もし、空いてたら……」
 サイファーがの全てを言い終えるより前にミントは「はい!」と頷いた。
「空いてます!」
 色白のミントが少しばかり顔を上気させる。
 サイファーからのお誘いならば、ミントは喜んで受けた。
 ミントの様子にサイファーは僅かに瞬く。
 ふわりと笑って約束をした。
「それじゃあ……」
 ……クリスマスに、約束を。

 日が沈むと空に広がるのは蒼い色。
 蒼の夕闇が深まると濃い青から夜の闇色へと染まっていく。
 闇が深まれば深まるほどイルミネーションの輝きは鮮やかに映り、人々の目を楽しませた。
 友人同士であれば楽しげに。
 仲間同士であれば陽気に。
 イルミネーションの光は、それぞれ違うように世界を彩る。
 家族であれば、柔らかく。
 では互いに『特別』ならば――光は、どのように映るだろうか。

 ――前々からお互いに意識はしていた。
 ミントの目はサイファーの姿を追い、サイファーの目はミントの姿を探した。
 ミントの中で想いはいっぱいいっぱいになって、サイファーの中でも想いは溢れそうになっていた。
 クリスマスの約束をした二人は、待ち合わせ場所で無事会えると簡単に挨拶をする。
 サイファーは「ミントさん」と、おもむろに呼び掛けた。
 呼び掛けに、ミントは顔を上げる。
 ……サイファーの目にミントが映った。
「好きです」
 真っ直ぐに、サイファーは言う。溢れそうだった想いを……言葉へと変えた。
「ミントさんが、好きです」
 サイファーは言葉を繰り返す。ミントはしばらくの間をおいて、顔を赤く染めた。
 はわはわと唇を震わせミントは一度俯く。
 頭を振ってミントはサイファーを見つめ返した。
「私、も」
 そこで一旦、ミントは言葉を詰まらせた。コクリと息をのみ込み、言葉を紡ぐ。
「……サイファーさんが、好きです」
 ミントの声が僅かに震えたが――想いを伝えた。
 イルミネーションが輝く中、互いに見つめ合う。
「サイファーさん……」
「ミントさん……」
 互いに名を呼び合い、どちらからともなく抱きしめあった。



イラストレーター名:仲村くさた