八意・永琳 & 七鞘・銀司

●『Merry Christmas☆2年越しの想いと共に』

 冬のお風呂というものは実に格別である。
 心も身体もぽかぽかに暖まり、銭湯から出てきたカップルひと組。永琳と銀司だ。
 その後は部屋でまったりとくつろぐ為に、ふたり仲良く並んで帰る。だが。
「あっ、銀司さん。少し待ってくださいね……」
 部屋に着くなり、永琳は銀司にストップをかけた。
「?」
 首を傾げる銀司の前で、永琳はすこしいたずらっぽく笑う。
「ちょっとプレゼントの準備をしますので、いいって言うまでお待ちくださいな」
「うん……わかった」
 プレゼントって何だろう? ケーキかな? いつの間に準備してたんだろう?
 銀司が期待に胸を膨らませて部屋の前でうろうろすること数分。
「いいですよー」
 部屋の中から永琳の声がした。
 銀司は期待と……ちょこっとだけの不安を抱えて、がらりとふすまを開ける。
 するとそこには……。
「メリークリスマス!」
 明かりといえば行灯だけの薄暗い部屋の中で、白い肌……というか、胸元がやたらと目立つ。
 なんと永琳が色っぽいサンタ・ガールのコスプレで頬を染めつつお出迎えしていたのだ。
 しかもその大きな胸の間には『MerryChristmas』と書かれたカードが挟まれているではないか。
「えへへ、プレゼントは私なのですよ……♪」
「……ぇ?」
 期待と不安を斜め上に吹っ飛ばしたクリスマスプレゼントに、思わず銀司は固まってしまった。
 顔を赤くして冷や汗を流す銀司に、永琳はそっと近づいて耳元で囁く。
「だって銀司さん、ずっと奥手なんですもの……。あまりに奥手すぎると怒っちゃいますよ……?」
 硬直している銀司が状況を飲み込むより早く、永琳は彼の身体にぎゅうっとくっついて。
「ぇ……えっと……その…………」
 銀司の顔が、さらにさらに赤くなって、まるでゆでだこのようになってしまった。
「んもう、こういうときは、男性がリードするべきですよ」
 永琳はそう言うと、銀司の唇を半ば強引に奪った。
「……うぃ……頑張るのですよ……」
 銀司は小さな声でそう答えるのが精一杯。
 永琳と銀司の攻防戦がいつまで続いたのかは、二人だけのヒミツ!



イラストレーター名:上田リエコ