●『初めての共同作業』
ここは、下宿『宝蓮荘』。銀誓館学園生徒が楽しく暮らしている下宿だ。今日はクリスマスイブということで、下宿の住民とその友達でクリスマスパーティーを企画していた。だから、皆で分担して準備をしているのだ。
マサトと九葉はクリスマスケーキ作りを担当することになった。厨房で、二人で仲良くスポンジケーキに飾りつけ。真っ白なクリームを塗って、赤いイチゴを乗せて、ちょっとした飾りを乗せる。ほぼ完成して、あとはサンタと煙突のついた家の砂糖菓子を乗せるだけという状態になった。 「九葉さん、先に乗せますか?」 「マサト君からどうぞ」 マサトも九葉も、相手に先を譲ろうとする。そのため、作業が進まない……。 「ううん……どうしましょうか?」 これを乗せないと、完成しないし……。マサトは、ちょっと悩んでしまった。その様子に、九葉はにこっと微笑んで、提案した。 「どうせだから……二人で一緒に乗せちゃいましょうか?」 その提案に、マサトも頷く。 「そうですね、それが良いと思います」 そして、マサトが家、九葉がサンタをそれぞれ持った。 「「せーの!」」 合図で、同時に置いて……無事に、ケーキが完成した。 「メリークリスマス、マサト君。今年も一緒にクリスマスのお祝いが出来て嬉しいです」 九葉は、マサトを見つめて微笑む。それに対して、マサトも微笑みを返した。 「メリークリスマス、九葉さん。今年は去年と違って下宿の皆も一緒ですから、きっと去年よりももっともっと、ずっと楽しいですよ」 「はい、とっても楽しみです」 九葉が嬉しそうに笑うから、マサトも嬉しくなる。九葉にとって二度目のクリスマスは、大勢で集まって楽しむクリスマスを経験させてあげたいと思っていたのだ。こうして、九葉が下宿の住人や友達と過ごすクリスマスを楽しみだと思ってくれているのは、マサトにとっても嬉しかった。
ケーキを落とさないように二人で持って、冷蔵庫に入れる。そして、使った道具や余った材料を片付けて。 「それじゃあ、行きましょうか」 「はい」 二人は微笑みながら、厨房を後にした。
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