●『チキン争奪頂上決戦。そして』
今日は待ちに待ったクリスマス! パーティーに参加した鈷太郎と柚太郎の二人は、最初からエンジン全開! ひたすら騒がしく食事を楽しんでます。 二人して右手にはケーキ、左手には料理と、まさに手当たり次第という勢いでお皿の上をキレイにしていきます。 「ゆたー? 鶏食わねぇなら、おらがもらうべさ」 ケーキを堪能する柚太郎の隙を突いて、鈷太郎は友人のお皿からローストチキンを奪い取りました。 「あぁっ!? それ後で食べようって取ってたのにー! 兄ちゃん返せぇぇぇ」 「んー。早いモン勝ちだべー。おらのもんー……およ」 火がついたように騒ぎ立てる柚太郎に向かって、戦利品を掲げながら勝ち誇る鈷太郎――でしたが。 「まったく、兄ちゃんったら油断も隙も無いんだから……」 一瞬の気の緩みも見逃さなかった柚太郎によって、あっさりと奪い返されてしまいます。 「ゆたは悪い子だべ。年上の言うことはー、えーーーい」 「あまーい! お箸ガードだ!」 甘美なチキンの味を諦めきれずに、再び奪いにかかる銛太郎。 その魔の手から大事な宝物を守ろうと、柚太郎はお箸を前に出して阻みます。 「「あ!」」 暴れ回る二人の攻防の果てに、宙に舞うローストチキン! もつれ合うままに、大口を開けて追いすがる少年二人! そのドタバタ劇の結末は!? チキンの行方はいかに!? 「「んぅっ!?」」 ――なんと。 反対方向から同時に飛び出した二人は、勢いあまって正面衝突。 お互いに顔面を激しくぶつけ――。 「あ、わっ、わわ……」 「ぇえっ!?」 唇を押し付けあってしまいました。 あまりに突然の出来事に動揺し、硬直する銛太郎と柚太郎。 我に返った二人が先程よりも激しく騒ぎ出し。 「ちょっと、なにこの騒ぎ!?」 「大丈夫です。アリですから!」 「は?」 「サンタさんから、今年一年いい子だったあたしへのプレゼントですね。わかります!」 「なに言ってるの、アンタは……」 パーティのお手伝いに来ていた『おねーさん』の興奮も重なって、クリスマスパーティの喧騒はよりいっそう深まっていくのでした……。
| |