北坂・理都 & 木村・小夜

●『マスカレードパーティ☆』

 クリスマスの夜の過ごし方といえば、家族とのんびりと過ごしたり、恋人と2人で出かけたり、色々な過ごし方がある。
 だから、理都と小夜の過ごすクリスマスも、ちょっと変わっているかもしれないが、それも彼女たちなりのクリスマスの過ごし方。
 冬の夜はとても静かで、でも、こんな日だからこそパーティ会場に流れる音楽は、より華やかなものに聞こえる。
 きらめくシャンデリアの下、着飾った皆がダンスパーティに興じる。
 それぞれに、普段よりも大胆な衣装が多いのはきっと今日のパーティが特別だからだろう。
 クリスマスと言う事も有るが、それ以上に今日は特別な衣装で繰り広げられる一夜限りの盛大な仮装舞踏会なのだから。
 色とりどりのドレスが水面の花のように舞う中、理都と小夜の2人も会場に流れる音楽にあわせて踊っていた。
 青いプリンセスラインのドレス姿の小夜は、最初こそ会場の雰囲気に飲まれ気味だったが、ドレスと同じ色の仮面と理都に助けられて踊り始める。
 理都はサンタガールの衣装で、恥ずかしがっている小夜の手を笑顔で引く。
 女性同士のダンスながら、理都が男性パートを踊り、まだ消極的な小夜をリードする姿はなかなかさまになっている。
 やがて、音楽が途切れても理都は小夜の手を握ったままニコニコと笑顔だ。
「あははっ、楽しいね、小夜ちゃん♪ もう一曲、つきあってもらえるかな? かな?」
 次の曲が待ち遠しいと、握った手でリズムを取る理都に、小夜も少し恥ずかしそうにしながらも、微笑み返す。
「え、えと、はい、喜んで、北坂先輩。……でも、その、男の人と、一緒でなくて、よかった、ですか?」
 たどたどしい言葉と共に、首をかしげる小夜の前で、理都の表情が笑顔のまま固まった。
「うっ、な、なかなか厳しいツッコミだね♪」
 予想外の小夜の言葉に、思わず固まってしまった理都だったが、曲が流れ始めると小夜の手を引いて再び踊り始める。
 始まったロンドのリズムにあわせて、2人はくるくると踊る。
 一夜限りの仮装舞踏会はまだまだ終わらない。
 2人は微笑みながら踊り続けるのだった。



イラストレーター名:茅花