●『melode of glass for X`mas』
今日はクリスマス。外は、数時間前から降り出した雪によって、すっかり真っ白になっていた。ホワイトクリスマスということもあり、皆楽しそうだ。 このパーティー会場でも、皆が楽しそうに過ごしている。仲の良い人達が話したり、笑ったり……。 光は、その中に入らず、窓の近くに座っていた。窓の外の雪を眺め……時々室内の様子を眺めて、穏やかに微笑んでいた。 「光さん。お隣、いいですか?」 話しかけてきたのは、リースだった。その姿を見て、光は嬉しそうに笑う。 「リースさん。どうぞ」 「ありがとうございます」 リースも微笑み返して、光の隣に座る。 「ずっと一人でいるようですけど……もしかして、退屈ですか?」 「いえ、そんなことは……」 リースが少し不安そうな表情をすると、光は慌てて否定した後……俯いた。 「ただ……リースさんが、遠くにいて……少しだけ、寂しかった……です」 その様子に、リースは驚き……嬉しそうに微笑む。そして、クリスマス用に準備されている鈴を手に取り、鳴らす。鈴の優しい音が、その場に響いた。 「この鈴の音は、綺麗ですね。まるで、今日の雪みたいだと思いませんか?」 リースが窓の外を見る。それに続いて、光も窓の外に目を向ける。そこには、相変わらず雪が降り続き、真っ白な世界が広がっている。 「私も、そう思います。儚くて……美しくて」 光は、リースの方に視線を戻す。リースは光の顔を見て、優しく微笑むと、再び鈴を鳴らした。 「光さん、この鈴の音色に約束させてもらいますね。私は、ずっと光さんの傍にいると……」 ちりん……という、鈴の音。この会場内の音にかき消されてしまうくらいに、儚い音。それでも……光には、はっきりと届いた。 「……リースさん。私も……私も、この鈴の音色に、約束しますね」 光も、鈴を鳴らす。リースが自分にしてくれた約束を、自分もリースにするために。 儚い音が消えても、ずっと一緒にいられるようにと……その音に、強く強く、約束した。
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