御槻・沙耶 & 海堂・ミサキ

●『沙耶っち〜どしよ?』『……これはこれでw』

 クリスマスというだけで、こんなにワクワクしちゃうんだろう?
 やっぱり、特別なイベントの日、だから?
 それとも……大切なパートナーと一緒にいる、から?

「ミサキっち、これなーんや?」
「ん? リボン……だよね?」
 沙耶の言葉にミサキは答えた。
「そうやー、今日はクリスマスやから、互いがプレゼントになるってのはどうやろ?」
 このリボンをつけてと付け加えて、沙耶は笑みを浮かべる。
「わあっ! それ、面白そうだね! うん、やろーやろー♪」
 それが数時間前のこと。
 そして、今は……。
「あ、あれ……?」
 生まれたばかりの姿で、ミサキは白いリボンを体に巻きつけていた。
 もちろん、沙耶も同じ。
 けれど、ひとつだけ違うのは。
「んっ……ちょっときつい、かも……」
 きゅっと締め付けられる感触が、ミサキにとって、きつく感じた。
 気のせい、だろうか?
「どうしたん、ミサキっち?」
「うん、ちょっときついかなって思って。沙耶っち、ちょっとリボン緩めよっ」
「……そうやね、ちょっと緩めよか」
 しゅるしゅると、リボンを緩める音がする。
「ふあっ……んっ」
「ミサキっち、どうや? すこーし緩めてみたんやけど」
「で、でも……こっち、きつくなってる、よ……」
「おかしいなぁー、こっちはゆるゆるやのに……じゃあ、こうや」
 しゅるしゅると、またリボンが緩む。
「う、動けな……いっ……」
 しかも、今度は動きを拘束するような、身動きできない格好に。
 首は苦しくないのだが、他の場所がきゅっと締め付けられている。
 緩むはずが緩んでいない。
「さ、沙耶っち……」
「あれ? あたしのリボンが緩んでるから、てっきりミサキっちのも緩むと思ったんやけどなぁ」
 眉をひそめて、沙耶はミサキの体に巻きついたリボンを、その手に絡めた。
「しゃーない。こうなったら、直接緩めるしかないわ」
 しゅるしゅるとリボンが……更にきつく締め上げる。
「あうっ……だ、だめ……そこは、違う……よ」
「ほな、ここか?」
「んくっ……そこじゃなくって、もっと……右……」
 リボンに巻かれ、締め付けられて。
 外が雪だというのに、この二人の部屋だけは、やけに暑く……いや熱く感じられたのであった。



イラストレーター名:こうき くう