●『Merry Merry X'mas♪』
紫音と昭憲、恋人同士である二人は二人きりのクリスマスを満喫した。食事、プレゼント交換。そのあとは年相応にテレビゲームなどで遊んで過ごしていたが、楽しい時は早く過ぎ去っていくもの。やがて夜は更けていった。 紫音と昭憲の二人は部屋のソファで肩を寄せ合って寝こけている。テレビにはゲームがつけっぱなしになっており、お菓子の袋も食べかけのままで、片づけられぬまま散らかっている。 意識を失った二人はそれでも眠っている時間すらも惜しいというかの如く、たとえわずかな時間であろうとも離れていることなどあり得ないというかの如くにしっかりとその手は絡み合い握られている。紫音の手が上から昭憲の手を包み込むようにして、お互いの指をからませ合い、しっかりとお互いに手を握りしめている。いわゆる恋人つなぎという手のつなぎ方である。そして、絡み合った二人の指には互いがついさっき贈り合ったクリスマスプレゼントの指輪が輝いている。 昭憲の指には紫音の贈った黒い蓮華を象った指輪が、そして紫音の指には昭憲の贈った紫のチューリップを象った指輪がはまっている。 「ん〜、昭憲……大好きだよ……。来年も、……また、一緒に……」 無意識のままの紫音がまるで猫がそうするかのように昭憲のうなじに頭をこすりつけ、眠ったまま肩を寄せ合ったこの状態でもまだ遠いというかの如く、体と体の距離を完全に0にしようというかのようにその体を密着させる。 「……紫音、俺も……君が……好きだよ、愛している。……だから、……ずっと……一緒だ……」 昭憲はすり寄ってくる紫音にくすぐったそうにしながらも、聞こえているわけはないのだがまるで返事をするかのように寝言を返す。二人がどんな夢を見ているのか……、少なくとも幸せな夢であるのは間違いない。 聞いているものがいたとしたら赤面するか、それともごちそうさまというか……、そんな二人のいちゃいちゃとした甘い寝言が部屋には響くのであった。
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