●『お泊り×油断×ファーストキス』
今日はさりあの家でお泊まり会だ。 大きなお屋敷で、二人だけのクリスマスパーティ。 女の子同士できゃいきゃい騒いで過ごす時間は、あっという間に過ぎていく。 お風呂を借りて、桃色フリルの可愛らしいリラックスウェアに着替えたのどかは、息つく暇もない楽しい時間を思い出して、ほぅっと一息ついた。幸せな気分に浸っている。 「でも、凄いよね」 改めてさりあの家の中をぐるりと見回した。大きなお屋敷だ。家具も調度品も豪華にして重厚。特に目を引くのは、リビングに置いてある大きなソファである。 「借りてもいいかなー?」 よっこらせ、と思わず声に出してソファにのぼる。ソファはふわりと適度な弾力で沈み、のどかの身体を優しく支えてくれた。気持ちよさに思わず頬が綻ぶ。 「ひゃあ、ふかふかだよー」 そんな嬉しそうなのどかを遠目に眺めていたさりあは、優しい……たぶん、優しい瞳で笑む。 「ほんとに、のどかちゃんは可愛い!」 思わず唇から言葉が漏れる。最近の女の子はダイエット志向で細い子が多いけれども、のどかくらいぷにぷにしていて柔らかい方が絶対に可愛いのだ。ぶっちゃけ、揉みたい。 目の前のソファでころころ気持ち良さそうに寝返りを打っているのどか。……我慢なんて、できるわけがない。 「さりあおねーさま、どうしたの? にやにやして……」 さりあの視線に気付いたのどかがきょとんと首を傾げる。 そんな可愛い表情されたら、もうやるっきゃないでしょう! 「ひゃ!」 勢い込んでがばっとのどかに抱き付いたさりあは、すべすべの白い肌に指先を滑らせた。ぷにぷにの柔らかい肌がぴたりと触れ合い、吐息が頬に触れる。 「ひゃー!? お、おねえさまー!?」 驚いたのどかの次の言葉が塞がれた。 のどかの身体をぎゅうっと、ぬいぐるみのように抱き締める。 触れ合う肌、感じる体温がとても、心地いい。
「うふふふ、やっぱり予想通り柔らかかったー」 さんざん身体を撫でまわして、さりあはやっとのどかを解放した。 満足げなにやにや笑いは当分止められそうにない。 一方、ファーストキスを奪われたのどかのほうは、思わずきょとん。 「許してネ、のどかちゃん」 奪った当のさりあは不可抗力だから、と悪戯っぽくウインクして誤魔化したのだった。
ちょっと過剰なさりあのスキンシップ。 初キスはレモンの味じゃなかったけれども……でも、相手がお姉さまならそれでもいいかな、なんて、思い返すと思わず頬が熱くなる。 でも、 「え? 胸揉んだ? ……キノセイダヨ」 さりあの言葉がものすごく棒読みだったのは、気のせいなんかじゃないはずなのだけど。
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