長瀬・類 & 鷹月・瑠流衣

●『緩やかに流れる二人の時間…』

 だんだんと二人で買った品物が増えてきた類の部屋。今日、クリスマスプレゼントに瑠流衣に送ったばかりのお揃いの食器には、瑠流衣が作ったクリスマスの料理が盛り付けられている。
「先輩に褒めてもらえるように頑張ったのだぞ」
 瑠流衣は別段小柄というわけではないのだが、類がかなりの長身という事もあって、自然と上目遣いになる。その様子が愛らしく思え、類は優しく瑠流衣を撫でてやる。料理の方も頑張った、というだけあって良い出来だ。
「うん、腕を上げたな」
 率直な感想もこめて、いつもの三割り増しほどで褒めると、変な声を出して真っ赤になったり、バタバタと慌てふためいたり、取り繕うように、
「うむ、そうだろう」
 なんて言ってみせたりと目まぐるしく表情が変わり、それもまた可愛いと思える。
 食事を終えると、何気ない話をしたり、TVを観たりと、まったりとした時間が流れる。そのうち、だんだんそわそわと落ち着かなくなってくる瑠流衣。まあ無理も無い。落ち着いた時間ではあるが、雰囲気だけを言えば、かなり良いムードだ。それなりの期待もあろうというものだ。
 それを察した類は、少し照明を落とした部屋で照れる瑠流衣を後ろから抱きすくめてやる。流石に驚いたようだが、恥ずかしい気持ちが勝っているのか、返す声は小さい。
「先輩?」
 類はそのまま静かに、今の気持ちを囁く。二人だけの部屋なのに、類の言葉は瑠流衣にしか聞こえないような小さな声だ。瑠流衣はその言葉に耳を傾け、抱きしめられたらそっと目を瞑る。程なくして、瑠流衣も落ち着きを取り戻し、リラックスした状態で類に体を預ける。
 互いに感じられる温もり。そこにある幸せは、どう表現するべきか、言葉が思い浮かばないほどに大きい。二人だけの部屋で、その幸せをゆっくりと堪能する。
 急ぐ事も無ければ、あわてる事も無い。こうしてゆっくりと流れている時間は何物にも変えがたい。二人の時間は、静かに、暖かに流れていく――。



イラストレーター名:サクゾウ