●『この後のどうすりゃいいって?地獄に落ちな』
戒璃は悩んでいた。 ロンリーじゃないクリスマスの過ごし方って? プレゼントは一体何がええんやろ? どんなシチュエーションに女の子はグッとくるんやろか? うーんとひとしきり唸ったあと、ひらめいたのは……。
「わーい、奢りだー」 もし彼女に犬の尻尾が生えていたのならば、きっとそれは千切れんばかりにぶんぶんと振り回されていただろう。セツナは大喜びで席に着く。 「お誘い貰わなかったらこのままスーパー行ってチキン買ってまっすぐ家に帰るとこだった! ありがとう先輩!!」 「いやぁ〜」 女の子の事は女の子に聞け! というわけで、戒璃は相談出来そうな女子を捕まえて喫茶店に誘ったのだった。勿論戒璃の奢りという条件付きである。 少しして、ウエイターがコーヒーを二つ、丁寧にテーブルに置いた。コーヒーが届くなり、セツナは鼻歌を歌いながらミルクをどばどばと投入する。 「……奢る代わりと言っちゃぁナンなんやけど、相談聞いてくれへんか」 まだコーヒーには手を付けず、戒璃は単刀直入に本題に入る。 「ふむ、相談? もうすぐ高校生のお姉さんがなんでも答えてあげよう」 セツナはミルクたっぷりのコーヒーをずずっと飲みつつ、無い胸を張って聞き入る体勢だ。 「んーっとな、ロンリーじゃないクリスマスの過ごし方ってどうしたらええんかな。そっちもデバガメしてたから参考に聞いてもええやろ」 「そうねー」 セツナは両手でカップを持ちながら考える。成る程、恋の相談か。ふむふむ。 「それとな、プレゼント。何がいいのか……やっぱり彼女の好きな物だったら何でもええんやろか?」 「えっと……」 「それともここは思いっきり……いやいや、やっぱり順序は大事やろ?」 「うーん……」 「そういやシチュエーションはどんなのがグッとくるんやろか?」 「えー……」 「2人っきりになれて且ついいスポットとか知らへんか?」 「…………」 あるぇ? 相談これ? 惚気っぽいのがアチコチに散りばめられてるじゃない! 驚き!! どうせ何やっても上手くいくんだから適当にイチャついてろってのよ! 喰らえ! 退魔呪言突き! 悪霊(カップル)退散! ……とでも言いたくなる気持ちをぐっとこらえて。 「ん? さっきからコーヒーばっかやけどケーキはいらへんのか? いつももっと食べてそうなイメージ強いんやが気のせいか? ……ってわい、質問だらけやな、たはは」 セツナの持つカップにヒビがひとつ。 「ん? 何故に無言なんや? この後のデートでどうしたらええのか聞きたいんやけど……」 「このあとデートでどうしたらいいって?」 セツナは言葉を飾らない。
「地獄に落ちればいいんですよ」
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