●『色んな意味でご馳走様にゃ。』
今日は二人でクリスマスパーティー。未亜はタラコスパゲティーを作っている。 (「那瑠樹さんのお口に合えばいいのですが……」) ドキドキしながら料理をしていると、その背中に那瑠樹が飛びついてきた。 「何を作っておるのじゃ?」 「タラコスパゲティーですよ。もうすぐできますから、待っていてくださいね」 未亜の肩越しにスパゲティーを見ていた那瑠樹は、楽しげに笑った。 「妾は、スパゲティーを大皿で食べたいのじゃ」 那瑠樹がそう言ったため、二人分のタラコスパゲティーが大皿に盛られる。 実は、那瑠樹には企みがあった。それは……同じお皿から麺類を食べることで生じるかもしれないラブハプニング、そして、そのどさくさに紛れて未亜とラブラブしてしまおうということだったりするわけで。那瑠樹は、そういうことを自重するということを知らないのである。
そして、小皿に取り分けることもせず、そのまま大皿から二人で食べていたわけだが……。 「ん?」 「あれ?」 二人が口にした麺が……なんと、繋がっていたのだ。驚いて、お互いに顔を見合わせて。しかし、二人はそのまま食べ進める。結局のところ、那瑠樹の計画通りなのだ。それに、未亜も那瑠樹とラブラブな時間を過ごしたいと思っていたため、ちょうどいい。 そうして食べ進めて、最後まで食べて……唇が触れる。どちらも離れようとせず、そのまま長い間その体勢のままでいたが、しばらくして唇を離す。そして、見詰め合っていたかと思えば、那瑠樹が未亜に飛びついた。 「未亜、大好きにゃー!」 そして、勢い余って押し倒すような体勢になり……頬擦りをしたり、たくさんキスをしたりしていた。 「にひひ、色んな意味でご馳走様にゃ」 満足そうな笑顔で、那瑠樹がぎゅーっと未亜を抱きしめる。そして、未亜も幸せそうに微笑んで、那瑠樹の背に手を回して、ぎゅっと抱きしめ返すのだった。 「はぅ。大好きですよ」 こうして、二人の幸せなクリスマスの時間は過ぎていく。
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