●『Il calore di un torace calmo』
公園広場にあるイルミネーションで色煌びやかに飾られたクリスマスツリー。 二人は手を繋ぎながら、瞳を輝かせつつイルミネーションを見上げていた。 その輝きはイルミネーションのが映った為か、それとも二人でいる事の幸せが映し出されたものなのか……互いに言葉を交わさずとも、彼女達の時間はとても幸せで満たされているのは間違いないだろう。 ゆっくりと過ぎて行く至福の時……ふと、礼佳は魅臣の方を見つめた。 「突然だったけど来てくれてありがとう。一人で来ても良かったんだけど……」 静かに、本心を隠すようにそう告げる礼佳。 クリスマスの夜に突然彼を誘った訳だが……本当に来てくれるかどうか、不安ではあった。 しかし、彼は突然の誘いにも関わらず笑顔で来てくれて……その事は心から嬉しいと感じた。 「ボクは礼佳先輩が居ないと寂しいです。礼佳先輩と一緒にこんな素敵な物が見れて、嬉しく思っていますよ」 その言葉に嘘偽りは無い。 魅臣にとって、彼女と過ごす時間はどんな時間よりもとても楽しい一時であるのだから。 「うん……! 私もみおくんと一緒に見れて良かった!」 不安が氷解して温かい笑顔になるように。 礼佳は彼の言葉が嬉しくて、はにかみながらも笑顔を浮かべる。 彼女の幸せそうな笑顔を見て、魅臣も本当に来て良かった……と心から思った。
と、そんな時だった。 ふわり、ふわりと二人の間に舞う白い光。 ……雪だ。 「わっ、雪だーーー」 「すごい……綺麗……」 まるで雪の妖精達が二人を祝福するかのように、白き光は二人の間を舞い踊る……。 その美しさに後押しされたのか、礼佳は小さな決意を固め――。 「え、ええと……みおくんに、渡したい物があるんだけど……」 もじもじしながら小さな箱を取り出し、魅臣に渡した。 「ボクに……ですか? あ、ありがとうございます」 内面に喜びを隠しつつ、少し戸惑いながらも受け取る魅臣。 遠慮がちにゆっくり中を開けてみると……。 「うわ……」 その輝きに思わず感嘆の声が上がった。 中に入っていたのは紅い輝き纏うシルバーリング、輝きは彼の誕生石でもあるガーネットだ。 「今はコレくらいしか出来ないけど、もう少ししたらちゃんと言いたい事があるのです。それまで、待っててくれますか……?」 ガーネットの石言葉は『友愛』。今はまだ、そんな関係かもしれないけど……。 「勿論です。いくらでも待ちます。……ボクはまだ未熟ですが、礼佳先輩を幸せにしてあげれるように……なろうと思います」 何時かもっと近づけるように、もっと愛し合えるように、 「ううん、ううん、みおくんが居てくれるだけで、それだけで幸せになれるのです」 これからも互いに歩んでいこう。二人の未来に向かって。 「……有難う、愛しています」 メリー、クリスマス。 これからの二人に、素敵な幸せがある事を願って……。
| |