天野・柚琉 & 紫宮・いつき

●『Sweet Melody』

 今日は待ちに待ったクリスマスー! いっつん(いつき)とお菓子パーティーをするんだ♪ いっつんと一緒にクリスマスを過ごせるなんて、幸せだなぁ。
 お菓子も用意したし、ツリーの飾りの準備もOK、忘れてることはないかな? ……なんて超ウキウキしながら、オレ(柚琉)はいっつんが来るのをそわそわと待っている。
『ピンポーン』
 来たっ!
 チャイムが鳴るのと同時に玄関に駆け込む。ドアを開けて。黒のサンタ服姿のいっつんを見て目を見張る。
「かっ……かかかかっ」
「かっかかか?」
 はぅわぁ、言語障害っ! どうしよう、可愛い、可愛すぎるっ!!
「可愛い、可愛いよ、いっつん!!」
 早口にそう言って、ぎゅむりと抱きつく。
「うわぁ?!」
 良く分からない勢いのオレに、いっつんは最初びっくりしてたけど。すぐに腕の中でくすぐったそうに笑っていた。
「そう言う柚琉のトナカイだって、可愛いぜ?」
 そう言えばオレもトナカイの衣装を着てたっけ。
「でも絶対いっつんのほうが可愛いに決まってる!」
 断言したオレの言葉にいっつんは一瞬あっけにとられたものの、次の瞬間くすくすとおかしそうに笑い転げていた。

 いっつんを部屋の中に招き入れて。早速一緒にきゃーきゃー騒ぎながらツリーの飾りつけを。それから互いに準備したお菓子を見せ合いっこして。色とりどりのキャンディをベッドの上に広げてみたりした。
「いっつん、ギター弾いて〜? いっつんのギター聴きたいっ!」
「一応沢田さん連れてきて良かったぜ」
 沢田さんっていうのはいっつんご愛用のギター、レスポールSPの名前だ。いっつんがギターの準備をしている間にココアを淹れてベッドの前にお座り。
「じゃあ、俺のお気に入りの曲を柚琉にプレゼントな」
 そう言っていっつんの指が弦を弾き、メロディを奏でる。そこから溢れ出る音に感動する。
 うわぁ……すげぇ、いっつんすげー!
「つーか、いっつんギターうまっ!」
 感動して褒めまくる。だって上手だし可愛いし可愛いんだもの!
「あんまり褒められると照れるし」
 いっつんは照れ笑いって感じで顔を綻ばせていた。
 どうしよー可愛い、可愛いってば!
「わっ」
 また勢い余ってぎゅむぎゅむといっつんを抱きしめる。いっつんも照れながら、むぎゅりと抱きしめ返してくれた。

 そんな甘い時間を過ごしながらふと窓を見ると、窓の向こう側に白いものがちらちらしているのが見えた。
「ホワイトクリスマスだねー」
「あ、ほんとだ。雪、降ってきた」
 オレの言葉にいっつんも窓を見やる。
 ホワイトクリスマス。今日は聖なる日。
 大好きなキミと一緒に過ごせる素敵な日に、感謝を込めて。
「メリークリスマス!」
 そう言ってにこっと笑いかけるオレに、
「メリークリスマス、柚琉!」
 いっつんは満面の笑みでそう返してくれた。



イラストレーター名:上原ひよ