●『プレゼントはサンタさん?』
「メリークリスマス! ジョーズくん!」 「メリークリスマス……ってはい!?」 現れた華鈴の格好を見て、ジョーズの声が裏返った。 目の前の華鈴が来ているのは、サンタクロースカラーのワンピース。半袖から二の腕がのぞき、ミニスカートから伸びるすらりとした足は赤いロングブーツに包まれている。 色はともかく、クリスマスというには少々露出の高い格好だ。いや、細い体にはそのワンピースはとてもよく似合っていて、とても可愛い。むしろ、いい。 「え、この格好? サンタさんだよ? ……変かな?」 言って、華鈴はミニスカートの裾を翻すようにしてくるりと回って見せた。 ジョーズはごくりと唾を飲んだ。 いい。とても、いい。しかし問題はそこではない。 「いや、似合ってて可愛いけど! なんだそれ!?」 華鈴の胸元に結ばれたピンクのリボン。それは胸元を飾るには少々長く、華鈴の体をくるりと取り巻いていた。まるでラッピングでもするように、腕に、腰に巻きついている。 ……なんて扇情的な。 「これ……ね。今年は、その……ボク自身がプレゼントってことで」 そっと目を伏せ、恥じらうようにそう言われて、ジョーズはくらりと眩暈を感じた。 (「は、反則だろ、その可愛さは……」) 「ダメかな?」 ダメなわけがない。ジョーズはぶんぶんと首を横に振る。 「自分でもベタだとは思ったけどさ。でもやっぱり、一緒にいたいから……。もちろん今日だけじゃないよ? 明日も来年もその先も、ずっとずーっと。おじいちゃんおばあちゃんになっても、一緒にいたいな」 ジョーズは思わず手を伸ばし、その体を腕の中に取り込んでいた。 突然抱き寄せられ、華鈴はびっくりしたようにジョーズを見上げた。赤くなった頬がほころび、笑みが浮かぶ。背を屈めたジョーズの嬉しそうな顔がすぐそばにあった。 「今まで色々あったよね。これからも、大変なことがたくさんあると思う。でも……何があっても、ボクの気持ちは変わらないよ。ジョーズくん、大好き。それにその……ほら、卒業したら……さ?」 言葉を濁し、上目づかいにジョーズを見上げた華鈴に、ジョーズはにっと笑ってみせた。 「卒業したら……うん、そうだな。これから、どんな大変なことがあっても、さ。カリンと一緒なら絶対大丈夫な気がするぜ。俺の気持ちも変わらない」 そう言って、ジョーズは顔をくしゃくしゃにして笑った。
メリークリスマス。 ずっと一緒にいよう。大好きな華鈴と。
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