●『プレゼントはサンタさん』
「メリークリスマス! よい子にサンタのプレゼントだぜ!」 元気のいい声と共に跳び込んできたのは、美しい黒髪の美少女サンタクロースだった。 ミニスカートでへそ出し。プレゼントと称して突き出しているのは、サンタらしい白い布袋。 「璃御……?」 寝室でくつろいでいる所に突然押しかけられれば、誰でも同じ反応を返すだろう。 しばらくの間、得意げにポーズをとっている璃御を呆然と眺めていたツカサだが、ようやく何が起きたのか理解したらしい。 「ふむ、もうよい子という年でもないがな。……しかしよく似合ってるぞ、璃御」 そう言って、年長者らしい包容力のある笑みを少女に向ける。 「に、似合ってるか? そう言ってもらえると、寒空の下で耐えた甲斐があるってもんだぜ……!」 「寒空の下……」 照れ笑いをする璃御の様子を改めて見たツカサは、元気一杯に振舞っている少女の頬が寒さで赤くなっているのに気付く。 「璃御、馬鹿だろう」 「バ、バカって言うな――って!? うぁわ!?」 「俺のサンタが凍えないよう、温めてやらないとな」 寒さに体が震えている璃御を獲物を見る狩人の目で見つめたツカサは、少女が反抗する間も無くベッドに押し倒す。 「ま、待て待て! ちゃんとプレゼント受け取ってから……」 慌てて逃れようとする璃御だったが、ツカサによって身動きできないように押さえつけられる。 少女の顔が真っ赤になっているのは、寒さではなく恥ずかしさからなのだろう。 反射的に振り解こうと暴れるが、どうしても逃げられないと分かると途端に大人しくなってしまう。 「プレゼントにはお前をもらいたいが……駄目か?」 「う、でも、その」 「――メリークリスマス、璃御」 オトナの瞳で見つめるツカサに、なんとか言葉を返そうとする璃御だったが。 口を開くよりも早く、ツカサの唇にそっと重ねられる。 (「ん、ぅ……」) 感極まって全身を朱に染め小さく震わせる璃御を、ツカサの優しい眼差しが包みこむ。 こうしてお互いに最高のプレゼントを貰ったクリスマスの夜は、なおも熱く更けていくのだった。
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