●『お泊りクリスマス』
今日はクリスマス。エリザヴェータは彼氏の友輝の部屋にお泊まりで遊びに来ていた。 そんなエリザヴェータの今日の衣装は、ノースリーブでミニスカートな、サンタガールのドレス。ドレスの形状のお陰で中学一年生にしては大きめの胸の谷間が見えて、なんとも色っぽい。 頭には大きな黄色のリボンが巻かれており、まるきり『私をプレゼント♪』とでもいうような格好だ。 少しやりすぎな格好にも思えるが、コスプレ好きの彼女のこと。この程度は日常茶飯事である。 「サンタクロースが来たぞ……」 ぼそり。小声で喋るのも、いつものこと。 「プレゼントひとつだけあげる……。なんでもいうといい……」 エリザヴェータは少しの期待を込めてそう言うのだが、友輝はというと。 「じゃ、この前発売した、格闘ゲームがほしいな」 がっくり。 「……ゲームでいいのか……? なんでもいいんだぞ……」 サンタクロースは少ししょんぼりして、ぼそぼそ続ける。 「自分でも……いいんだぞ……」 「うん、格闘ゲームで、一緒に遊ぼうぜ!」 がっくり。肩を落として、もう一度確認する。 「……自分より、ゲームでいいんだな……?」 しょぼん。 しょげかえっているのがバレバレで、さすがの友輝も悪いと思ったのか、少し照れくさそうに一瞬目を逸らして言った。 「いや、だって、エリーは嫁だし。もう、おれのものだろ?」 「え……う、うん……」 そしてもう一瞬あとに、エリザヴェータの肩が引き寄せられて、唇を奪われる。 「……!」 しばらく余韻を楽しんだあと、名残惜しそうにエリザヴェータは『もう一回』と言ってみたのだけれど。 「さ、ゲームしようぜ。ゲームも持ってきてくれているんだろ?」 「うん……持ってきた……」 「さすがエリーだな。用意するぜ」 そう言って、ゲームの準備を始める為に背を向ける。 (「……逃げたな……」) いや、勿論自分もちょっと照れくさかったんだけれど。 おませな二人のお泊まりクリスマスは、そうして楽しく過ぎてゆく。
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