弾堂・丸馬 & 水瀬・燈子

●『Forever Love -紡がれる愛の物語-』

 今日はクリスマス。恋人達が、普段よりも積極的になる日……。
 燈子もその例外ではなく。今日は積極的に攻めてみようと思っているようだ。

 燈子と丸馬は、二人でクリスマスパーティーをしていた。二人で楽しく過ごして、料理を食べて。そして、燈子はケーキを出してきた。ある決意をしながら。
「ねえ、丸馬。ケーキ、『あーん』で食べさせてあげるわ」
「マジで!? まさか、お前がなぁ……」
「なによ、何か文句あるの?」
「いやいや、たまにはそういうのもいいよな!」
「まったく……」
 予想以上に嬉しそうにしている丸馬を見て、燈子もなんとなく嬉しくなる。しかし、彼女はただ『あーん』で食べさせようとはしていない。
「はい、あーん」
「あーん!」
 燈子はケーキをフォークに刺して、丸馬に差し出す。それに対して、燈子はニヤリと笑うと、ひょいっと食べてしまったのだ。
「なっ! ケーキ、『あーん』で食わせてくれるんじゃないのかよ……」
 明らかに丸馬はショックを受けて、へこんでいる様子だ。しかし、これも燈子の作戦のうち。
「あーあ、これでも期待してたのになぁ……。せっかく、燈子がいつもと違って積極的に俺にあーんを……いや、勢い余って口移しでもしてくれると思ってたのに……」
 少しいじけ気味の丸馬の服を引っ張って振り向かせる。そして……
「そんなに口移ししてほしいなら……してあげるわよ!」
 口移しでケーキを食べさせる。そして、そのまま勢い余って押し倒したのだ。
「うわっ!」
 突然のことに驚いている丸馬。燈子は、恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にしている。
「……好きよ。好き! 丸馬のこと、好きなんだから! そうじゃなければ、こんなことしないわよ! 全部、大好きな丸馬のためなんだからね!」
 好きだと何度も繰り返して言う燈子に、丸馬は微笑む。そして、そっと抱きしめて、
「俺も、好きだぜ」
 囁いて、キスをして。更に赤くなる燈子に丸馬は不敵に笑う。
「どうせなら、このままキスの続きもするか?」
「ば、ばか!」
 燈子は丸馬の腕の中で暴れる。その様子に、丸馬は楽しそうに笑うのだった。

 結局最後に攻めるのは、丸馬の方。それでも、幸せなのだろうと、燈子は思うのだった。
「あ、残りのケーキ、今度こそ『あーん』で食べさせてあげるわ」
「俺は、口移しの方がいいけどな」
「……もう、ばか!」



イラストレーター名:味素 うどん粉