●『食べて騒いだら寝る自然児』
今日はクリスマス。料理のできない二人は、ケーキや料理を買い込んで、かいなの部屋でクリスマスパーティーだ。
「「メリークリスマス!」」 クラッカーを鳴らして、料理を食べ始める。 「うんめぇ、これうんめぇ!」 鉄太は、ケーキを食べているのだが……なんと、手づかみだ! 「鉄太! てめぇ! ケーキてづかみすんな!? フォーク使え! フォーク!」 「えー、てづかみでいいじゃん。どうせ僕とかいなおねえさんしかたべないんだしー」 「良くねぇから言ってんだろうが!」 「これ、もういいや。あげるー」 「てめぇ! 飽きたからって俺に押し付けるな!」 そんな感じで、買い込んだたくさんの料理を食べていく。だが、少しすると鉄太はお腹いっぱいになって食べることに興味を無くしたのか、テレビを見始める。 「あははははは!! おもしろい!」 「鉄太、うるせぇ! 静かにしろ!」 「だって、おもしろいよ。かいなおねえさんもみようよ!」 「そんなに面白いのか? ……って、面白いじゃねぇか!」 そうして、二人でテレビを見て大爆笑。……していたのだが。 「あきたー」 「もう飽きたのかよ! 早すぎだろ!」 鉄太は、どうも飽きっぽいようで。すぐに、次の娯楽に興味を示して、それにかいなが付き合うのだった。
そうして、しばらく二人で遊んで、はしゃいで、楽しく過ごしていたわけだが。 「ねむいー……おやすみ、ぐー」 鉄太はかいなの胡坐を枕にして転がり、三秒後にはいびきをかいて寝ているという……。 「おいっ! なに人の足を枕にしてんだよ、てめぇは! ……って、一回寝たら起きそうにねぇな、こいつは……」 こうなっては、仕方ない。かいなは自分のジャケットを鉄太にかけて、その寝顔を眺める。その表情は、なんとなく柔らかいように見える。 「ったく……風邪ひくなよ」
先ほどまで騒がしかったのが嘘のように、静まり返った部屋。だが、鉄太が起きたらまた騒がしくなるだろう。 それまで、かいなはこの静寂を楽しんでおくことにした。
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