●『「見よ、俺の華麗なるサン「不法侵入ですよ」』
ここは式夜の部屋。今日は結構冷えるので、式夜はコタツに入ってぬくぬくしていた。 「さて、DVDでも見ましょうか……」 借りてきたDVDを取り出して、プレイヤーにセットする。そして、再生ボタンを押すと、DVDが再生される。 コタツの上に置いておいたミカンを手に取り、皮を剥いて、食べる。そうして、のんびりとDVD鑑賞していたわけだが……ふと窓の方に目をやると、そこに何かいる。その何か……ナキノは、窓の外からこちらの様子を窺っているようだ。 式夜は、気づかないフリをすることにした。もちろん、警戒はする。だが、わざわざ反応してやることもないだろう。とりあえず、DVD鑑賞を続ける。 しばらくして、ナキノが動きを見せた。無駄と言えるほどに元気に、窓を開けてきた。 「どーよ先輩! 俺プロデュースなクリスマスドッキリ!」 赤いロングコートを着て、プレゼント片手に登場したナキノは、まるでサンタのようだ。それを冷静に見据えて、式夜はため息をつく。 「ナキノ……不法侵入ですよ?」 「ちょっとちょっと、先輩! ここは、『キャー! ナキノ素敵ー! 』とか言うところでしょ!」 そのナキノの言葉に、式夜は再びため息。 (「また、バカなことを……」) しかし、式夜はナキノを許そうと考えていた。今日はクリスマスなのだから。折角サンタのような格好をして、プレゼントを持って遊びに来たナキノを外に放り出すほど、式夜も冷たくはないのだ。 「DVD、見てる途中ですが一緒に見ますか? ……ホラーですが」 式夜がそう言うと、ナキノはコタツに入ってきた。外は寒い。ナキノも、コタツに入って嬉しそうだ。 「やっぱり、コタツはいいよな〜。先輩も、今日はなんだか優しいしな!」 ぬくぬくと温まっているナキノ。式夜は、そんなナキノに視線を向ける。 「ところで、さっきから気になっていたのですが……」 式夜の視線は、なんとなく鋭いような気がする。ナキノも、それを感じて式夜の方に顔を向けた。 「ナキノ。私が先輩って付けられるの苦手なの知っててつけてるでしょ」 「やだな〜。そんなことないって!」 「……なら、いいですけど」 そうして、二人でDVD鑑賞しながらコタツでまったり。クリスマスらしいのはナキノの格好とプレゼントだけ。そんな、二人のクリスマス。
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