●『交わすは想いとプレゼント♪』
楽しげな雰囲気があふれるクリスマス。デートとして店などを見て回っていた迅と泰花は、3時の休憩がてらにと喫茶店に足を踏み入れた。 適当な席に座り、注文を取りに来た店員にシフォンケーキと紅茶のセットを頼む。 「ウィンドウショッピングってのも、なかなか楽しいもんだな」 「本当ですね」 注文品が届くまでの間、あの店はどうだったとか、あっちの店では何をやっていたかとかを話し合った。 しばらくして注文品が届き、二人はおしゃべりをしながらゆったりとした時間を過ごす。 「気に入ってもらえれば嬉しいんだが」 一息ついたところで、迅はクリスマスプレゼントを渡す。それはすみれと風のデザインがほどこされた、ピンク色のベルトポーチであった。 「まぁっ……可愛らしいポーチ! ありがとうございます!」 泰花ははにかむように笑って、迅からのプレゼントを胸に抱く。 「では、私からも……」 巾着から泰花が取り出したのは、雪の模様が入った青い手袋。 「もしかして、泰花が編んだのか?」 「はい」 「この時期に手袋は助かるぜ。大切に使わせて貰うなっ!」 嬉しそうに笑う迅を見て、泰花もまた微笑みを浮かべる。 互いのプレゼントの感想は、いつしかクリスマスツリーの話題に移っていた。 「この後ツリーに吊るすオーナメントのリボンとかは決めてあるのかな?」 迅の問いに、泰花は楽しげに小さく笑い声をこぼし。 「もしあれば、月のオーナメントに華やかな金のリボンを、と考えておりますの」 どんなふうに飾り付けをしようか。この後はどんなふうに過ごそうか。 二人の話題も、そして笑顔も絶えることはない。 「そろそろ行こうか? クリスマスの本番はこれからってね♪」 うながす迅に泰花は笑顔で頷き、差し出された手をとって立ち上がった。 「はい、迅さん! 楽しんで参りましょう。ふふっ♪」 いつになくはしゃいだ様子で二人は喫茶店を後にする。 その手は、いつの間にかしっかりとつながれていたのだった。
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