●『決死の告白大作戦!?』
クリスマスを目前にして大きな戦いがあった。 無事に生還出来たならばルーツィエに想いを告白すると隼人は心に決めており、なんと二人が所属する結社の皆の前での公開告白に踏み切ったのであった。 スケベで巨乳好き、まっすぐ正直で情に厚い……悪く言ってしまえば『バカ』な隼人と。 結社の副長、実質の指揮官として日々激務をこなし、鉄の指揮官と噂されるルーツィエと。 そんなふたりの恋の行方は一体どうなるのか? 結社の仲間達からは不安の声も期待の声も上がる。 そして隼人の告白が始まった。 ルーツィエの心遣い、優しさ、温かさを、俺は知っていると。 色んな事をひとりで背負う貴女を見ていると、俺も一緒に背負ってあげたいと思う、と。 緊張しながらもはっきりと己の胸の内を伝える。 恐怖の指揮官としてしか見られなかったルーツィエの、本当は女性らしい一面に、いつしか隼人は惹かれていったのだった。 「せめて副長を護る盾の一枚くらいにはなりたいって思って」 顔を真っ赤にして、勇気を振り絞って言った。 「……だから……お、俺と付き合って下さいっす!!」 言葉と共に小さな箱が差し出される。 まさか本当に? 皆の前で? ルーツィエは一瞬ぽかんと口を開け固まるが、すぐにいつもの冷静な表情に戻り、小箱を丁寧に受け取った。 「うん。まぁ……ええと。その盾信頼しているから、よろしく?」 隼人は信用のおける相手だ。あえて断る理由も無い。 とはいうものの、あの威圧的で冷厳で、感情を表に出す事の無いルーツィエが、今は動揺していた。旧知の仲間達にしか分からないくらいの、わずかなものだったけれど。 受け取って貰えて余程驚いたのか、隼人の方はしばし固まり続けていたのだが、結社員達の祝福の言葉にその硬直は解かれる。 「お、OKってことっすか!?」 返事の言葉は無く、ただルーツィエはこくんと頷いた。 それから。 ふたりはルーツィエの部屋へと移りソファに腰掛ける。英国アンティーク調の、豪華で落ち着いた執務室だ。 改めてふたりきりになってしまうと、胸の高鳴りは先程とは比べ物にならない。 「……私からも」 ルーツィエも同じような大きさの小箱を差し出した。 「い、いいんすか!? あっ、そ、それ、開けてみて下さいっす」 先程受け取った小箱を、ルーツィエがこれまた丁寧に開けた。中身は一対のピアス。十字架を模した剣の形で、埋め込まれたダイヤが高貴に輝く。 同じく開けろと促され隼人も慌てて箱を開ける。瞳に紅玉が埋め込まれた狼の紋章。盾を模したピアスだった。 剣と盾。お互いを信頼し合い、護る。まさにふたりの象徴だった。 「これからもよろしくな」 「はいっ!!」 そうして微笑み合い、ふたりは幸福に包まれる。
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