蠣崎・綺沙 & 胡桃堂・蛍

●『一瞬の永遠を――Christmas starlights――』

 今日はクリスマス。夜の街は、きらきらと輝いて、いつもより賑やかだ、
「ふにゃ……♪ 何だか町が賑やかなのですね……」
 綺沙は、楽しそうに辺りをきょろきょろ見渡しながら、隣にいる蛍の手をぎゅっと握った。
「年に一度の大イベントだからねぇ」
 蛍も笑って、綺沙の手を握り返す。そのことが嬉しかったのか、綺沙はにこにこと笑っている。

 楽しげなクリスマスソングが流れていて。綺麗なイルミネーションに彩られていて。たくさんの人が楽しそうにしている。
 長い眠りから目覚めたばかりの綺沙にとっては、初めてのクリスマス。隣にいるのは、彼女にとって初めての大好きな人。
 クリスマスムード一色の商店街を二人で歩いて。時々、足を止めてお店のショーウィンドウを覗いてみる。
「うわぁ……可愛らしいクマさんなのですよ」
「サンタの格好をしたクマのぬいぐるみだね」
 クリスマス限定のぬいぐるみに、瞳を輝かせている綺沙。それを、蛍は穏やかな表情で見つめているのだった。
 そして、小さな屋台で売っていたチキンを二人で分け合って食べて。
「これ、美味しいのです♪ 蛍さんもどうぞなのです」
「うん、美味しいね」
 ずっと、綺沙は嬉しそうに笑っている。蛍も、そんな綺沙の様子が嬉しくて、幸せな気持ちになっていた。
「こうしていられるのが幸せなのです……」
 幸せそうな笑顔を向けてくる綺沙に対して、蛍も笑顔になる。
「ふふ。綺沙ちゃんが楽しいなら、僕も楽しいよ♪」

 突然。綺沙が足を止める。綺沙が見ているのは、一際見事なイルミネーション。
「……きれい、なのです」
 とても綺麗な……まるで、星の輝きのように幻想的な光。この場に二人きりなんじゃないかと思える一瞬……。
 呆けたようにイルミネーションを見上げる綺沙。その隙だらけの頬に、
 ――ちゅっ。
 キスをする。突然のことに、綺沙はびっくりして、頬を赤く染めた。
「び、びっくり……なのです……。でも……うれしいのです……」
 その微笑みは、本当に嬉しそうで。蛍も、幸せな気分で笑顔になるのだった。



イラストレーター名:ほてやみつえ