長谷川・陽子 & 笹木・智成

●『新生活への第一歩 〜X'mas Moving〜』

 ここは智成の家。今日はクリスマスであり……陽子の、智成との同居を開始する日だった。前々から同居しようと言っていたが、ついにそれを実行に移したのだ。
 陽子は、幸せのあまり緩みきった顔で台所に立っていた。今日は二人でクリスマスパーティーをするのだ。そのための料理を作っているところだった。
 そして、ふと思い出したように振り返る。そこには、陽子の荷物を運んでいる智成の姿。結構な量があったのだが、既に大分終わっているようだ。
「そういえば……引越し作業、智に任せっきりだ……」
 料理の下ごしらえは、大方終わっている。陽子は、台所から出て、荷物を置いて一休みしてる智成に近づいた。
「荷物運びお疲れっ……手伝わなくて本当に大丈夫? 私の引越しなのに、智に任せっきりで……」
 心配そうな様子の陽子に対して、智成は笑う。
「おう、大丈夫大丈夫。それより料理よろしく頼むぜ? ヨーコの料理が楽しみで、力仕事頑張ってるんだしな」
 それを聞いて、陽子も楽しそうに笑った。
「じゃあ、智がびっくりするくらい美味しい料理作るからね。荷物運び、もうちょっとだから頑張って!」
「おう。料理ができるまでには、終わらせねぇとな」
 智成が荷物運びを再開したのを見て、陽子も台所に戻る。陽子がチラっと振り返ると、そこにはとても張り切って荷物を運んでいる智成の姿。その姿を見て、陽子は幸せそうに微笑んだ。
「……私のためにこんなに頑張ってくれる人と、これから、共に生きていくんだよね……」

 料理が完成して、テーブルに並べていく。荷物運びも、もう終わりそうだ。
「ねえ、智!」
 なんとなく、陽子は智成に声をかけた。そして、振り返った智成に対して、幸せそうな笑顔で言った。
「……これからもよろしくね、智♪」
 それを見た智成は、照れくさそうに……しかし、幸せそうに笑った。
「……こっちこそ、よろしくな」

 これから、新しい生活が始まる。二人で、共に生きていく。
 そのことを想い……二人は、再び笑いあった。



イラストレーター名:くろのり