●『温かなクリスマスを、ふたりで』
やわらかな光が暖かいリビングの中を満たしていた。 パステルカラーのクロスが敷かれたテーブルには出来たての料理が並んでいる。 熱々のグラタンやターキーの丸焼き、そして新鮮なサラダが見た目にも、匂いでも食欲を刺激する。 ご馳走が並ぶテーブルの上で、一際目に付くのがクリスマスの主役とも言えるケーキだ。 フルーツ盛りだくさんのケーキは、その出来から既製品ではないのがすぐに分かる。 蒼燈が手作りのケーキに向かってナイフを伸ばすと。 「あー、蒼燈ちん。ベルジャ、そのイチゴが乗ってるとこがいいのです」 ワクワクしながら見守っていたベルジャが、ケーキ上のイチゴを指差す。 「了解です。まだたくさんあるですから、いっぱい食べて下さいね♪」 蒼燈は微笑みながら要望にこたえ、イチゴ載った部分を切り分けると、ペルジャの前にそっと置いた。 早速、イチゴの載った部分をパクリとペルジャが頬張る。 「えっと、お味はどうですか?」 ケーキがペルジャの口に運ばれていくのを、ドキドキしながら見守る蒼燈…。 「はうあー、超美味しいのです!」 一口でケーキのとりこになったペルジャは、せっせとフォークを動かす。 「今まで食べたケーキの中で、一番美味しいのです!! お店のケーキより、ずーっと美味しいのですよ♪」 フォークの先に残ったケーキを乗せて、ペルジャがにっこりと笑う。 「きっと、蒼燈ちんの優しさがいっぱい詰まってるから、心までふんわりするのです」 ペルジャの笑顔と褒め言葉に、蒼燈は照れながらもう一切れ、ケーキをペルジャのお皿に移す。 「いえ、そんな事は無いと思うですが、ありがとうございます〜。ベルジャさんにそう言って貰えてとっても嬉しいです♪」 自分のお皿にもケーキを取り分けると、蒼燈はペルジャの横に座る。 並んでケーキを食べながら、2人は互いに微笑みあう。 「蒼燈ちん、メリークリスマス。大好きなのです。これからもずーっと、仲良しでいてくださいなのです♪」 「はい、ずっと仲良しです。蒼燈もベルジャさんが大好きです♪」 まだまだ料理は残っている。 2人の幸せなクリスマスはまだまだ、始まったばかりだった。
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