●『Silent night & Turkey party』
「今年のくりすますはキエラさんといっしょ。めいっぱい楽しむデスよ!」 朝からむんっと気合を入れて、蛍はクリスマスパーティの準備に取り掛かった。 大きなツリーとリースを置いて、キャンドルがキラキラと輝くクリスマス。料理の下ごしらえも丁寧に。一日中をかけて、キエラヴィシエルとの楽しいパーティを思いながら準備を進める。 あっという間に過ぎていく時間に蛍が気付いたのは夕方。もう、約束の時間だ。一通りの準備を終え、後は最後の仕上げを残すのみ。あとはキエラヴィシエルと一緒に作業しようと思いながら蛍が一息つくと……。 ピンポーン♪ 玄関ベルの音。蛍は準備の疲れも吹き飛ぶ思いで、玄関へと駆けて行った。 「めりーくりすまーす! ようこそ、いらっしゃいデスよー」 「メリー、クリスマス。ケーキの人を、お連れしました」 蛍が開いたドアの向こう側で、キエラヴィシエルが嬉しそうにクリスマスケーキの箱を掲げて見せる。普段は感情に乏しいけれど、聖夜というイベントにはさすがに心躍るのを抑えきれないようだ。 誘われた奥の部屋の、クリスマスらしい飾り付けがキエラヴィシエルを迎える。テーブルの上にはブッシュ・ド・ノエルにシーザーサラダ、バゲットなど蛍の手作りの温かい料理が所狭しと並べられていた。 キエラヴィシエルの持ってきた雪のように白いクリームのケーキも加わり、二人だけの楽しいクリスマスパーティが始まる。
「流石、いい腕を、しています」 蛍の料理に舌鼓を打つキエラヴィシエル。 「この日の為に一生懸命したごしらえしたデスからねー、ぜんぶ美味しいデスよっ!」 誇らしげに言う蛍。 グラスに注がれたシャンメリーの泡が揺れ、クリスマスムードを盛り上げる。 ふと、香ばしい香りに気付いたキエラヴィシエルが、くん、と鼻を動かすと、蛍が嬉しそうに席を立った。耐熱のミトンを着け、オーブンの中を覗き込む。ちょうどいい頃合いに、思わず笑顔になる蛍。 「お待ちかね! さあ、本日の主役の登場デスよっ!」 オーブンから顔を覗かせたのは、こんがりときつね色に焼けたターキーの丸焼きだ。 最後の仕上げに綺麗に皿に盛り付けて、慎重にテーブルの上へと運ぶ。 「コレは……なんという、GJ」 その光景に、キエラヴィシエルも嬉しそうに頬を綻ばせた。
パーティはまだ始まったばかり。 まだまだたくさんの美味しい料理が、二人に食べられるのを今か今かと待っている。 聖夜の晩餐を骨まで楽しむが如く、騒がしい夜がゆっくりと更けていくのだった。
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