●『乙女☆パジャマパーティー♪』
「メリークリスマス♪」 サンタガールのようなパジャマを着用している庵はカメラを構えた。 カメラを向けられている和奈は自分のパジャマ姿を隠すように大きなぬいぐるみをぎゅう、と抱き締める。 「およ、かずにゃが珍しく照れてる!? 可愛い〜」 言いながら庵はカメラのシャッターを切った。自身がプレゼントしたピンクを基調としたふりふりのパジャマ姿の和奈を喜々としてカメラに収める。 「うぅ、だってこういうの似合う自信ないんだもん……」 「え〜、元々ロリ属性あるし似合うと思うけど☆」 明るく言う庵に和奈は「そうかな?」と瞬いた。 「似合うなら良かったー……♪」 やや頬を赤らめたままの――けれど嬉しそうに笑うに和奈に、庵は飛び掛かる。 「かぁわいいなぁ〜」 じゃれつかれた和奈は倒れ込みつつも「わ……わわっ!」と声を上げた。 「女の子お泊り会って言えばコイバナよね〜。かずにゃは何かないの〜?」 和奈を押し倒しつつ問いかけた庵に「んー、相変わらず縁遠いんだよねぇ」と和奈は応じる。 「それよりいおりちゃんはアニキと最近どんな感じ?」 切り返された庵は、その問いかけにパチクリとした。しばらくするとにへ、と口元を緩ませる。 「庵さんの方は……にへへ〜。とってもラブラブなのだ」 言い切る庵の惚気に和奈の方が照れて顔が真っ赤になってしまった。 けれど、庵の幸せそうな顔と微笑ましいコメントに「仲良しみたいで良かったー」と笑った。 「『おねーちゃん』も幸せそうだしね♪」 からかう和奈に「もうもう、かずにゃったら〜」と照れつつ庵は和奈の肩をバシバシ叩く。 「そういうかずにゃは好きな人とかいないの〜?」 和奈を叩いていた手で、庵は和奈の肩を抱いた。 庵の問いかけに「す、好きな人!?」と和奈は若干声をひっくり返す。 ワクワクと瞳を輝かせる庵に和奈はそっと視線を外した。 「え、えーと居ないことはないけど秘密……かな?」 ポソリとしたその呟きに庵は目を丸くした。 「えっえっ、いるの!? 教えなさーい!」 「えへへ……内緒、内緒♪」 人差し指を唇に当て、呟く和奈。 「もうっ、今夜は寝かさないんだからね〜!!」 庵は和奈に宣言した。
……その宣言は、結局……。 「おしえな、さーい……」 「ない、しょー……」 ――果たされないまま。 二人は仲良く、夢の国へと向かった。
| |