●『Amor Aeternus 〜永遠の愛〜』
クリスマスの日、アリシアとグルーネルは二人で買い物に出かけていた。 若い女の子二人が仲良く並んでショッピング♪ なんて姿は、とても華やかで、賑やか。 いつの間にか外ではちらちらと雪が降り始め、一旦店の外に出てしまえばとても寒くて。 「くしゅんっ」 グルーネルのかわいらしいくしゃみの音に、アリシアはハッと振り返る。 「大丈夫ですか? ……すっかり寒くなってしまいましたね」 寒そうに身体を抱いてぷるぷると震えるグルーネルにアリシアはぐっと近づいて、自分の首に巻かれていたマフラーをするすると伸ばした。 「じゃーん、実は二人でも巻けちゃう長さなのです」 ふたりで巻けばもっとあたたかいですよね。そう言ってアリシアはグルーネルの首にマフラーの余った端をくるくると巻き付けた。 (「暖かいですわ……」) 今までアリシアの身体に触れていた分、マフラー自体も暖まっていて、そして何より、彼女の心遣いがうれしくて。とってもあたたかかった。 「あ……あの」 グルーネルは少し遠慮がちに、アリシアを見遣って言う。 「手をつないでもらっても……良いでしょうか?」 もじもじ。ちょっぴり恥ずかしそうに裸の手をこすり合わせている。 そんなグルーネルの姿にアリシアはふふっと微笑んで。 「ふむ……手、ですか」 すっと右手を差し出して続けた。 「私の手は、ネルちゃんと繋ぐ為にあるのですよ。遠慮なんてしないでくださいな」 明るくそう言ってみせるアリシアに、グルーネルの表情がぱっと輝く。 「あ……ありがとう……」 きゅっ。グルーネルの小さな手が、アリシアの右手を握る。その手は少し冷たくて、今までずっと遠慮してたのかしら、とアリシアは眉を下げた。 そんなやりとりをしながら歩いていった先、ふと気付けば二人の前には大きなクリスマス・ツリーの姿があった。キラキラとしたイルミネーションに覆われたそれは、夜の闇の中でひときわ大きく輝いて見えた。 「綺麗……ですね……」 電飾の光を受けて、グルーネルの瞳がきらきらと輝く。 「すごい……。素敵ですね」 アリシアの眼鏡の奥の瞳も、同じように輝いていた。 「また来年も、一緒に見ましょうね」 「……っは、はい!!」 幸せなクリスマス。彼女たちの永遠の愛は、今、ここにある。
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