●『Special Little Party♪』
「今年は雲英ちゃんのお料理食べたいなっ」 京也のその一言で、今年のクリスマスは雲英の部屋で過ごす事に決定! 出かける前に、できる限り料理の下ごしらえをしながら、雲英はずっとそわそわしっぱなしだった。 (「私の作る料理、京也さん、喜んでくれるかな…? と、もうこんな時間! そろそろ出なきゃ!」)
雲英が慌てて部屋を飛び出したころ。京也は待ち合わせの公園で雲英のことを待っていた。 (「雲英ちゃんのお部屋……。初めてだなっ」) どんなお料理を作ってくれるんだろう? でも、雲英ちゃんが作ってくれる物なら、どんな物でもおいしいに違いない! そんな事を考えていると、軽い足音が聞こえてきた。雲英が手を振りながら、京也の方へかけてくる。 「ご、ごめんね……。遅くなっちゃった!」 一生懸命走ってきたのだろう。息を切らせている雲英に、京也はにっこり笑って公園の大きな時計を指差した。 「大丈夫。時間ぴったりだよ」 「よかったぁ。じゃあ、部屋にいっこっか♪」 「うん」 仲良く二人は歩き出した。繋いだ手が暖かい。 「えへへ、いらっしゃい♪」 部屋に着くと、雲英が笑顔で京也に手招きした。 「おじゃましまーす」 初めて入る雲英の部屋。なんだかドキドキする。 「あっ、好きな所に座っててね♪ 今お料理の用意するよ〜」 雲英の言葉に、京也はソファへ座った。 (「ここで雲英ちゃんが暮らしてるんだ………」) 普段は男子の制服を着ている雲英だけど、部屋の中は女の子っぽい感じだ。明るい色のクッションに、かわいい模様のついたカーテン。キレイに片付いた机の上に、自分があげたプレゼントのぬいぐるみを見つけて、思わず笑顔になった。 (「大事にしてくれてるんだ。嬉しいな〜」) しばらくすると、台所からコトコトと料理をする音が聞こえて来た。開いたドアから、スープの味見をしている雲英が見える。 (「雲英ちゃん、エプロン姿もかわいい」) それに、自分のために一生懸命な所も嬉しい。見とれているうちに、雲英ができあがった料理を運んでくる。 ローストチキンに、ソースまで手作りのオムライス。それからもちろん、小さなツリーを飾ったクリスマスケーキ。他にもテーブルが一杯になるくらいたくさん。 「ちょっと作りすぎ過ぎちゃったかな」 照れ笑いをしながら、雲英が京也の近くに座った。おいしそうな料理に、京也は目を輝かせている。 「じゃあ、食べる前に乾杯しようよ!」 雲英がジュースの入ったコップを京也に手渡した。 「メリークリスマス!!」 乾杯が終ると、さっそく京也は料理に手を伸ばした。 「おいし〜!」 思わず満面の笑顔になる。嬉しそうなその顔が、一生懸命料理を作った雲英に取って一番のご褒美。 美味しい料理と暖かい部屋。そして隣には大好きな人。それが二人の今年のクリスマス。
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