●『見つけた・・・ボクの』『ふふ… 専用の品…ですよ…』
街の賑やかさも、茴香と桜が予約を取った高級ホテルの一室には届いてこなかった。ただ、窓からは華やかなイルミネーションや広場のツリーが見えて、特別な夜の雰囲気を盛り上げている。。 「メリークリスマス……」 桜とおそろいの、サンタ風ドレスに身を包んだ茴香はどこかおずおずと言った。 「メリークリスマス……だよ」 桜はそう言って、きれいにラッピングされた箱を取り出す。 「これ……プレゼント」 茴香は、嬉しそうに微笑むと、桜からのプレゼントを受け取った。 「あ、ありがとう……ございます……」 お礼を言ったあとで、茴香はうつむき、上目づかいに桜を見つめた。 「わたしからは……その……」 そこで茴香は言葉を濁した。それに、なぜかプレゼントを渡す様子は無い。 当然お返しを期待していた桜は、不思議そうに茴香を見つめた。彼女が桜へのプレゼントを忘れるなんて、ありそうもないのだけれど。 桜がじっと見つめると、茴香は恥ずかしそうに頬を染める。 「秘密……なのです」 秘密という事は、やはり忘れたわけではないようで。という事はどこかに隠してあるのかも知れない。 まるで桜の視線を肌で感じているように、茴香がもじもじと体を動かしているのに桜は気付いた。大体の隠し場所がわかって、桜はくすり、と小さく笑う。 「なら……見つける……よ」 抱きつくようにして、桜は茴香の体をまさぐる。 「あぁん……」 茴香が思わず甘えた声をもらした。 「ない……こっち、かな」 「はあん、そ、そこは……」 桜が身体中をなでまわすせいで、茴香のドレスがはだけていく。 「それとも、こっち?」 とうとうドレスが床にすべり落ちて、桜とおそろいの下着があらわになる。そして白い胸元に、ルージュで書かれた『桜専用』の文字も。 「見つけた……ボクの」 桜は指先で文字をなぞる。茴香が隠していたプレゼント。それはどうやら茴香自身のようで。 「うふふ……桜専用……ですよ……」 二人はくすくすと笑いながら、お互いを抱きしめる腕に力をこめた。そこからは、二人だけの秘密の時間。クリスマスの夜は、甘く過ぎていった。
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