●『Buon Natale,signor Luca!』
イルミネーションに飾られた公園は、まるで夜の星が降りてきたようだった。その美しい光景を楽しもうと、たくさんの人達が集まってきている。賑やかな雰囲気につられて、流火は走る足を速めた。間違って落っことしたりしないように、プレゼントの箱をしっかり抱えて。 お昼の間は、昼間は、賑やかな場所で、ケーキを一緒に作って食べたから、夜は、奇麗な場所で、プレゼント交換で楽しもう、というのが銀朱の立てたステキな計画。 (「猫がいっぱいいっぱい考えたプレゼントなん。 銀朱気に入るかなー? 喜んでもらえるよねー?」) 人波ではぐれないように、銀朱が手を振って合図をする。 「るーにゃ、今年もまたクリスマスを一緒に過ごせて嬉しいよ〜」 一番キレイに輝いているツリーの前で、流火は立ち止まった。走って来たせいで、まだちょっとだけ息が荒い。銀朱が、周りの景色を視線で指した。 「ほら、見てごらん。イルミネーションが奇麗でしょ〜?」 この公園に来てよかったでしょ? と言う銀朱に、流火はうなずいた。 「本場には負けるかもしれないけど、日本のクリスマスも、中々素敵でしょ〜?」 「うん」 もう一度、流火は元気よくうなずいた。本当は、イルミネーションなんかなくても銀朱がいるだけで幸せなのだけれど。 そして、そんな流火の気持ちはきちんと銀朱にも伝わっていた。 (「言わなくても分かってるよ。どこで過ごすかより、『誰と過ごすか』が大事だって思ってることは」) 「はい、この花束を受け取って〜。大切なるーにゃへのプレゼントだよ〜」 「わ、ありがとう!」 手渡された大きなバラの花束に、流火の金色の瞳がきらきらと輝いた。その花束も嬉しいけれど、『大切なるーにゃ』の言葉も嬉しい。 「はい、猫からも、プレゼント」 流火は抱えていたプレゼントを差し出した。 「ありがとう〜」 「開けて開けて!」 少しでも早く銀朱の笑顔を見たくて、流火のしっぽがゆりん、ゆりんと揺れる。 せかされるまま、銀朱は箱を開いた。 「わ〜、ありがと〜」 銀朱は流火が願った通りの嬉しそうな笑顔になった。 「これからも、色んなコト、一緒に楽しもうね、るーにゃ」 ちなみに、プレゼントボックスの中に何が入っていたのかは……。内緒。
| |