栖飼・輝 & 暁・更紗

●『Lover of blessing』

 ヤドリギを着飾る木々の下行われる仮装パーティ。様々なクリスマスを連想する仮装が楽しげな笑い声を響かせる。
「あーん♪」
「……もう……」
 輝が、更紗の手に持っているクッキーを口を開けて待ちわびる。それに更紗がくすくす笑いながら、楽しそうに輝の口にクッキーを食べさせてあげた。
「じゃあ、お返し! はい、あーん!」
「え……うん……」
 今度は輝の手がクッキーを持って、更紗が少し恥ずかしそうに口を開けて待つ。
 ベンチでは楽しそうにのんびりしているサンタが二人。
「仮装でクリスマスもイイね、楽しーし!」
 クッキーの食べさせっこをして、とても楽しそうに輝が笑顔で口を開いた。
「……仮装は初めてだけど……似合う……?」
 更紗が少し恥ずかしそうに、輝に問いかける。
「更紗カワイイ!! でもチョット短い?」
 輝は力いっぱい似合っていると力説するが、更紗の綺麗な白い脚を見て、照れながら、ぼそっと言った。
「え……? そう……? スカート短かった……?」
 顔を赤くした更紗は、スカートの裾を手で押さえる。確かに自分でもスカートが短いかとも思ったが、それは普段ミニスカートを穿かないせいかと思った。しかし、輝からも指摘されるという事は、やはり短かったのだ。
「ちょっとね。でも、カワイイよ! 普段と違った感じで凄くカワイイ!」
「ふふ……ありがとう。輝のお髭……、似合う……けど、別の人みたいね……? えい…っ」
 スカートが短かろうと更紗が可愛いのは事実。輝は何度も「カワイイ」を繰り返す。
 更紗は、その笑顔の力説に微笑んで、輝の付け髭を見つめて少し首を傾げた。そして、引っ張ってみる。
「わわっ!? イタ……くない」
 更紗の綺麗な指で髭を引っ張られると驚いて、反射的に「痛い」と言いそうになったが、付け髭では痛いわけがない。
 どちらからともなく、二人はは楽しげな笑い声をこぼす。
「祝福のキスかァ、更紗がくれるならイツでも祝福カナ?」
 ヤドリギを見上げながら、輝がふと呟いた。
「……?」
 急に呟いた輝の言葉が何を意味するのか更紗は首を傾げる。
「ヤドリギの下でキスをすると祝福されるとかアルらしいよ」
「……なら、私にとっても……輝が居てくれるなら……いつでも祝福……幸せが一杯……」
 輝が呟いた理由を説明すると、更紗は納得して、微笑んだ。
 ずっと楽しそうに笑っていた輝が、ふいに真っ直ぐな瞳で更紗を見つめる。更紗も真っ直ぐ見つめ返し、
「……一生一緒に居てね。更紗愛してる」
「……ずっと一緒に居る……愛してるわ……」
 誓いのキス。

 『幸せになる』という花言葉を持つヤドリギが、二人の誓いを優しく見守っていた。



イラストレーター名:泉