●『彼氏はメイ男?』
「乙羽、その格好似合ってるよ♪」 黒いタキシード姿で、満面の笑みを浮かべる箕輪・冷奈(感情最小限科学人間・b72610)。その視線の先には、恥ずかしそうに顔を真っ赤にした四条・乙羽(小学生真シルフィード・b49916)が立っている。 「からかうのは止めてよ〜。冷奈のイジワル!」 「あはは♪ からかってないよ? 本当にカワイイし♪」 ご満悦の表情で、冷奈はテーブルのシュークリームに手を伸ばした。 (「何で……何でこんな格好しなきゃならないんだろう? 恥ずかしい……恥ずかし過ぎるよ!」) シュークリームの載ったお盆を持ちながら、乙羽はそんな事を思っていた。 無理も無い。 彼は、メイド服を着せされているのだから。それが似合わなければ笑い話で済むのだが、乙羽の場合は似合い過ぎている。 (「まぁ……冷奈が喜んでるのがせめてもの救いかなぁ)」 クリスマスツリーの脇に立ち、冷奈を後ろから見詰める乙羽。彼女の幸せそうな姿を見ていると、自然と笑みが零れた。 「乙羽〜、おかわり〜!」 空になった皿を乙羽に見せながら、冷奈がシュークリームの追加を催促する。 「お待たせしました、お嬢様♪」 そう言いながら、乙羽はお盆の皿と空の皿を交換した。 「あはは♪ 乙羽、似合う似合う♪」 「ありがとう……やっぱり、恥ずかしいなぁ」 満面の笑みでパチパチと手を叩き、シュークリームを頬張る冷奈。乙羽は照れ臭そうに頬を掻きながら、視線を逸らしている。 (「乙羽が私の為にメイド服になってくれてる……嬉しいな〜♪」) 大切な人が自分のために頑張ってくれて、大好きなシュークリームがたくさんある。彼女にとっては、正に至福の時間である。 「あ、一緒にケーキ食べよっか♪ あ〜んしてあげるよ?」 「えぇ!? いいよ、恥ずかしいし!」 「うふふ♪ だぁめ♪ 乙羽はメイドなんだから、私の言う事は聞かなきゃね♪」 小悪魔のような笑みを浮かべ、ウインクを送る冷奈。二人の楽しいクリスマスは、その後もまだまだ続くのだった。
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