●『ヤドリギの木の下で2人で過ごす、初めてのクリスマス』
(「大好きな緋邑と一緒のクリスマス……♪」) ミニスカートにニーソックスのサンタ姿の桜の頬に、自然と小さな笑みが浮かぶ。 仮装パーティーを抜けだし、外にあるヤドリギの木の下に移動した二人。 神父服に額縁の眼鏡をかけた緋邑は、桜が風邪をひかないようにそっと自分のコートをかけてやった。 後ろで括っている髪をおろし、両サイドに小さなリボンをつけて、いつもとは違う様子の彼女を見つめて、緋邑もまた笑みが浮かぶ。 「桜とクリスマスを迎えるのは初めてだなぁ」 「そう……だね……」 緋邑の言葉に桜の顔が赤みを増していく。 (「いつもデートとかでいろいろな場所行ったりしてるのに……」) 意識すればするほど、いつも以上にドキドキしてしまって。 そんな桜の様子に、緋邑は甘い笑みを浮かべる。 「桜の顔がいつも以上に赤いのは、寒いからか? それとも……」 「うー……赤くないっ。赤くないもんっ」 からかいの言葉に必死に否定しても、その顔はとても愛らしい。 にこにこと笑み続ける緋邑に、桜はそれ以上否定しても聞かないと見て、話題を変えた。 「えっとね、緋邑……?」 「ん?」 「桜サンタからプレゼント……だよ。ちょっとしゃがんでもらえる……?」 だって届かないんだもん。という、愛しい恋人の小さな呟きは聞こえないふりをして、緋邑は笑みと行動でそれに応えた。 (「これからも、ずっと……。大好きな緋邑と一緒にいられますように……」) そんな願いを込めて、桜は緋邑にキスを贈る。 時間は数秒。唇が離れた後、彼女は緋邑に思いっきり抱きついた。 甘えるような桜の仕草に、緋邑もそっと優しく抱きしめ返す。少しでも愛しさが伝わるように。 「それじゃ、俺もお返しに……♪」 桜が辛くないよう後頭部に手を当て、緋邑もまた、キスを贈る。
名残惜しむように離れ、二人が浮かべるのは幸せそうな笑み。 「ずっと、大好き……」 「大好きだよ、桜……。ずっと一緒に……」
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