●『銀誓館での初メリー・クリスマス!』
「今日はクリスマス! 一緒にお祝いしよ♪」 真っ赤なサンタ服を着て、サンタ帽をちょこんと頭に乗せたコノハが、元気いっぱいの笑顔で、フウに笑いかける。フウも楽しそうに笑顔を返した。 イギリスに住んでいた頃に出会って、今でもずっと一緒にいる、シャーマンズゴーストのフウ。 まだ幼いコノハが日本で、この銀誓館学園で頑張れるのはフウが傍にいてくれるから。 テーブルの上には、キャンドルが柔らかい光をたたえ、美味しそうな料理が並ぶ。この御馳走はコノハが頑張って準備した。 そして、可愛く装飾された部屋と綺麗にドレスアップしたツリー。コノハが御馳走を準備している間、フウが部屋やツリーの飾りつけをしたのだ。 「日本に来てから、あと少しで一年になるんだね。能力者として依頼に参加したとき、フウがとっても強くて頼もしかったよ」 料理を食べながら、これまでの出来事を思い出すように、そして、思い出して、楽しそうな、幸せそうな顔でコノハが笑う。フウも楽しそうに料理を食べる。 「二人で、秘密の運動会にも行ったね。フウと一緒に、二人三脚に参加出来て嬉しかったな」 色々な使役ゴーストと色々な競技をしたプライベートな運動会。深夜で月がよく見える山で笑いあった。 (「でも、どの子よりもフウが一番可愛くて……」) 親バカよろしく、コノハの目にはフウ以外の使役ゴーストは、フウの引き立て役だと思っている。恐らく、コノハ以外の使役ゴースト使い達も同じようなものだろうが。 「それに初めての戦争。すごく緊張したけど、最後まで無事に戦いぬけたね」 こうして一緒にクリスマスパーティーをできるのも、笑い合えるのも、フウと一緒に頑張ったから。
お腹もいっぱいになったし、本日のパーティーの主役。 「フウ、ほらクリスマスケーキだよ!」 コノハが切り分け、皿に乗せたケーキを差し出すと、フウは嬉しそうにバンザイしながら、にこにこして受け取る。 「この一年、楽しいことも大変なこともいっぱいあったけど、フウと一緒だから頑張れたよ」 にこっとコノハが笑いかけると、フウは頷いて、まるで『フウも!』と言わんばかりに笑顔と嬉しそうな空気が広がった。 「フウ、メリー・クリスマス! これからもずっと一緒だよ!」
――これからの長い日々、辛い時も楽しい時も一緒に頑張ろうね。
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