●『この倖多き、素晴らしきよるに』
沢山遊んで来たけれど、やっぱりこの部屋に帰ると、良は暖かい気分になる。 クリスマスの夜。 部屋の照明をしぼって代わりにキャンドルを点けて、小織と一緒に作った料理もケーキも、二人で食べるからなおいっそうおいしかった。 目の前の小織はお願いして着てもらったサンタスタイルだ。良のあげたクリスマスプレゼントの花束を抱えて、もうひとつのプレゼントの宝石箱を手の中で大事そうに見ている。 良が小織からもらったプレゼントは、手編みのマフラーだ。 「な、これ巻いて!」 部屋の中で、もちろん寒くなんかないけれど、良は言った。 小織が恥ずかしそうに、はにかみながらうなずいて、良の手からマフラーを取る。 良は、首もとと共に、胸の中まで温かさに満ちるのを感じた。小織は、きっと良のことを思いながらこのマフラーを編んでくれたんだ。それがすごく嬉しい。 「よかった……似合う」 良の首に巻かれたマフラーを見て、小織が笑った。 そんな小織を見ていると、良も自然と笑顔になる。それでも、もうすぐ華やいだクリスマスが終わる。彼女の向こうに見える、暗い夜の空を映す窓が――。 「小織……雪だ!」 良が窓を指差すと、小織も振り返って窓へと視線を向ける。 その雪をよく見ようと、二人で窓辺まで行く。 はらはらと、窓の外を白い雪が舞っている。澄み渡る夜の空から雪が降りてくるその光景は、クリスマスの夜にとても似合う。 良の膝の上に乗った小織が、窓の外に魅入るように窓に手を当て、 「綺麗……」 つぶやいた。 窓についた小織の手に、良が手を重ねると、それを合図にしたように小織が顔をあげて、 「良の腕の中で見る雪は特に、ね」 暖かくて、心から安心できる場所だから。 そう微笑んだ。 きっと似合うだろうと思っていたけれど、小織のサンタスタイルは良の想像以上だった。雪に目を輝かせて見入る表情もあいまって、すごく可愛い。 良は思わず、膝の上に座る彼女を、後ろから抱き絞めた。 「ありがとう。君は沢山……幸せを運んでくれる、ひとだよ」 舞い降る雪以上に、沢山の幸せを、共に。 囁いて、耳元にキスすると、小織が首を竦めた。赤い頬で良を見上げて、手を上げる。 と、自分の被っていたサンタ帽子を取って、良に被せた。 突然のことに良が驚いてサンタ帽子を引き上げると、開けた視界の目の前に小織の顔が見えた。そして、良の唇に温かく柔らかいものが触れる。 「……そして私には良が、幸せを運んでくれる」 抱えきれないくらい、と小織が笑う。 小織のとろけそうな笑みに、良もつられるように笑みを浮かべた。
きっとこれからも続いていくんだろう。 こんな幸せを、君と共に。
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