●『何かと逆・・・?!』
「さて、パーティの準備もできたし乾杯しようか」 「うん、かんぱーい!」 今日は二人が待ちに待ったクリスマス。 二人で過ごすこの時を待っていたのか、両者共に笑顔を隠しきれずにいた。 ――チン。 笑顔のままクラスを当て合い、軽く飲み干す。 「それじゃ、料理も冷めないうちに食べるか」 「ケーキも切らないとね」 二人きりのパーティは終始楽しいものであった。たわいない話をしつつも用意したケーキや料理を食べ終え、飲み物のビンも何時の間にか空になっている。 パーティもそろそろお開きかな……そう思いつつ、まったり過ごしていた時だった。 「うわっ!?」 「んー? どうしたの〜?」 いきなり四音が顔を覗いてきたので、柚希は驚いて少し後ずさった。よく見ると、彼女の顔が赤くなっておりまるで……。 「あれで酔ってる!?」 「別に酔ってないよ〜? えいっ」 あの飲み物で酔う事は無いと思っていたのだが……信じられない事に彼女は酔っぱらっていたのだ。 真っ赤な笑顔でいきなり両手をつかまれ……その行為にドキマギしていた柚希は全く動く事ができない。 「どうしたの? 柚希、何だか変だよ〜?」 「い、いや、俺は普通だ。おかしいのは……って言っても無駄か?」 (「ま、まぁいつもと逆だが……これはこれで良くね?」) たまにはこういうのも悪くない。彼女に翻弄されつつもそう思い始めた時だった。 「――!?」 再び急接近してきた彼女。 「柚希、好き」 真っ赤ながらも最高の笑みを浮かべ、彼女はそう告げる。 「大好……き……」 そう口にしながら、四音は柚希に寄り添うように眠ってしまった。 「…………っと」 少しの間、彼女の笑顔と言葉に胸の鼓動が収まらなくて動けずにいた。 鼓動が徐々に収まってきた柚希は彼女からそっと離れ、風邪を引かぬようにと毛布を持ってくる。 「……四音、俺も好きだよ」 そして微笑を浮かべて彼女にそう告げると再び寄り添い、彼もまた眠りに付いた。 メリークリスマス。どうか二人に幸せな夢を……。
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