鶴見・秋也 & 御子柴・ひなた

●『ふたりの時間』

 ベルにスノーマン、キャンディステッキ、キレイな星にライト。
 学園のダンスパーティーに参加した後、部屋に戻った秋也とひなたは、ツリーの飾り付けをしていた。
「よし、出来た!」
 秋也が天辺に大きな星のオーナメントを飾れば、完成だ。
「綺麗だね……!」
 ツリーはライトを受けて、聖夜に相応しい輝きを放っている。
 それを眺めながらクリスマスケーキを食べることにし、2人は仲良くソファーに座った。
 クリームとフルーツがいつもより何だか甘く感じるのは、クリスマスだからか、それとも2人で食べているからだろうか。
 一緒に笑顔で味わって、やがてケーキを食べ終わると、2人は各々用意していたプレゼントを取り出した。
「ひなた、メリークリスマス」
「ありがとう……! 私からも。秋也、メリークリスマス」
 お互いのことを考えながら選んだプレゼントは、もちろん相手への気持ちがいっぱい込められた品。
 皆で楽しむ賑やかなクリスマスパーティーも良いけれど、大切な人と2人で過ごすクリスマスはやっぱり特別だ。
 にっこり微笑み、ひなたは隣に座る秋也に寄りかかるように体を預けた。そんなひなたが愛おしくて、秋也は彼女の頭を優しく撫でる。
 結社の皆の前では控えめにしているつもりだけれど、2人きりのとき、ひなたは秋也に思い切り甘えてしまう。
 それが嬉しくて、秋也もそんな彼女を喜んで受け止めるのだった。
 触れ合うと、安心する。相手のことが、大好きで、大切で。
 全身でお互いの温もりを感じながら鼓動を重ね合わせると、もの凄く満ち足りた気持ちになる。
 寄り添いながら、2人は色んな思い出を振り返り、会話に花を咲かせた。
「あのときは笑ったなあ」
「うん、楽しかったよね! あ、そうだ、それでその後も」
「はは、そうだったな!」
 時に笑い合ったり、顔を見合わせて苦笑したり。嬉しかったことも、切なかったことも、すべて2人にとって大切な宝物だ。
「色々あったけど、もうクリスマス2年目なんて、早いよなぁ……。こうやって幸せが続けられたのも、相手がひなただから、なんだろうな……」
 呟いた秋也の顔を、ひなたは見上げる。
「ううん――あたしと秋也のふたりだから、だよ。あたし、秋也と出会えて……恋人になれて、ほんとうに幸せだよっ」
 温かくて柔らかな、幸せな時間。
 このまま時が止まってほしいとも思うけど、2人で迎える明日の朝は、きっと何よりも輝いて見えるはず。
「だから、これからも」
 よろしくね、と同時に言いかけて、視線を合わせる。くすっと笑顔がこぼれた。
 秋也とひなたを包む、優しい気持ち。
 2人はどちらからともなくそっと瞳を閉じて、唇を重ね合わせた。



イラストレーター名:笹井サキ