●『メリークリスマス!』
空から舞い落ちる雪、クリスマスの夜。 ノエルの温かい部屋には、小さいながらもキラキラとして可愛いツリーが飾られている。 「もう年末ですね……。今年も無事に過ぎるようでなによりです……」 窓の外を眺め、ノエルは呟いた。 「無病息災……家内安全……質実剛健で来年も過ごしたい所……」 そんな風に思いながら雪を見た後、彼女はキッチンへと向かう。そこにおかれていたのは、何やら大きなボックスだ。 「ふふ……今日はクリスマスなのでケーキをたくさん買って来てみました……」 ボックスを開けば、中には色とりどりの美味しそうなケーキが。 ノエルは大きなお皿にたくさんの種類のケーキをいっぱいに並べ、2人分のフォークや取り皿も用意して、いい香りの紅茶を淹れた。 「ニケと一緒に食べるのですよ……」 リビングで彼女を待っていたのは、ケットシーのニケ。ニケもきらきらした目で並べられたケーキを見る。 「さあ、いただきましょう……」 ノエルとニケは隣り合って座ると、早速各々の取り皿にケーキを乗せ、食べ始めた。 「美味しいですね……」 ショートケーキにイチゴのタルト、チョコレートケーキにモンブラン、クリスマスといえばブッシュ・ド・ノエル。どれも本当に美味しくて、紅茶にもぴったりである。 普段は寡黙でクールなノエルだが、ニケと一緒に甘いケーキを食べれば表情も綻ぶ。 「そうそう、パーティーグッズもたくさん買ってきましたよ……。トランプ……花札……王様ゲーム……」 色々なものを取り出して、広げる。そして自分は、じゃじゃーんとサンタ帽子を被った。 「ふふ……クリスマスっぽくなったでしょう……」 赤くてベルのついたそれは、彼女によく似合っていて可愛らしい。 「ほら、ニケも帽子を被るのです……」 ノエルはもう1つ小さなサンタ帽子を取り出し、ニケに被せた。 「とてもお似合いですよ……」 ノエルに褒められて、もちろんニケもご機嫌だ。嬉しそうに鳴くと、尻尾と耳をぱたぱたと振った。 「おや……そちらのケーキも美味しそう……。一口頂きます……」 ノエルはニケのケーキを一口貰って、口へと運ぶ。 「こちらのケーキもどうぞ……。口を開けて……」 ノエルがひょいっとフォークを差し出すと、ニケもあーんと口を開けて、美味しそうにケーキを頬張った。 大好きな相手と過ごす、素敵な時間。 2人は、甘い香りとクリスマスカラーに包まれたパーティーを心ゆくまで楽しんだ。
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