儀水・芽亜 & 蓮見・双良

●『シーキャンドル 〜クリスマスに輝く塔〜』

 二人で過ごすクリスマスに、儀水・芽亜(夢何有郷・b36191)は、同行者として蓮見・双良(夏暁・bn0235)を選んだ。その選択に迷いはなかった。
 芽亜には、別に恋人がいた。ただ、その彼が甘ったるいことには興味がなかっただけのこと。だからこそ、気兼ねない相手として、双良の名前がいち早く出てきたのだ。そう……これは互いの志向の結果なのだ。
 ──このクリスマスという時間を、楽しむ相手として。

「双良様、こっちですわ!」
 双良の手を引いて、芽亜が指し示す先にあったのは、江ノ島展望灯台のシーキャンドル。
 遠くまで連れて行くのは気が引けるということで、近所で観光名所なところを選んだのだ。
「まあ! 見てください、こんな綺麗にライトアップされているんですのね」
「本当、凄いね……」
 芽亜が感嘆の声をあげれば、双良も同じように声をあげた。
 展望灯台のライトアップはもちろん、そこへ至るまでの道までも、美しくライトアップされていたのだ。
 また、間近で見る灯台の下から見上げる光景も、迫力あって素晴らしい。
 紫色に光る灯台が、こんなにも美しいとは、想像以上であった。
 思わず声を失っていた芽亜に、そっと双良が肩を叩いた。
「さあ、上に行こう。早く上からの眺めを見てみたくない?」
「ええ、そうですわね」
 にこりと頷き、芽亜は差し出された双良の手を取ったのであった。

 灯台から見る景色も素晴らしいものだった。
 灯台付近だけでなく、遠くに見える街灯りもまた、美しいものだった。
「まるで……光煌めく夜空の星雲のよう」
 ふわりとする感覚が、芽亜を包む。
 それを振り払うかのように、隣にいた双良の腕を思わず掴んでしまった。
 よろけて、躓いたかのように。
「大丈夫?」
 そう双良が尋ねる。なんだか、それがくすぐったく、嬉しく感じるのは、気のせいだろうか。
「ええ、ありがとうございます。助かりましたわ」
 笑って身体を支えてくれる双良の存在が、どれほど得難いものか。
 芽亜はそのことを、ここで改めて、実感したのであった……。



イラストレーター名:ちゃき