老神・スミカ & フェーネ・アンジェリック

●『死と隣り合わせだった青春の終わりに』

 ふと、手元の携帯電話の画面に目を落とす。
 スミカの元に、メールの文面で届いたのは、クリスマスパーティーの招待状だった。
 過去、人工島戦争で初めて顔を会わせたフィーネ。それ以来、ずっと苦楽を共にしてきた。そして、互いに無事、卒業できた仲間の一人だったりする。文面を見ると、他にも知り合いを呼んでいるらしい。
「今日は同窓会になりそうだな」
 ふふっと笑みを浮かべ、フィーネとの待ち合わせ場所へと向かった。

「他に誰もいないのか?」
「あっちこっち連絡してみたんだけど、皆、忙しいみたいで……」
 蓋をあけてみたら、二人っきりのクリスマスパーティーになっていた。
「そういうことならしかたな……」
 そう告げたときだった。
 ぎゅむんと、フィーネに抱きつかれて、スミカは押し倒されてしまった。
「な、フィーネ!?」
 驚くスミカをそのままに、フィーネはさらに行動をエスカレートしていく。
「ね、口移し、しましょうか?」
「……!!?」
 真っ赤になるスミカにフィーネは楽しそうな笑みを浮かべた。
「ふふ、そんなに照れなくてもいいじゃないですか」
「ふ、普通、こんなことは、しない、ぞっ……」
 しかも、お尻まで触っている。
 恥ずかしそうに頬を染めるスミカにフィーネは、楽しそうだ。

 男性経験の少ないスミカを驚かそうと行なった、フィーネのサプライズ。
(「ふふ、頬を染めて照れちゃう大人なんて、珍しいのを見させていただきました」)
 恐らく、スミカも貴重な思い出として、残ったことだろう。
(「来年に向けてまた、楽しい思い出が出来たかな」)
 心の中でも、にっこり微笑むフィーネ。

 一方、スミカはというと。
「そ、そんなところに触ってはダメだ!」
 とか。
「く、口移しは、その……こ、困るっ!!」
 なんて言っていたが、結局、折れて、フィーネの思うがままになっていた。
(「最近のクリスマスパーティーでは、こんなことも……するのか?」)
 あらぬ誤解と、貴重な(?)思い出。
 スミカもまた、驚きのパーティーを嫌々ながらも、楽しむのであった。



イラストレーター名:n2